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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2023/09/26

ブリウド サンジュリアン聖堂 Basilique Saint-Julien de Brioude2 後陣の柱頭彫刻


今回は柱頭彫刻

平面図
La Basilique Saint-Julien de Brioude(以下『Saint-Julien』)は平面図に、後陣の特徴のある柱頭彫刻を丸数字で示している。

五つの放射状祭室(北からA・B・C・D・E、祭室の間の窓をf・g・h・iとした)に窓は三つずつ、放射状祭室の間にも窓が一つずつ。各窓にはアルシヴォルト(英語ではアーキヴォルト、飾り迫縁)を受ける柱頭が左右にある。合計36個の柱頭彫刻全てを撮影することはできなかった。
また、順番に写したのでもないので、どの放射状祭室か、どの窓か特定できるものは記している。
ブリウド サンジュリアン聖堂平面図 La Basilique Saint-Julien de Brioude』より


祭室A・B 


Aは3つの窓の上のアルシヴォルト(飾り迫持)の一番外は、半分の同心円文の中に小さなアカンサスの葉と表現すれば良いのか、その形が不揃いで、それとは対照的その内側がジグザグ、またはシェヴロン文になっている。

A1
右は浮彫がない。左はアカンサスの葉由来の葉文様だが、葉を外側に出すこともなく、二段に重ねることもない。

A2
右は不明。左はアカンサスの葉ではなさそうだがよく分からない。

A3
右 向かい合う動物
左 二段のアカンサスの葉を外に突き出しているが、人の顔は出現していない。

右 動物のモティーフ
横顔を突き合わせた動物とも、2頭の動物が正面向きの顔を共有しているとも見える。その上両方とも後肢で首を掻いている。牛かと思ったがひづめではないので肉食獣? それにしては歯が違う。  


祭室B1
アルシヴォルトの一番外側は風化がひどくアカンサスの葉を並べている程度にしかわからない。
右 大きなアカンサスの葉、頂部には丸い花のようなものがある
左 人の顔が大きく表され、翼もありそう 

B2
下から見上げると、左はアカンサス由来の葉文様で右は鳥が翼を広げているようだが、

右 実際には二頭の有翼で足のない怪獣が向かい合っているのだった。

左 葉を力一杯に広げたアカンサスの葉が二段に積み重なっている。


祭室B3
外側の弧帯は簡素な蔓草文だったらしいことが、右下の残骸でわかる。

右 祈る天使
円柱の丸みに合わせて膝から下が両側に開いている。こんな坐り方はしんどいだろう。衣服も襞が多く重そう。

左 バジリクではなくアカンサス由来の葉文様


窓g
右 角で向かい合う鳥

右 向かい合うが、髭面を互いに背ける雄鶏

左 小さな頭だが、たてがみがあるのでライオンだろう。尻尾の先には大きな房、足の指は鳥のよう。口から出ているのはアカンサスの葉だろうか。


祭室C-1・2


C1 
右 コリント式柱頭の変種
アカンサスの葉は中程の輪っかから下に垂れていて元気がなさそうなのに、その上には力強い渦巻き
左 アカンサスの小さな葉と茎を籠のようにアレンジしたもの(大きな画像なし)

C2 
右 アカンサスの葉は扇形に開いている。その上には小さな渦巻き

左 下段は開かないアカンサスの葉が寄り添って柱頭を巡る。二段目はアカンサスの葉が大小のリズムをつくる。その上に渦巻きが出ているが、間にはアカンサスの葉もある


祭室C2・3


C3
右 アカンサスやパルメットの葉ではなく、大きく口を開いた鳥が向かい合っているように見える。
左 二段のアカンサス由来の葉文様


窓h、祭室D1


窓h
外側のヴシュール(弧帯)の右裾に五弁花のロゼットが一つだけ。

右 口から植物が出る人


左 首を絡め合うバジリスクとその上から顔を出す人 誤魔化しようもないピンボケ


窓h左 

祭室D1
右 大きなアカンサスの葉
左 画像なし


D2
アルシヴォルトの外枠はパルメット蔓草

右 下段は小さなアカンサスの葉が並び、アカンサスの葉には見えない大きな葉が二段に重なる。柱頭の角から顔を出す人

左 アカンサスまたはパルメットの葉が開こうとしている


D3-窓i-祭室E1


D-3 
右 遠くから見ると車輪のようだが、アカンサスの葉を丸く蔓草で囲んだようなもの(大きな画像なし)
左 老人が腰掛けて右手で布に触れている

二人が角の僧服を着た人に仕えているのだろうか



窓i
右 下段はアカンサスの葉ね上には細い渦巻きとリンゴのような果物

左 アカンサス由来の大きな葉の間に長衣の人と犬? 
何かの場面を表しているようだ。人はダンベルのようなものを右手で投げようとしている


祭室E1
アルシヴォルトの外枠は二段の組紐文で、左右の組紐文と繋がっているが、それは4-5個が一つの石に浮彫されているから。別の石とは文様は繋がっていない

右 二方向に伸びた人魚の尾と解釈されている。これが人魚とは・・・

左 口からアカンサスの葉を出す男?


E-2
アルシヴォルトのし外枠はアカンサスの葉が並び、内側のアーチは広い曲面に三角の文様が並ぶ

右 蔓草の輪っかの中の獣はその交差するところで顔を共有する。そしてそれぞれの輪っかを上のライオンが銜えている。

左 角で向かい合う鳥グリフォン


結局この柱頭がどこにあるのか分からない。
二羽の猛禽が、互いに向かい合うが、顔は背けて、外のよくの羽繕いをして、奥の翼は細く表されるのみ。




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参考文献
「La Basilique Saint-Julien de Brioude」2017年
「The Treasures of Romanesque Auvergne」 Text :Noël Graveline Photographs: Francis Debaisieux Design Mireille Debaisieux  2010年 Édition DEBAISIEUX