今回は柱頭彫刻
平面図
『La Basilique Saint-Julien de Brioude』(以下『Saint-Julien』)は平面図に、後陣の特徴のある柱頭彫刻を丸数字で示している。
五つの放射状祭室(北からA・B・C・D・E、祭室の間の窓をf・g・h・iとした)に窓は三つずつ、放射状祭室の間にも窓が一つずつ。各窓にはアルシヴォルト(英語ではアーキヴォルト、飾り迫縁)を受ける柱頭が左右にある。合計36個の柱頭彫刻全てを撮影することはできなかった。
また、順番に写したのでもないので、どの放射状祭室か、どの窓か特定できるものは記している。
祭室A・B
Aは3つの窓の上のアルシヴォルト(飾り迫持)の一番外は、半分の同心円文の中に小さなアカンサスの葉と表現すれば良いのか、その形が不揃いで、それとは対照的その内側がジグザグ、またはシェヴロン文になっている。
A1
右は浮彫がない。左はアカンサスの葉由来の葉文様だが、葉を外側に出すこともなく、二段に重ねることもない。
A2
A3
右 動物のモティーフ
横顔を突き合わせた動物とも、2頭の動物が正面向きの顔を共有しているとも見える。その上両方とも後肢で首を掻いている。牛かと思ったがひづめではないので肉食獣? それにしては歯が違う。
祭室B1
アルシヴォルトの一番外側は風化がひどくアカンサスの葉を並べている程度にしかわからない。
右 大きなアカンサスの葉、頂部には丸い花のようなものがある
B2
右 実際には二頭の有翼で足のない怪獣が向かい合っているのだった。
祭室B3
外側の弧帯は簡素な蔓草文だったらしいことが、右下の残骸でわかる。
窓g
右 角で向かい合う鳥
C1
右 コリント式柱頭の変種
アカンサスの葉は中程の輪っかから下に垂れていて元気がなさそうなのに、その上には力強い渦巻き
左 アカンサスの小さな葉と茎を籠のようにアレンジしたもの(大きな画像なし)
祭室C2・3
C3
右 アカンサスやパルメットの葉ではなく、大きく口を開いた鳥が向かい合っているように見える。
左 二段のアカンサス由来の葉文様
窓h、祭室D1
D2
アルシヴォルトの外枠はパルメット蔓草
D3-窓i-祭室E1
D-3
右 遠くから見ると車輪のようだが、アカンサスの葉を丸く蔓草で囲んだようなもの(大きな画像なし)
窓i
右 下段はアカンサスの葉ね上には細い渦巻きとリンゴのような果物
何かの場面を表しているようだ。人はダンベルのようなものを右手で投げようとしている
祭室E1
アルシヴォルトの外枠は二段の組紐文で、左右の組紐文と繋がっているが、それは4-5個が一つの石に浮彫されているから。別の石とは文様は繋がっていない
右 二方向に伸びた人魚の尾と解釈されている。これが人魚とは・・・
左 口からアカンサスの葉を出す男?
E-2
アルシヴォルトのし外枠はアカンサスの葉が並び、内側のアーチは広い曲面に三角の文様が並ぶ
左 角で向かい合う鳥グリフォン
結局この柱頭がどこにあるのか分からない。
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「The Treasures of Romanesque Auvergne」 Text :Noël Graveline Photographs: Francis Debaisieux Design Mireille Debaisieux 2010年 Édition DEBAISIEUX