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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2020/04/24

ドムス・アウレア 八角形の部屋と付属の部屋


ドムス・アウレアの八角形広間について『世界美術大全集5』は、ドムス・アウレアの食堂は、八角形平面を成し、その上に4つの半円ヴォールトが交差することによって造り出されたドームが架かっているという。
とはいえ、この推定復元図は、素人の私には理解できかねる。

後期ロマネスクやゴシック様式の教会が最初と思っていた交差ヴォールトが、コロッセオにも見られることに驚いた前回のローマの旅の時点では、ドムス・アウレアは天井が崩落したとかいうことで見学は取りやめになっていた。そして再開された今回は絶対見ようと、早々と予約した。
そのドムス・アウレアのホームページのある文に、放射状の部屋のうちの2つの部屋を特徴づける交差ヴォールトは、最も古いこのタイプのヴォールトの遺例である(123・125)と明記してあり、コロッセオの交差ヴォールトよりも古いものが、しかも最古のものがドムス・アウレアにあるということなので、それを見ることを楽しみにしていた。

閉じられたドムス・アウレアのホームページの解説文は、東翼のネロ時代の重要な点は、八角の間を放射状に取り巻く部屋群である。それは、ローマ時代の建築史において特異な技術革新で、空間的な発想と大胆な構造であるという。
124室を中心に両側に2室ずつ、計5室と番号のない三角形の空間、及び柱廊があるものの、外側と出入りできるところが八角形の各面に面して設けられている。
下の写真で123室と125室にX印があるのは、交差ヴォールトの天井になっていることを示している。

間の抜けたことに、『世界美術大全集5』にこの平面図があることが分かったのがつい最近のこと。見学時は、同ホームページの125と126が入れ替わって付けられている平面図を、そのまま信じて参考にしていた。
最初のスライドでの八角形の広間の復元図

中央のアーチの下に楣のあるのが124室のニンファエム
アーチの奥の方は何かがありそう。
開口部から入って行くと、平面図の通りヴォールト天井で、壁側にレンガでアーチをつくっている。
楣のあるアーチの上よりも奥に、上のアーチがある。
下のアーチの奥にはスロープがある。これが『ローマ』がいうニンファエムの部屋で、上から水が流れるような仕掛けになっているのだろう。
92の大廊下の途中にあったアーチ橋のようなものが、ニンファエムへ水を供給する水路で、102室がこのスロープのある部屋なのだった。奥の光の当たる壁面の中の矩形の穴がアーチの内側に違いない。
後室から見上げると、オクルス以外にも天窓がある。
『世界美術大全集5』は、ドームの天窓による直接的な採光とドームの外側からの間接的な採光の組み合わせというかつてない採光法は、居間空間の天井がドーム曲面であることと相まりまったく新しい建築空間を造りだしたという。
楣の上(正確には102室)から眺めると、そのドームの外側からの間接的な採光が見える。
上の窓からかなりの範囲が素屋根に覆われていることがわかった。これではオッピオの丘からオクルスを見るのは無理。
『世界美術大全集5』が、オクルスの上には機械仕掛けで回転する円筒形の壁が立ち上がり、その上には小さなドームが架かっていたと解説している。その円筒形の壁だが、現在は八角形に復元しているようで、その一面が見えている。

ニンファエムの両側の部屋の天井が交差ヴォールト。どんな天井だろう。

まず123室へ。浅いアーチ形壁龕が奥と左右にあり、さらに両側壁には小さな開口部がある。
奥の壁龕には交差する線の交点に円が描かれている。彩色と金箔で装飾されているようで、両側面の浅いアーチに同じ装飾がある。
さて、問題の交差ヴォールトがその上の天井にあるはずだが、
暗い箇所がわかるように編集してみたが、ヴォールトが交差しているようには見えない。

次に125室
構造としては123室と同じ。
123室と同じく上にもアーチがある。
4つのアーチから立ち上がった天井が見えてきた。
この天井は、平たいが何となく四隅から対角線の筋が見えるようにも、見えないようにも・・・これが交差ヴォールト?
コロッセオの交差ヴォールト(後75-80)は、もっとくっきりと交差する箇所の稜線が見えている。しかも、それが通路の上に続いているのだ。もう少し違う角度から写せば、交差する稜線が分かったかな。

その外側の2室

122室
ヴォールト天井と浅い壁龕からなる。
奥のアーチ状の浅い壁龕やヴォールト天井にはいろんな形の装飾の跡がかすかに残っている。

126室
122室と同じ平面。
中ははがらんとした長方形で、123・125室よりも大きいし、壁面は壁龕もなくずんどうな部屋。
そのヴォールト天井は、明らかに半円ヴォールトで、右の立ち上がり部分に浮彫漆喰による区画が残っていて、これも122室と同じ。
期待が大きかっただけに、すっきりしない交差ヴォールトだった。

ドムス・アウレア 最古の金箔ガラスのモザイク

関連項目
ローマ ドムス・アウレア3 八角形の広間まで
ネロの黄金宮殿・ドムス・アウレア2 見学はXⅧから
ネロの黄金宮殿・ドムス・アウレア1
尖頭交差ヴォールト天井はゴシック様式

参考サイト
ドムス・アウレアのホームページ(現在は残っていない)

参考文献
「ローマの昔の姿と今の姿を徹底的に比較する!」 2001年 Mondadori Electa
「世界美術大全集5 古代地中海とローマ」 1997年 小学館