エスキジャーミイ(1403-14)は驚くような文様で溢れていた。
内部の九つの小ドーム 『トルコ・イスラム建築』より
①礼拝室入口 ③ミフラーブ ④ミンバル(説教壇) ⑤ムアッズィン用マッフィル ⑦スルタンのマッフィル
ⓐ-ⓘ各ドーム
ⓐ正方形からスキンチを用いて八角形にしてもどこから円形になっているのか分からない。
と思ってドーム全体を見ると、八角形の稜線がそのまま明かり取りの窓の八角形へと続いていた。外から見上げたドームも八角形。あれま、半球形だと思っていた。
スキンチの装飾はドームのものと同系統の模様だが、その下はバラの花などを描いていて時代が下がるのでは。
植物文様ばかりに見えても、じっくり見ると組紐文が鏤められている。
別のスキンチは文様が異なっていた。黒ずんでいるところが古いものだろう。
ⓑ中央のドーム
四隅が数段のムカルナスで八角形を導き、その内側の区切りのないところで円形となり、ドームが架構されている。
赤い六点星の周囲には幾何学的な組紐文が巡っているが、イスラーム的な周囲に展開するものではなく、同じような形で途切れたものの組み合わせ。その外側には三十二の花弁が巡り、その輪郭線は交差しながら交わったところで大きな花を咲かせている。幾何学文様と植物文様が融合している。
ドーム部は植物文様の繰り返し
外縁のフィニアルは樹木と化し、外側にはもっと大きな樹木と、植物文様が詰まった円文とが交互に描かれている。そして目立たないが、一番外側にはカリグラフィーが巡っている。
ドームの壁画は黒っぽい部分がオリジナルのよう。縁の文様帯にはコーランの章句が表されている。黒ずんだ箇所は浮き出て見えるところもあるが、明るいところはそれが見えない。
その中心部分。どこまでが幾何学文様で、どこからが植物文様なのか分からない。それにしてもあのハートは何のため? ひょっとすると中心部分を赤く照らすためだろうか。
ムカルナスは四段
ⓒミフラーブのあるドームはトルコ三角形で架構されていた。
『トルコ・イスラム建築』は、壁の一定の高さの所から天井に向けて三角形の面を斜めに繰り出して、天井に正多角形を作り、ドームを載せる方法という。
今までありそうでなかった。珍しいものを見ることができた。このトルコ三角形によるドーム架構法については後日
ⓓのドーム
ペンデンティブで円を導くタイプのドーム黒っぽい部分がオリジナル。針葉樹(糸杉?)と広葉樹が交互に描かれ、四隅のペンデンティブには赤い実をつけた枝垂れ木が描かれている。
左上が古い部分。
ⓖのドーム
ⓗのドーム
ⓔ・ⓕのドームと同じくらい円形の文様が小さい。
下から見上げた写真がなかったので。
アーチは赤石と白石を交互に配したものに思っていたが、どうも描いたものだということが分かってきた。
赤い石の間にあるのは様々な岩石の模様を描いたものだった。赤い石さえ彩色したもののよう。
そういえばイスタンブールのモスクにもここまで鮮やかではなかったが、彩色したものがあった。最初は色の異なる石材でアーチを架構していたのが修復を簡略に済ませるために彩色で済ませたのだろうか? 或いは、最初からという可能性も。
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参考文献