ロンデル窓というものを知らず、円いガラスを並べたガラス窓というものが面白いと思った程度だったが、サンマルコ大聖堂を写すとロンデル窓が写っていた。
前回のロンデル窓のアップは、このファサード(西正面)だった。
『ビザンティン美術への旅』は、サン・マルコの歴史は、都市の守護聖者マルコの遺骸を納めるために造られた9世紀の聖堂に遡る。現在見る建築は1071年に完成、1094年に献堂式が行われたという。
この派手な外観は11世紀のキリスト教会とは思えない。
『ST.MARK’S BASILICA』によると13世紀初期にはこのようなレンガ積みの外観だったらしい。大きな半円のロンデル窓もこの時代にはなかったし、ところどころ見られる窓は斜め格子の枠がある。
当時はロンデル窓ではなかったのだろうか。どのような根拠でこのような窓になったのだろう。
3面の外壁に大理石が貼られるのは、1204年にコンスタンティノープルを征服した後という。
南側の入口が閉じられたのは、16世紀にツェン礼拝室が造られた時らしい。
南側のこの大きな半円形のロンデル窓も16世紀に造られたのだろう。
サンマルコ大聖堂の中に入ると、階上廊から上は金地モザイクで埋め尽くされている。
ドームは高く、暗く、その上ほぼ立ち止まることなく見学していったので、12-13世紀のモザイク画が何を表しているのかよくわからなかった。
まして、暗い内部空間に光を取り込むため、ドームの基部に開けられた小さな窓に、もっと小さな円形が並んでいたとは、想像もできないことだった。
北側には15世紀に小さなマスコリ礼拝室が造られ、その奥には円い窓がある。
丸窓には4種類の大きさのロンデルがびっしりと並んでいる。
サンマルコ大聖堂は、13世紀以降、どんどんと変貌していったので、ロンデル窓がいつから造られるようになったかの参考にはならなかった。
※参考文献
「ビザンティン美術への旅」(赤松章・益田朋幸 1995年 平凡社)