久しぶりに訪れ、館内と庭園をゆっくり見てみようと思っていた。
平面図
①正面玄関 ②大広間 3次室 ④小客室 ⑤第一応接室 ⑥大客室 ⑦大食堂 ⑧喫煙室 ⑨小食堂
切石ではなくタイルの舗床モザイク。
そしてここにはSの文字が。これを見落としてしまったが、文字の裏側にはカードがあってアルファベットにちなんだタイトルとその説明、裏にはイラストがあるのだった。
もっと言うと、このアルファベットは、建物内の順路とは関係がないので、どこにどんなカードが現れるかは謎なのだった。
続いて大広間へ。
2 大広間 GREAT HALL UNEVEN HARMONY 空間のリズム
Uのカードは、装飾を抑えた大広間は、主に直線を生かしたシンメトリーな構成です。整然と配置された格子と電球、直線と曲線で編成されたラジエーターカバー等が、広い空間にアクセントを添えています。一方で、高級木材が与える重厚感と、大理石のレリーフの古典的な作風が生み出す和らぎ。二つのアーチ型による丸みと、天井照明や分割した鏡に見る複数の直角。いくつかのコントラストからも効果的な変化や動きがもたらされ、室内空間に良いリズムを生んでいますという。
1と2の間 SATINE サチネ
Sのカードは、優雅に翼を広げた4体の女性像が、訪れる者を迎え入れます。竣工当時から変わらず玄関に鎮座するのは、ル ネ・ラリックによるガラスレリーフの扉。この邸宅のために特注された一点ものです。
SATINE(サチネ)は、ガラス表面の仕上げに用いられたつや消し加工のことで、ラリックはこのなめらかな質感を「SATINE (絹のような)」と呼び、愛でていました。マットなガラスの質感が、室内の明かりを柔らかなものにしていますという。
えっ扉? 確かに蝶番があった。
中央の二枚が正面向き、左右の二枚が3/4内向き・・・・あれ、左端のガラスにひびが!
この時は左のガラスのひびに気付かずに真ん中の撮影するのに夢中だった。
その後新館に行くと、もう一枚のガラスレリーフが横たわっていて、上の方にひびが複数あった。正面向きなので中央の二枚のうちの一枚だ。
こんな風に下方向から眺めると、意外と腕が力強い。
3 次室 ANTEROOM
PERFUMED FOUNTAIN 香る噴水
Pのカードは、次室(つぎのま)は、主要な部屋に隣接する控えの間、つなぎの間としての役割を持つ部屋です。南面のテラスと庭園を望む大きな窓、床に敷き詰められたモザイクタイルは、地続きに外へとつながるような一体感と開放的な空間を生み出しますという。
「香水塔」は、アンリ・ラパンがデザインした磁器製のオブジェで、当時の記録には噴水器と記されています。上部の照明部分に香水を注ぎ、熱で香りをただよわせたエピソードから「香水塔」の名で呼ばれていますという。
往事の香りがどのように漂ってきたのだろう。それよりも黒い盤の外に草が生えているのを見つけたぞ。
4 小客室 SMALL DRAWING ROOM
Bのカードは、BABBLING OF WATER 水のせせらぎ。
アンリ・ラパンが描いた油彩画、大きなキャンバスが4枚壁面に張られています。四方を森の風景が取り囲む空間で、耳を澄ますと小川が流れる音が聞こえてくるような感覚や想像をかき立てる室内装飾です。
ラパンがフランスで制作した油彩画は、ロール状に巻かれた状態で届き、日本の職人の手によって、日本の伝統的な経師(きょうじ)の手法で念入りに壁に張られました。
朝香宮邸時代、ここは訪問者を招く応接室として使われていましたという。
5 第一応接室
左の通路を行くと玄関脇の部屋。壁を板ガラスに代えているので、玄関ホールの舗床モザイクが見えた。6 大客室 Salon
接客のメインである大客室では、当時フランスで活躍していた装飾家たちが腕をふるった。古代ギリシア風の柱頭飾りなどの古典主義的なモチーフをとりいれながらも、幾何学的に抽象化して現代的にまとめている。
内装・壁画:アンリ・ラパン
照明器具《ブカレスト》: ルネ・ラリック
扉エッチング・ガラス: マックス・アングラン
扉タンパンの鉄装飾: レイモン・シュブ
1933年の写真
シャンデリア
説明パネルは、花束が宙に浮かんでいるようなルネ・ラリック作のシャンデリア《ブカレスト》は、この邸宅のためにデザインされたものではありませんでした。当時のラリック社のカタログには、1928年から 1932年まで生産していたという記載が。解体して掃除ができる特性は、使い勝手も考慮されてのことでしょうかという。ガラスの扉
ガラスのタンパン
扉の向こうにあるのは次室の香る噴水
ラジエーターカバー
暖炉の一つ
MANTELPIECE マントルピース
Mのカードは、マントルピースとは、壁付き暖炉の周りを囲む飾り部分のことで、朝香宮邸時代はここにラジエーターという暖房設備が仕込まれていました。1階の応接スペースや、家族の居室だった2階のすべての居間にはマントルピースが造られ、各室のインテリアとして重要なアクセントになっています。
それぞれマントルピースには色や模様の異なる外国産の多彩な大理石が用いられていました。石の美しさは旧朝香宮邸の魅力の一つですという。
7 大食堂 Great Dining Hall
説明パネルは、来客時の会食に用いられたこの部屋には、西洋建築の伝統にのっとり、随所に食物モチーフの装飾が施されている。壁面の銀灰色のレリーフは、元来コンクリートで製作されたが、船での輸送時に破損したため、国内で型取りして採色した石膏のパネルが嵌め込まれた。
内装・マントルピース壁画:アンリ・ラパン
照明器具《パイナップルとざくろ》: ルネ・ラリック
扉エッチング・ガラス: マックス・アングラン
壁画レリーフ: イヴァン=レオン・ブランショ
大食堂とはまた違った文様のガラス扉から入ると、
ラジエーターカバーは魚介類
EAT WITH YOUR EYES 食べられそうな
Eのカードは、大食堂は、庭園を望む南向きの円形に張り出した窓が開放的な空間です。水中を泳ぐ魚や貝、海藻、パイナップルとザクロ、洋ナシやレモンに似た果実と、ワイングラスのようなモチーフが壁・照明・扉にあしらわれています。アンリ・ラパンが手がけた壁画には、みずみずしいフルーツも描かれています。
この部屋では、各所に散りばめられた「食」にまつわるモチーフが生き生きと躍動し、見る者の遊び心をくすぐるとともに食のたのしみを伝えているようですという。
テーブルに置かれた鉢かバスケットに果物が盛ってありそうだが、天井を見上げると照明のカバーが立体時な果物だった。
8 喫煙室 気が付かなかった
9 小食堂 Private Dining Room
説明パネルは、朝香宮家の日常の食事に用いられた部屋で、西洋スタイルで統一されたこの建物には珍しく、和の要素を備えた内装となっているという。
5第一応接室と同じで、ガラス棒が一周する照明
これは廊下の照明だったかな。
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参考にしたもの
東京都庭園美術館のリーフレット