お知らせ

忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2019/01/29

きのわの硝子展 田上惠美子氏のマイブームその1


奈良の学園前にある大和文華館で見た後、きのわさんに立ち寄ると、雨にもかかわらずきのわさんは賑わっていた。

雨で暗いのに、ショーウィンドウのガラスには背景が反射して全体を写せない。
あっ、京都の画廊にしかわで初めて見た角を飾る流れるような作品が、岡山のギャラリー栂でも幾つか並んでいたが、それがこの硝子展ではショーウィンドウを飾っている。
この3つすべてにピント合わせるのは難しい。手前が蓮弁状のもの。
左奥は全体に金箔が広がっている。
その根源は上に飾られていたこのオブジェの類いになるのかな?
中に入ってオーナーさんに横からガラスを開けていただき、写させてもらう。
アクリルの直方体に鬼縮緬が透けているが、見えない部分もあって、金箔のオブジェの見え方と共にそれぞれに楽しめる。
やっと三つ目にピントがあったぞと👌表裏に花や細い葉が鏤めてあるような・・・

ギャラリー左側の棚にも
アクリルの立方体の角にとろける物体が。
光の当たり方で金色もいろいろ。
上の左から二番目を横にしたのが案内の葉書にあった作品だった。光の当たり方よりも、作品自体が淡い色なのだ。

なかなか5つ全部を写すのが難しい。
三つは縦の截金で蓮弁状のものが流れていて、
右端は縦線の方向や幅を変えてある。
写し方によってはアクリルの直方体がただの線にしか見えなくなる。
でも気になったのは右端のこの作品、立体的なものが対角に飾られている。
左奥の方は特に衣装の襞の重なりに見える。
細い草だけではなく、揺蕩う水草に見えたり、薄氷が割れて広がるようなところも。
それに一番奥の層の濃い色👀これは陰になっているだけ?ライトの当て方でいろんな見え方ができる。
表面にぶつぶつもある。

その下には小さなグループあり。しかもかなりクリアなアクリルやな~
田上氏によるとこれはガラスだそう。
もちろんこんなガラスの塊をコアガラスの技法でつくることはできないのだが、大きなガラスを切ったのは氏だという。そこで脳裏に浮かぶのは、氷屋がガラスのブロックをノコギリでガシャガシャ鋸で引いている場面。まさか😂
それにしても色んな形があって、さすがに芸術家🙌
左奥から
ガラス本体だけでなく、その影がすごい。それに角の細い面取の線が絡んで絶妙。
上の田上氏の作品は模様も色もそれぞれ。
その奥の真ん中。作品にピントを合わせるとクリアなガラスさえ存在感が失せる。
それにしても金箔で何を表そうとしているのだろう。
中の左端
金箔や銀箔が微妙に重なっているのかな。
広い面のごく一部にだけピントがあった。金箔と銀箔だけではなく、金箔にも号によって色は違うとのこと。

左前
落ち葉のようだが、

マクロレンズに変えると別のものが見えてきた。
何という細かさ!網目のようなものまである。ガラスが鉱物にみえてきた😎

右奥

右前
左側
やっぱり水中の世界かな?
金箔がこんな風に割れて広がるのはわかるけれど、細い線はどうやって?
右側
少しずつガラスを包み込んでいっているような🤔

このような作品は田上氏のマイブームの一つだそうで、右の棚にも別の系統が並んでいた。
青みがかった磨り硝子はちょっと揺らぎのある形なので、また違った雰囲気。
左端
ガラス棚に映る影と合わせて写す。
無色透明なガラスに金箔や銀箔を溶かすと、黄色っぽいところや赤っぽいところができるのだろうか。
中央
ほとんどピンボケ。
この儚い青ガラスは田上氏が作られかどうか聞くのを忘れた。
でも、一点だけピントが合っていました。
夢の世界であります。
右側
青ガラスに波のようなものが数本見えるので、海面から飛び出したイルカにも見える。
でもイルカには花が入っているのでは。

このような作品のつくりかたを説明する田上氏。右におられるのが中埜暢人・朗子夫妻。ご主人の木工作品に奥様が截金を施されるのだそう。

截金といえば仏像・仏画に施されている截金の文様を見て、この文様はどこで生まれた者だろうかという疑問を持ったのがきっかけで美術史を続けてきた。途中でいろんなものに出会い、寄り道をしながらではあったが。

閑話休題、長年謎とされてきた大英博物館蔵カノッサ出土のゴールドアカンサス文碗(前250年頃)の文様は截金で作られていた。まだ吹きガラスの技法がなく、鋳造ガラスの時代だった。
田上氏のコアガラスの技法もまた吹きガラス以前のガラスの作り方である。故江里佐代子氏の截金に触発されてコアガラスに截金を用いるようになったということだが、なんとも面白い偶然ではある。

田上氏の作品の素材。
金色のものは金の粒々が表面から出ていた。これは金箔ではできず、澄(ずみ)という金箔よりも分厚いものを使ったからこそのものだそう。



田上惠美子氏2019年初の硝子展はきのわで← →きのわの硝子展 田上惠美子氏のマイブームその2


関連項目
古代ガラス展5 金箔ガラスとその製作法