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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2023/09/19

ブリウド サンジュリアン聖堂 Basilique Saint-Julien de Briouse1 後陣のモディヨン


ブリウド Brioude のサンジュリアン(聖ユリアヌス)聖堂について『ロマネスク散策』は、後陣は1180年頃建てられた。後陣は5つの放射状祭室がある周歩廊、内陣で構成される。バッス・オーヴェルニュの五大ロマネスク教会堂とは異なり、ブリウドの大聖堂には、トランセプトの上にマシフ・バーロンはない。
マシフ・バーロンとは、十字交差部の上に、建物の主軸に交わるようにして設置された横長の平行六面体。マシフ・バーロンには連続アーチの装飾がある。オーヴェルニュのロマネスク大教会の特徴という。
マッシフ・バーロンではないとはいえ、放射状祭室、その上に内陣と積み重ねられたその背後にあるもの、言い換えると鐘楼の下部のアーチも開口部もない、赤い壁体はこれまで見てきた教会にはないものだ。
バッス・オーヴェルニュ Basse Auvergne はオーヴェルニュ南部を指す。
沢山の放射状祭室や後陣の軒下飾り(モディヨン modillon)や柱頭彫刻が楽しみ。

ただし、『La Basilique Saint-Julien de Brioude』(以下『Saint-Julien』)は、19世紀にブラヴァール Bravard とマレー Mallay によって再建された2つの鐘楼は、クレルモン地方の類型を参考にして、多色の石材を使ってネオロマネスクの建造物となったという。
このマレーとは、エイモン・マレ氏で、ルピュイのサンミシェルデギュイユ礼拝堂の平面図を作成した建築学者である。


平面図
Saint-Julien』にある平面図に、五つの放射状祭室(北からA・B・C・D・E、祭室の間の窓をf・g・h・iとした)に窓は三つずつ、放射状祭室の間にも窓が一つずつ。それぞれに軒下飾り(モディヨン modillon)やメトープが並んでいて楽しい。
ブリウド サンジュリアン聖堂平面図 La Basilique Saint-Julien de Brioude』より


AからC(東正面)までの祭室の軒下飾り(モディヨン modillon)を見ると、


A-3の窓の上
動物と人が交互に並んでいる。左からライオン、男性、何かを加えた犬、女性、大きな下を出した犬、修道士。三人ともそこそこの身分の人のよう。
ついでだが、窓のアルシヴォルトの外枠は小さなアカンサスを内包する二重の花弁、内側にはジグザグの文様(シェヴロン文)が力強く彫られている。


B-2の窓の上
正面から見上げるとこんな風。動物や人の他に、コロコロした短い円筒形のものが並んでいる。

左はネコ科の動物で、日本の獅子のように大きく口を開き、下を出している。
次は巻物のヴァリエーション、右端は口を開いた修道士?
窓のアルシヴォルト外枠は、二種類のアカンサスが並んでいて、頂部だけが捻れたよう。


動物と巻物のヴァリエーションが交互に並んでいる。それは巻物を連ねた軒下飾りから変化したものだろう。
その間には何を表しているか分からないメトープがある。例えば、左から三つ目の猫類に見える軒下飾りは、大きく開いた口から尖ったものが出ているように見えるが、それは隣のメトープが見えているだけだ。

その続き
アカンサスの葉の盛り上がった浮彫で四方が囲まれているものもあれば、目が半球の動物も。左端だけが黒っぽい石材。

拡大
黒い石も巻物、大きな目のネコ、不明のもの、握り拳でもない。
メトープには水平な半月と三日月とか。右は紋章のクロス・エイヴィスのよう。


巻物のヴァリエーションの他にはここには痩せこけた人頭が一つ。左端はXの浮彫でその隣のメトープもX。

こんな表情とは想像もつかなかった。


祭室B・Cの間の窓gの上
メトープはなく、三つのモディヨン。
人の顔と動物の顔の間には果実らしきものが。
それにしてもこの樋の先が動物のようで可愛い。そんなに古い物ではなさそうだけれど。


祭室Cは東正面に出っ張っている。

下を向いた人に耳を塞ぐ人。右端には下を向いてしゃがむ人も。動物はタヌキのようなものと、何か不明の物。

左に続く
人頭が並ぶ。この角度から見ると髪型がさまざまで面白い。メトープは植物系

左は人頭ではなく、渦巻く蔓かも。メトープはどちらも植物に留まる一対の小鳥

いろんな髪型があったのだ。


移動してC-Dが見えるところから、

C-3のモディヨン

2・3の窓の上
モディヨンの間に彫刻のあるメトープが嵌め込まれている。組紐文が多いが、人が登場するものもありそう。

何かを抱えている人の右のメトープは磔刑図、左はケルトっぽい組紐文

右端のメトープは切れていて頭部がわからないが、馬にしては足が短く尾の先が房のようになっている。ライオンだろうか。次は同心円文。
モディヨンは右が犬?熊? 左は動物というより人?

右端はモディヨンから出ようとしているみたい。
左端は巻物風だが、人の目・鼻・唇?
おそらく魔除けだろうが、こんなに面白いものをどんどん思いつく石工の人たちってどんなん?
メトープは四弁花文のロゼット(上から見た花)のヴァリエーション。


hからDへ

hのモディヨンは角のある動物・巻物・女性
Dは巻物のヴァリエーションと突き出た円錐形。未完成だろうか。
メトープは水平に重なった半月と三日月が二つ、間に四弁花文。
窓上のアルシヴォルトはころころしたパルメット蔓草。

D1-2
髪の毛も髭もとんがった人、不明の動物、牛など

D-2
アルシヴォルトはパルメット蔓草で、1よりも美しさがある。
メトープは花のモティーフが多いが、渦巻きもありそう。

ロゼット文の間のモディヨンの間がこんなおっさんの顔とはね。


祭室D・E
Dはアルシヴォルトの一番外側にパルメット蔓草があった。
間のiは細い弧帯の集合。
E1は弧帯(ヴシュール Voussure)が細く束になったように見えるが、E2は違っているように見える。


祭室E-2

モディヨンは左よりネコ科の動物、アカンサスの葉、山羊、人とは思えない顔、立って伸びをしている人、最後の黒い石はサル、いや叫んでいる人?
アルシヴォルトの外枠はアカンサス由来の葉文様が並ぶ。その内側は、Xあるいは二つの三角が頂点で交わるような幾何学的文様が、面積の広い曲面に表されている。

2-3の境目の扶壁の上
左よりサル(フランスに居住しているかは不明)、肖像のように端正な男性、ネコ科の動物

途中から集中力が欠けたのと、見学時間に制限があるためこの程度。

それから気になるのが、後陣の装飾。
色のことなる切石を組み合わせて幾何学的な文様を構成している。
後陣の軒下飾りは同じもので、巻物を重ねたものが並んでいて、その一つ一つの間には米字形の文様がある。

ところが、これは当初は色石をそれぞれの形に刻んで文様をつくったモザイクだったとしても、そのようには見えない、描いたものではないかと思うような箇所があった。

『The treasures of Romanesque Auvergne』の図版は、修復前のもので、
ブリウド、サンジュリアン聖堂後陣の装飾 『The treasures of Romanesque Auvergne』より

確かに色石を使っている。
ブリウド、サンジュリアン聖堂後陣の装飾 『The treasures of Romanesque Auvergne』より

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