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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2025/03/25

クルチアリパシャジャーミイのステンドグラス、イズニクタイルとキュンデカリ


クルチアリパシャジャーミイについて『Architect Sinan His Life, Works and Patrons』(以下『Architect Sinan』)は、1578-80年にかけて、海軍大将クルチアリパシャの依頼により、建築家シナンが海辺に建設したものという。
そんな海軍大将の好みとは思えない華やかな装飾だった。

ステンドグラスとタイル

ミフラーブの両側と上部

ミフラーブの真上には細い茎が多数伸びて、それぞれに花を咲かせている。脇の白いガラスは表面がモコモコした感じだし、

9本の白い茎は下の壺から出ているが、当初のものではなさそう。


ミンバル脇のステンドグラスとタイルパネル

これも枠の色はグレーで補修されたステンドグラス。

この半透明なガラス状のものはいったい・・・



その下には最盛期のイズニクタイル

ソンジェマアトイェリのタイルパネルにはないこの珊瑚の赤と呼ばれる釉薬の盛り上がり。



ステンドグラスも派手だが、タイルはそれに負けていない。


ここも最盛期のイズニクタイル

赤い釉薬は盛り上げて付けないと発色しないということで、どんどん使って百年ほどで枯渇してしまったという。


太陽光が通らなければただの色ガラス


側面の窓の上にもスルス体のカリグラフィー。Architect Sinan』は、書家デミルジクルユスフエフェンディ作とされるコーランの詩の碑文があるという。
その上のステンドグラスは古いものではないだろう。


キュンデカリ技法の木製品

礼拝室入口扉

幾何学的な形に成形された木片とその間隙を縫う折線状の組紐文だが、あまり細かな細工には見えない。木片に象嵌された真珠母貝を3本の輪郭で囲っているのが細かな細工と言えるかも。

同書は、象牙、黒檀、リンゴの木で作られた木製の扉に施された、キュンデカリ細工と金属トによる象嵌装飾は非常に魅力的という。


説教台
キュンデカリ技法で装飾されている。木製で幾何学文様の透彫で、華奢に見える四脚座の上には、ミンバルの脚部のようにオスマン朝風の壺のような格狭間が並ぶ。

木材と真珠母貝(違うかも)を幾何学の形に成形し、その隙間を木と別の白い物を組紐とし、中心の十点星から折れ曲がりながら隅々へと広がっていく。イスラームのこのような幾何学文様は宇宙の広がりを表すと何かで知った。




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参考文献
「Architect Sinan His Life, Works and Patrons」 Prof. Dr. Selçuk Mülayim著 2022年 AKŞIT KÜLTÜR TURIZM SANAT AJANS TIC. LTD. ŞTI.