トルコ南部、ほとんどシリアに近い町ハランで有名なのは尖り屋根の家だ。
壁も屋根も日干レンガでできていて、屋根は日干レンガを持ち送った円錐ドームになっている。
円形の壁面から日干レンガを持ち送ってドームにするのは無理のないことだ。しかし、部屋は正方形またはそれに近いものだった。
そうなると、以前から問題にしているように、正方形の平面に円形のドームを載せるには四隅を工夫しなければならない。ペンデンティブかスキンチかということになる。
ペンデンティブは四隅から三角曲面がのびて、上にドームを載せているように見える。
一番大きくて分かり易いのはイスタンブールのアヤソフィアだ。
そして、スキンチで一番分かり易いのは、トルファン郊外の高昌故城β寺院講堂だろう。
どちらにしても、正方形の壁面からドームへの移行部ははっきりとわかるものだ。
しかし、ハラン・ハウスは壁に様々なものが掛けてあったり、1つの部屋が小さくてじっくり見ることができなかったので、どちらだったかがわかりにくかった。
というよりもどちらでもなかったと言った方が正解かも。ビデオで撮った画像にかろうじて隅の部分があった。
他の日干レンガよりも大きな板状のものを隅に水平に嵌め込んで、三角面を迫り出し、そこから日干レンガを持ち送って円錐ドームを架構しているといったようなものだった。
このような造りは、民家の一間程度のものだからこそ可能ではないのだろうか。
関連項目
11世紀に8つのペンデンティブにのるドーム
※参考文献
「イスラーム建築の見かた 聖なる意匠の歴史」 深見奈緒子 2003年 東京堂出版