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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2024/04/19

東京都庭園美術館 A to Z展1


東京都庭園美術館で2024年5月12日まで開催されている「開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z」はとても面白い企画だった。

久しぶりに訪れ、館内と庭園をゆっくり見てみようと思っていた。

門から美術館までも結構な距離がある。朝香宮家が建てたアールデコの建物は外観はシンプル。



平面図
①正面玄関 ②大広間 3次室 ④小客室 ⑤第一応接室 ⑥大客室 ⑦大食堂 ⑧喫煙室 ⑨小食堂
東京都庭園美術館一階平面図 東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)リーフレットより


1 玄関
切石ではなくタイルの舗床モザイク。
そしてここにはSの文字が。これを見落としてしまったが、文字の裏側にはカードがあってアルファベットにちなんだタイトルとその説明、裏にはイラストがあるのだった。
もっと言うと、このアルファベットは、建物内の順路とは関係がないので、どこにどんなカードが現れるかは謎なのだった。

でも文字よりも正面に見えるルネラリックのガラスレリーフが気になる。

気になる。


でも玄関から直接見に行けない。受付を通って階段下のガラスを見て、


続いて大広間へ。

2 大広間 GREAT HALL UNEVEN HARMONY 空間のリズム
Uのカードは、装飾を抑えた大広間は、主に直線を生かしたシンメトリーな構成です。整然と配置された格子と電球、直線と曲線で編成されたラジエーターカバー等が、広い空間にアクセントを添えています。一方で、高級木材が与える重厚感と、大理石のレリーフの古典的な作風が生み出す和らぎ。二つのアーチ型による丸みと、天井照明や分割した鏡に見る複数の直角。いくつかのコントラストからも効果的な変化や動きがもたらされ、室内空間に良いリズムを生んでいますという。


そしてその左手にラリックのガラス(1932年)があった。

1と2の間 SATINE サチネ
Sのカードは、優雅に翼を広げた4体の女性像が、訪れる者を迎え入れます。竣工当時から変わらず玄関に鎮座するのは、ル ネ・ラリックによるガラスレリーフの扉。この邸宅のために特注された一点ものです。
SATINE(サチネ)は、ガラス表面の仕上げに用いられたつや消し加工のことで、ラリックはこのなめらかな質感を「SATINE (絹のような)」と呼び、愛でていました。マットなガラスの質感が、室内の明かりを柔らかなものにしていますという。
えっ扉? 確かに蝶番があった。
中央の二枚が正面向き、左右の二枚が3/4内向き・・・・あれ、左端のガラスにひびが!

この時は左のガラスのひびに気付かずに真ん中の撮影するのに夢中だった。


その後新館に行くと、もう一枚のガラスレリーフが横たわっていて、上の方にひびが複数あった。正面向きなので中央の二枚のうちの一枚だ。
こんな風に下方向から眺めると、意外と腕が力強い。

説明パネルは、玄関に飾るレリーフとして、裸体だったデザインを、布を纏ったものに変更。オリジナルが割れてしまったため、現在は一部にスペアが使われていますという。
こんな風な角度から見ないと、胸からウエストにかけて背中側に隙間があることなんかわからない。

隅に置かれたラジエーターカバーもアールデコそのもの。


3 次室 ANTEROOM

PERFUMED FOUNTAIN 香る噴水
Pのカードは、次室(つぎのま)は、主要な部屋に隣接する控えの間、つなぎの間としての役割を持つ部屋です。南面のテラスと庭園を望む大きな窓、床に敷き詰められたモザイクタイルは、地続きに外へとつながるような一体感と開放的な空間を生み出しますという。
逆光で暗く写ってしまった。

「香水塔」は、アンリ・ラパンがデザインした磁器製のオブジェで、当時の記録には噴水器と記されています。上部の照明部分に香水を注ぎ、熱で香りをただよわせたエピソードから「香水塔」の名で呼ばれていますという。
往事の香りがどのように漂ってきたのだろう。それよりも黒い盤の外に草が生えているのを見つけたぞ。

伺うと、これも展示の一部なのだとか。



4 小客室 SMALL DRAWING ROOM
Bのカードは、BABBLING OF WATER 水のせせらぎ。
アンリ・ラパンが描いた油彩画、大きなキャンバスが4枚壁面に張られています。四方を森の風景が取り囲む空間で、耳を澄ますと小川が流れる音が聞こえてくるような感覚や想像をかき立てる室内装飾です。
ラパンがフランスで制作した油彩画は、ロール状に巻かれた状態で届き、日本の職人の手によって、日本の伝統的な経師(きょうじ)の手法で念入りに壁に張られました。
朝香宮邸時代、ここは訪問者を招く応接室として使われていましたという。

