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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2014/04/15

アクロティリ遺跡の壁画2 パピルスと婦人たち



アクロティリ遺跡の西北の建物は、複数の婦人がフレスコ画に描かれているので、婦人たちの家と呼ばれている。
北側の第1室で壁画が発見された。
パピルスが描かれていたので、博物館の図録『ART AND RELIGION IN THERA』ではパピルスの部屋とされている。 
南面中央には婦人A、場所がわかりにくいが、その向かい側には婦人B・Cが描かれていた。

その壁画はテラ先史博物館に、部屋として再現展示されている。
奥の狭い空間はパピルスの壁画が巡り、手前左の壁面には婦人A
右側の少し離れたところに婦人B・Cが展示されていた。
実際には婦人C像はほとんど残っていない。

その想像復元図
婦人Bが婦人Cに服を着せている場面かな。X脚の椅子に腰掛けたCの方が身分が高いのだろうか。
スカートはどんな作りなのだろう。

同書では、当時の服装はこのようなものだったと想像している。
暑い気候のせいか、長衣はスカート部分は筒状だが上はかなり開いている。Bの胸が見えているのはこのような衣裳のせいだろう。
長衣の上から巻きスカートを長い紐で結わえていたことは壁画からもわかる。
スカートは色の異なる布を、段々に、上部だけ縫い合わせていたようで、それぞれの下部が開いて華やかなものだったようだ。
このような衣裳はクレタ島で発見された蛇の女神像や印章指輪などに似ているが、クレタのスカートは段々になっていても、下まで縫い合わせてある。
アクロティリのものは巻いているだけなので、足を開くと裾が割れるという違いがある。
クレタの女性の衣裳についてはこちら

同書は、第1室についてはこのように想像している。
右壁はパピルスと婦人像の間に仕切り壁があり、手前に婦人B・C、その向かい側に婦人Aが描かれていたとしている。
左の婦人は左手の先がない。右手は拳を握りしめているが、どんなことをしていたのだろう。
頬が丸く赤いのはどこかの面で見たような・・・
目が血走っているのでは
婦人たちの上側には斜格子文に4点星という、今でも壁紙にありそうな文様。

パピルスは部屋の三面に描かれていた。
根元の土が赤かったり黄色だったりと、テラ島らしい色合い。
小さな木枠は窓?棚?
はて、パピルスってこんな花だったかな?

パピルスが3面に描かれた部屋は、建築複合体デルタのユリとツバメの壁画と同じく人物が登場しない。
それについて『世界美術大全集3エーゲ海とギリシア・アルカイック』は、何らかの儀式の背景としての役割があったのではないかという。
このパピルスの部屋でも儀式が行われ、半分壁で仕切られた側に婦人A及び婦人B・Cが描かれているように、こちら側は準備室で、儀式に向けてどのように服を着せたりしていくかを壁画に描いていたのではないだろうか。

     アクロティリ遺跡の壁画1 春のフレスコ(ユリとツバメ)
                      →アクロティリ遺跡の壁画3 舟行図

関連項目
イラクリオン考古博物館2 女性像
サントリーニ9 アクロティリ遺跡3
アクロティリ遺跡の壁画4 ボクシングをする少年
アクロティリ遺跡の壁画5 サフラン摘みの少女

※参考文献
「ART AND RELIGION IN THERA RECONSTRUCTING A BRONZE AGE SOCIETY」 Dr.NANNO MARINATOS  ATHENS
「世界美術大全集3エーゲ海とギリシア・アルカイック」 1997年 小学館