正倉院展ではラクダによく出会う。去年の正倉院展で見た駱駝はとても小さなものだった。花の咲く野に遊ぶ鳥、野を駆ける獅子や鹿、鹿を追いかける鳥グリフィン、象に乗ってポロをする人や、飛びかかる獅子に象の上から矢で狙う人、鳥グリフィンに乗ってポロをする人などに交じって、駱駝や駱駝を引く人などが、「象牙を切り抜き線刻をし淡彩をほどこし」て表されている。
同展図録は、宝庫のシタン製木画の器物は、洗練された表現技法に共通する要素が多く、おそらく直接唐朝廷が関わったことを想像させる。なお、トルファン・アスターナ古墓からは小型の棊局や囲碁に興ずる仕女を描いた絹絵が出土している。盛唐の文化が東西に及んだ一例を知ることができるという。
文中のアスターナ185墓出土の「美人囲碁図」(8世紀)は、「シルクロード 絹と黄金の道展」で見た。その碁盤は格狭間(こうざま、脚部の刳り)が3つあり、側面に木画がない分低い。同展では206墓出土の「碁盤」(7世紀)も展観されていた。こちらは小型の模型と説明にあるが、明器(実用品ではなく、副葬用に作られたもの)だろう。格狭間は2つで、単純な刳りである。
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そう言えば、昨夏クチャ郊外を車で移動していて、ラクダを時々見かけた。ガイドの丁さんが「野生のラクダは人を見ると逃げますが、放牧しているラクダは逃げません」と言っていた。だから、このラクダは輸送用に訓練されたラクダか、放牧しているラクダだろう。
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一昨年正倉院展でみた駱駝は去年のものよりは大きかった、と思って四弦琵琶をじっくり見ると、ラクダではなく象だった。なんとええ加減な記憶だろう。
捍撥(かんぱち)には皮を張り白地下地に彩絵を施した上にその保護のために油を引く。密蛇絵(みちだえ)の一種である。縦約40cm、横約16cmの小さい画面に、縦方向に近景から遠景まで・略・奥行きのある図様を作り、盛唐期山水画を彷彿させる。図は騎象奏楽図と通称され、唐朝にもてはやされた異国趣味あふれるもの。・略・
なお、白色顔料の一部からは、純正鉛白ではなく塩化物系化合物が検出され、わが国における製作とみる有力な根拠とされるという。
そう言えば、成分分析でこの四弦琵琶が日本製であることがこの年に発表されたのだった。
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五弦琵琶が展観されてからかなりの歳月がたったように思う。そろそろ来年あたり、見てみたいなあ。
※四弦琵琶と五弦琵琶の画像は五弦琵琶は敦煌莫高窟にもあったにあります
※参考文献
「太陽正倉院シリーズ1 正倉院とシルクロード」 1981年 平凡社
「第五十六回正倉院展図録」 2004年 奈良国立博物館
「第五十七回正倉院展図録」 2005年 奈良国立博物館