じっくり見ると流れや滝が見えてくる。水が部分的に銀色に見えたが、

レンズを通すと白のように見える。

雨の名残か、朝露で濡れているのか・・・


銀だとすぐに黒くなるので、やっぱり白い塗料か顔料だろう。


5 第一応接室
左の通路を行くと玄関脇の部屋。壁を板ガラスに代えているので、玄関ホールの舗床モザイクが見えた。

部屋はそんなに広くない。


天井から吊された照明はガラス棒を丸く一周させたもの。これもシャンデリアというのか分からないが、ピントを合わせきれなかった。



6 大客室 Salon
接客のメインである大客室では、当時フランスで活躍していた装飾家たちが腕をふるった。古代ギリシア風の柱頭飾りなどの古典主義的なモチーフをとりいれながらも、幾何学的に抽象化して現代的にまとめている。
内装・壁画:アンリ・ラパン 
照明器具《ブカレスト》: ルネ・ラリック 
扉エッチング・ガラス: マックス・アングラン 
扉タンパンの鉄装飾: レイモン・シュブ

1933年の写真

シャンデリア
説明パネルは、花束が宙に浮かんでいるようなルネ・ラリック作のシャンデリア《ブカレスト》は、この邸宅のためにデザインされたものではありませんでした。当時のラリック社のカタログには、1928年から 1932年まで生産していたという記載が。解体して掃除ができる特性は、使い勝手も考慮されてのことでしょうかという。



ガラスの扉

ガラスのタンパン

扉のデザイン

扉の向こうにあるのは次室の香る噴水

床の寄木細工

ラジエーターカバー

暖炉の一つ
MANTELPIECE マントルピース
Mのカードは、マントルピースとは、壁付き暖炉の周りを囲む飾り部分のことで、朝香宮邸時代はここにラジエーターという暖房設備が仕込まれていました。1階の応接スペースや、家族の居室だった2階のすべての居間にはマントルピースが造られ、各室のインテリアとして重要なアクセントになっています。
それぞれマントルピースには色や模様の異なる外国産の多彩な大理石が用いられていました。石の美しさは旧朝香宮邸の魅力の一つですという。
ラジエーターカバーは同じデザイン

暖炉の大理石に金属板が嵌め込まれている

外のランプ


7 大食堂 Great Dining Hall
説明パネルは、来客時の会食に用いられたこの部屋には、西洋建築の伝統にのっとり、随所に食物モチーフの装飾が施されている。壁面の銀灰色のレリーフは、元来コンクリートで製作されたが、船での輸送時に破損したため、国内で型取りして採色した石膏のパネルが嵌め込まれた。
内装・マントルピース壁画:アンリ・ラパン 
照明器具《パイナップルとざくろ》: ルネ・ラリック 
扉エッチング・ガラス: マックス・アングラン 
壁画レリーフ: イヴァン=レオン・ブランショ

大食堂とはまた違った文様のガラス扉から入ると、

奥が半円形になっているへやだった。

半円形に出っ張っていて

1933年の写真

奥の絵画と暖炉
ラジエーターカバーは魚介類


EAT WITH YOUR EYES 食べられそうな
Eのカードは、大食堂は、庭園を望む南向きの円形に張り出した窓が開放的な空間です。水中を泳ぐ魚や貝、海藻、パイナップルとザクロ、洋ナシやレモンに似た果実と、ワイングラスのようなモチーフが壁・照明・扉にあしらわれています。アンリ・ラパンが手がけた壁画には、みずみずしいフルーツも描かれています。
この部屋では、各所に散りばめられた「食」にまつわるモチーフが生き生きと躍動し、見る者の遊び心をくすぐるとともに食のたのしみを伝えているようですという。
テーブルに置かれた鉢かバスケットに果物が盛ってありそうだが、天井を見上げると照明のカバーが立体時な果物だった。


8 喫煙室 気が付かなかった

9 小食堂 Private Dining Room
説明パネルは、朝香宮家の日常の食事に用いられた部屋で、西洋スタイルで統一されたこの建物には珍しく、和の要素を備えた内装となっているという。
シャンデリアとカーテンがなかったら和室のよう。

5第一応接室と同じで、ガラス棒が一周する照明

源氏香の中から二種類を組み合わせたラジエーターカバーと床の寄木細工



これは廊下の照明だったかな。


参考にしたもの
東京都庭園美術館のリーフレット