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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2021/11/19

ギャラリー栂 田上恵美子氏の個展は蜻蛉玉からの進化


やっとコロナの規制が緩和されて、待ちに待った田上惠美子氏の個展に行くことができたというのに、またしても最終日最終日となっしまった。
不思議な形のギャラリー栂。


田上惠美子氏の受賞歴

ご子息の拓氏との珪砂組というユニットでも2019年に国際ガラス展金沢で金賞を受賞された。


ギャラリーに入ってまず見えたのは、田上惠美子氏・拓氏が2019年の国際ガラス展金沢で金賞を受賞した「散華」のシリーズ。

上段

中段

下段 どれが実像でどれが虚像なのか・・・ 上から見下ろすのが一番面白いかも

離れた場所に散華の制作過程のパネルがあった。
重そうなコアだけど、手は大丈夫?と腱鞘炎が治らない私が心配になるくらい。🤔


いつも全体を写し忘れて、それぞれの作品だけを撮影してしまう。

去年は「スプラッシュ」という名称だった。私は密かにハリネズミと呼んでいたが、今年は「しぶき」になっていた。オブジェだけでなく、こんな風に指輪になったり、ペンダントトップになったりと実用品にも進化中。

ビニールのワイヤーに繋いだ蜻蛉玉と、それを飾っておく石と金属のスタンド 

帯留めにも截金の装飾、そして中に金の砂子が泳いでいるものも。


さいころシリーズ
この深い彫りのあるさいころは、ずいぶんから見ているけれど、どんどんと変化、進化している。
私が見た最初の「さいころ」たちは、2010年のアートボックスでの個展で、ブレスレットになっていた。そしてその個展では、蜻蛉玉源氏物語シリーズがもう始まっていた。

夕暮れと墨流し
墨流しは、古くから製作されてきたコアガラスの香油瓶では縦のジグザグ文だけど、それを透明ガラスに横向きに仕上げてある。確か田上氏は蜻蛉玉から制作を初められたはず。ひょっとして、巡り巡って原点に立ち返っておられるのでは・・・

そういえば、ずっと以前に、透明な香油瓶にこんな文様を施したら、どんな風に見えるのかなと思ったことがある。それを田上氏に頼んでみようかと思いながら、どんどんとうまれる新しいものに目を奪われているうちに忘れていた😅

月 
左下の2点には満月がでていますな。

ついでに今年の中秋の名月の写真を😉


そして「散華」風の小さな一群はイヤーカフ
金箔を貼り付けているというより、彫り込んだ線に象嵌している風にも見える。


窓際で見つけた案内のはがきにと同じ作品群。

はがきでは、三角形のものが何なのかよく分からなかったが、現地で見て納得!三角形のいや低い三角錐のガラスに散華が被さっているのだった。

その隣には指輪、ペンダントにブレスレット



これが田上惠美子氏の2018年日本工芸展近畿展入選作「蜻蛉玉源氏物語」
これって全部写すのって難しいのよ。それとも私が背が低いからか・・・


壁には田上拓氏制作のワイヤーチョーカーが並び、その下には額の中に浮く作品が。

これも確かめたかったものの一つ。田上氏の漫ろ事で、ギャラリー・ヘプタゴンでの個展の写真に、四角い枠の中央に作品が宙に浮いているようなものを発見して、いったいどうなっているのかと不思議に思っていたのだった。


隣の台にはすごい羽織紐が並び、


その奥に3つの盃が。
これが2021年度の日本伝統工芸展近畿展入選作「綾水月」。受賞作のか、同じシリーズなのかはよく分からなかった。

見る方向や角度で違って見える。


左から一つずつ



そして側面から。上から見たのとは全然違うのだった。



こんな壁掛けもおしゃれ。でも、下のプレートには私の服の色が映ったみたい。


石とコアガラスの作品は続きます。
全て取り外しができますと、泡状のガラスを外して見せてもらいました。やっぱり鉱物の名前も書いておいてほしいなあ😶

この列最後の3点。
一番奥のはうつむき加減の姿は疲れた旅人のよう。鉱物も枯れている。
このとろんととろけそうな笠だが、見る方向で金色になったり、透明になったり🙃


そして奥の壁の作品は「しぶき」シリーズ。石板の上にのったり、はみ出したり。
もっと大きなのを作ったら売れてしまったとのこと。オブジェとしてだけでなく、ペンダントや、ピンバッチにして身に付ける人もいるのだそう。落としそうやけど。
一番気になるのは、木製の枠に浮遊するしぶき君。

近よって見ると、アクリルの板に穴を開けて金具で留めてあった。

この枠の中を浮遊するしぶき君というのは作れないのかなあ。


石とガラスの組み合わせもいろいろ。これは盃として使えて実用品にも。


文様のない盃と薄いブルーの曇りガラスという組み合わせ。これって2020年の日本伝統工芸展近畿展の入選作品と同じ「水月」の盃?
真珠貝を見つめているような気持ちになる。


田上氏の石コレクションとコアガラス盃との組み合わせ。


そして石とコアガラスの香合も



幾何学形の透明ガラスの角にお餅のようなガラスがのっている。

箔が貼り付けられた面のあるガラス台の角にアメーバがくっついているような・・・

中は液体で満たされているようにも見える。

赤血球のような円盤状の泡も👀

溶岩流を見ているような模様←見たんか


変化のある散華に挟まれたぷよぷよたち 🤗


私の一番好きな仏画、興福院本阿弥陀聖衆来迎図は、阿弥陀如来及び菩薩たちが、それぞれに色を違えた蓮台に乗って風を切って来迎する図であるが、その蓮弁のように田上氏の散華シリーズは色彩も蓮弁の形もさまざまである。

次回はこんな風に散華を変形させる過程のパネルをお願いしま~す😁

じっと見ていたら、ちょっとずつ形が変わっていくのではないかと思うくらい😊


田上一家と親しいご夫妻が身に来られていて、いろいろと作品を説明されていた。そして最後に拓氏が取り出されたものは、丸い石にコアガラスを被せたもので、全体としては球に見えた(ピンボケ)。
それは、これまでの岩石にガラスをのせたものというだけでなく、コアガラスが揺れて石に当たると音がする、風鈴のようなものだった。
厚かましくそれを動画で撮影させてもらい、楽しんでいるが、このブログにはアップできなくて残念。
拓氏の創意工夫で、いつか「しぶき」君も進化して、綱渡りをするようになっているかも知れない🤩

田上惠美子氏によると、この石は小豆島の海岸で拾ってきたものだが、大坂城の石垣となった花崗岩ではないらしい。小豆島の辺りは日本列島ができる過程でいろんな動きがあったところらしく、そのせいで様々な岩石が見つかるところとか。
ジオ・ジャパンを見直そうっと😄

ギャラリー栂の後は紅葉の閑谷学校にいってきた。秋のお出かけ日和を満喫した一日だった。


関連項目
2018年ギャラリー栂での田上惠美子氏の硝子展

参考文献
「絵は語る 高野山阿弥陀聖衆来迎図 夢見る力」 須藤弘敏 1994年 平凡社