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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2008/09/24

雲崗石窟に三柱九輪塔


三柱九輪塔は法隆寺夢殿の救世観音像の光背だけでなく、中国の仏像の光背にもあった。 

如来三尊立像 石灰岩・金・彩色 高さ310㎝ 1996年山東省青州市龍興寺址出土 東魏時代(534-550) 青州市博物館蔵
救世観音像よりも少し前に造られた石造の如来三尊像の三柱九輪塔は、左右対称の蓮の葉のある渦巻きの奧に宝塔がある。三柱の相輪にも渦巻きがついているので、下の建物と上の相輪が別々のものに見えそうな宝塔になっている。しかし、三柱の相輪を見ていると、雲崗石窟で浮彫の塔にあった3つの相輪を不思議に思っていたことを思い出した。 

13窟拱門東壁(雲崗中期、465-493年)に、三柱九輪塔と思われる塔が仏龕の両側に2基表されている。塔の各層に仏が1体ずつ龕のようなもので仕切られているので、二仏並坐ではないのだろう。 14窟前室西壁(雲崗中期、465-493年)には単層の三柱九輪塔が、帯文様のように両側に縦に並んでいる。その1つ1つには仏の単独坐像があらわされているので、多宝如来だろう。当時の人々は、功徳を施すために、たくさんの塔を造ったのだろうか。
中央2段目には二仏並坐像が大きく表されている。17窟拱門東壁(雲崗後期、493-524年)にも大きな三柱九輪塔がある。2層目に二仏並坐像があるし、枠の向こうには二仏並坐像が大きく表されている。
他にも雲崗石窟には塔の浮彫がたくさんあった。北魏時代には中国でも、塔を造り供養することは功徳の大きい行為とされたのでたくさんあるのかも。

※参考文献
「中国国宝展図録」(2004年 朝日新聞社)