サンジュリアン聖堂の堂内の柱頭彫刻
平面図
『La Basilique Saint-Julien de Brioude』(以下『Saint-Julien』)は、「特異な柱頭彫刻」として青い丸数字で9例を挙げているが、全てを撮影できなかったし、写してもピンボケということが多かった。
❶羊を担ぐ人 Porteurs de moutons ❷猿の調教師 Dresseur de singes ❸ 福音派の天使たち Anges évangélistes ❹ トリトン Tritons ❺ セイレン Sirènes ❻ 騎士の闘い combat de cavaliers ➐ 守銭奴 L'avare ❽ 墓を訪れた聖女たち Les saintes Femmes au tombeau ❾ 栄光のキリスト Christ en majesté
身廊と柱頭彫刻
身廊北側最初の複合柱には三つの柱頭が挙げられていてその二つ
➊ 羊を担ぐ人(ピンボケ) ブリウドの親方作
キャベツの葉のようなアカンサスの葉
やっぱりピンボケ、でも角で羊を担ぐ人が舌を出しているくらいは分かる
❷ 猿の調教師 モザ Mozac の巨匠
ゴリラのように大きな猿。ヨーロッパには猿は生息していないので、どこからか連れてこられたのだろう。
左は楯を持った兵士たち 右はアカンサス
これもピンボケ
❹ 足が二つに分かれた尾となったトリトン モザの巨匠
左はアカンサス
二人のトリトンが、両角で頭部から腹部までが表され、二つに分かれた足がアカンサスの若い茎のように中央に伸び、お互いの茎に腕を回している。トリトンは下半身が魚だが、この柱頭彫刻はどう見ても尾ではない。
身廊南二番目の複合柱
❺ 足が二つに分かれたセイレン モザの巨匠
アカンサスの茎となり、中央で交差するが、掴んでいるのは自分の茎
❻ 騎士の闘い
人物は角に配置することが多いようで、中央では馬どうしが顔を突き合わせている
➐ 守銭奴 階上廊
何故か地獄に墜ちるはずの守銭奴が両角の天使の羽根が形作るマンドルラに包まれている。
背後の角柱には凹凸のある壁面を描いただまし絵
wikipediaのキリストの墓の前のマリアたちは、「マタイの福音書」によると、キリストが埋葬されたのち、マグダラのマリアとヤコブの母マリア、サロメがキリストの遺体に塗るために香油を買い、キリストの墓所に行った。すると墓所を塞ぐ大きな石はすでにどかしてあった。彼女たちが墓所に入ると真っ白な衣を着きた若者が座っており、キリストはすでに復活して、ここにはいないと告げたという。
しかし、この浮彫では、三人の前にいるのは天使になっている。
ブリウド、サンジュリアン聖堂の柱頭彫刻 『La Basilique Saint-Julien de Brioude』より |
❾ 栄光のキリスト
貝のようなマンドルラに包まれ、両角に四福音書記者の象徴が侍る
❿ 翼を広げたワシ
その他の柱頭彫刻 場所は不明
アカンサスが二つ
角柱に小円柱と円柱が4本、さまざまなアカンサス由来の葉文様から人の顔が出ている。
左はアカンサス由来の葉文様
左は不明
中央はアカンサス由来の葉文様
葉は先が折り返して、角ではそれが三段に積み重なっている。
装飾的なアカンサスの葉か外から中に段々短くなり、真ん中のアカンサスの葉の上に乗る鷲が空間いっぱいに羽を広げ、飛び立とうとしている。
アカンサスの葉の上に大きな花が出ていて、このようなタイプのものはギリシアでも見た。
エピダウロスのアスクレピオス神域(前360-320)の博物館で見た柱頭彫刻は、細長い筒状の花だった。
しかしながら、アカンサスの花はこのようなものではない。日本で咲いていたアカンサスの花は こちら
柱頭ではないが、こんな彫刻も
王冠を被った女性と男性。男性の王冠の上にはアカンサスの葉が並んでいる。
→ブリウド サンジュリアン聖堂4 堂内のフレスコ画
関連記事
ブリウド サンジュリアン聖堂1 後陣のモディヨン
参考文献
「The Treasures of Romanesque Auvergne」 Text :Noël Graveline Photographs: Francis Debaisieux Design Mireille Debaisieux 2010年 Édition DEBAISIEUX