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忘れへんうちに 旅編に、中央アジア各地の旅に続いて、イランの旅を記載し始めました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2013/07/12

當麻曼荼羅5 十三観



當麻曼荼羅について『日本の美術272浄土図』は、外縁部(外陣)には、この極楽浄土に往生せんがためのいわれと方法を、三辺に分けて説話画としてあらわすのが、この当麻曼荼羅の最大の特色であるという。
右辺には、韋提希の要望により開示された、極楽浄土を観想するための16の手段(十六観想)のうち、第一日観想より、水、地、樹、池、楼、華座、形像、真身、観音、勢至、普想、そして第十三雑相観に至る13図を、上から下へ順番に配置する(定善義)。したがってこの十三観は、心静めて観想する方法といわれており、また、韋提希のために開示されたものだから、各図にはそれぞれ合掌礼拝の韋提希と侍女を配置するという。
今回も文亀本(室町時代、永正2年、1505)と見比べながら、『當麻寺展図録』の「當麻曼荼羅の図解-貞享本をもとに」に沿ってみていくことにする。
1 日想観(太陽の観想)
心を集中させ、西に向かって正座し、沈もうとする太陽をみて想いえがく。
2 木想観(水の観想)
清らかな水をみて、さらに透き通った氷をみる。
3 地想観(大地の観想)
黄金の柱が支える透き通った大地をみる。
大地が発する光の上には宮殿が建ち、花の幡と楽器が荘厳するという。
宝地は、池に浮かぶ台の上では菩薩が楽器を奏で、往生者の誕生を祝うという。
ここでいう大地とは、極楽の池に浮かぶ台のことらしい。
4 宝樹観(宝樹の観想)
花と真珠の網で覆われた七重の宝樹をみる。
網の間には宮殿があり、宝樹は三千の世界を映すという。
何故なら、極楽に往生した者は、左右の宝樹のもとで、いよいよ阿弥陀如来にまみえるからだそう。
5 宝池観(宝池の観想)
七宝でできた8つの池をみる。
池には蓮の花が咲き、木々に水の流れが注がれる。その音は尊い教えのようであるという。
宝池には、たくさんの蓮が花を咲かせ、その中に菩薩として極楽に生まれ変わった往生者の姿がみえるという。
6 宝楼観(宮殿の観想)
宮殿の中で無数の天人たちが楽器を奏でている。
空には楽器が舞い、自然に鳴り響いているという。
宝楼では、園庭を囲んで建つ楼閣は廻廊や橋で結ばれ、その中で無数の仏・菩薩がくつろぐという。
7 華座観(蓮華座の観想)
いよいよ阿弥陀如来をみる。
七宝の大地の上に真珠の網で飾られた蓮華座がある。
台座の上には幡があり、宝石や宝珠で飾られるという。
8 像想観(姿の観想)
宝地、宝池そして立ち並ぶ宝樹の中に、蓮華座に坐る阿弥陀如来をみる。
仏の左右の蓮華座には、観音菩薩と勢至菩薩が坐る。
9 真身観(阿弥陀如来の観想)
阿弥陀如来の身長は60万億那由他恒河沙由旬の大きさで、仏の発する光の中に化仏があり、各々に化菩薩があって、侍者となっている。
10 観音観(観音菩薩の観想)
観音菩薩の身長は80万億那由他由旬の大きさで、菩薩の発する光の中に化仏があり、各々に化菩薩があり、五道の世界が表れている。
11 勢至観(勢至菩薩の観想)
勢至菩薩の身長は80万億那由他由旬の大きさで、菩薩の発する光は10万を照らし、肉髻の上に宝瓶をのせている。
12 普観(完全な観想)
自分が西方極楽浄土に生まれ、蓮華座に両足を組んで坐る姿を思う。
蓮華が開き、光が体を照らし、仏菩薩が空中にあるのをみる。
13 雑想観(様々な観想)
大小自在に変化する阿弥陀如来が池の上に立つのをみる。
仏が発する光の化仏、蓮華、観音および勢至菩薩は、阿弥陀如来を助けて衆生を教化する。
このような観想を経て、韋提希夫人は中央の極楽浄土への往生を遂げたことだろう。

つづく

関連項目
當麻曼荼羅6 宝台に截金?
當麻曼荼羅4 序分義
當麻曼荼羅3 九品来迎図
當麻曼荼羅2
西方浄土図細部
綴織當麻曼荼羅の主尊の顔
当麻曼荼羅原本は綴織
當麻寺展1 綴織當麻曼荼羅の主尊の顔
当麻寺で中将姫往生練供養会式
当麻寺で観世音寺を思い出す

※参考文献
「當麻寺 極楽浄土へのあこがれ展図録」 奈良国立博物館 2013年 奈良国立博物館・読売新聞社
「日本の美術272 浄土図」 河原由雄 1989年 至文堂
「日本の美術204 飛鳥・奈良絵画」 百橋明穂編 1983年 至文堂