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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2025/09/23

アラジャホユック遺跡の王墓

 

チョルム博物館一階の中央展示室には初期青銅器時代(前3000-2000)の王族の墓の復元が展示されている。

チョルム博物館のPDFは、ヒッタイト人以前のアナトリア先住民つまりアナトリアにおける高度な文化の担い手であるハッティ人達が活躍したのは、前期青銅器時代(前3000-2000)であるという。
ハッティ人はヒッタイト人のような印欧語族ではなかったが、製鉄技術があって、ヒッタイト時代にもそれが受け継がれたとも言われている。

アラジャホユックL墓 
アラジャホユックL墓を実寸大に復元している。そして墓内にあった人骨、祭祀用のウシ、シカ形製品、サンディスク、装飾品や墓の上に犠牲獣(死者の食物)として捧げられたウシの頭部を実物同様に展示しているという。
近年はサンディスクと呼ばれているが、以前はスタンダードだった。
ある程度の広さはあるのに、遺体は墓室の中央ではなく片隅に安置されている。出土時には残らなかった品々が所狭しと副葬されていたのだろうか。

王は金製の王冠のようなものを被り、青銅器(スタンダード類)や土器が散在している。


金冠
アンカラのアナトリア文明博物館蔵
アラジャ・ホユックA墓出土の金冠(前2500-2000年)とそっくり。 
『世界美術大全集東洋編16 西アジア』は、透彫りは、三角形の透かしを方向をたがえて四つ組み合わせることで格子目文にX字形文(襷状)が組み合わせた形となっている。それぞれの三角形は、外側から鑿(のみ)状の工具で3回打ってくりぬくことで作り出されているため、微妙に形が異なっている。これが水平方向に4段にわたって全周する。上縁と下縁には内側からの打出しによる点文が認められるという。
背後にある金製の十字形のものは何だろう?頭の上にのせて金冠に留めていたとか。

サンディスクと
儀式用スタンダード 青銅製 前3千年紀後半
サンディスクにはいろんなものが付属している。
スタンダードについて『世界美術大全集東洋編16 西アジア』は、アラジャ・ホユックの副葬品のなかで出色なのは、なんといっても「スタンダード」と呼ばれる青銅製品であろう。これらはいずれも基部に柄に差し込めるような形の茎が作り出されており、柄に差し込んで用いられた祭器であったと考えられる。
スタンダードには大きく分けると、動物像と円盤状のものの2つの種類が見られる。動物像としてはまれに驢馬も見られるが、牡牛と牡鹿が中心となっているという。
下部に差し込む突起があるのでスタンダードと呼ばれている。それについてはこちら
儀式用スタンダードはアナトリア文明博物館所蔵の作品を小さくしたみたい

丸くないサンディスクや円形でないものも。


横向きにもおける壺?


奥にも鹿形スタンダードやサンディスク類が散らばっている。


奥にもサンディスクが幾つかあるが、石の上に中に鹿のスタンダードも。これは茎が1本で、実際にこんなに枝分かれした大きな角のある鹿がいるとは思えない。


犠牲獣(死者の食物)として捧げられた牛の頭部が並ぶ。
墓室は丸太を並べ、その上から土を盛っていたようだが、墓全体はどのような構造だったのだろう。




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参考サイト

参考文献
「世界美術大全集東洋編16 西アジア」 2000年 小学館