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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2019/07/09

一遍聖絵と時宗の名宝展 一遍聖絵巻5-8


『一遍聖絵展図録』は、一遍は、その生涯の大半を諸国の遊行に費やし、神社仏閣を参詣し、貴賎の間に念仏を勧進し、賦算を行い、道俗とともに踊り念仏をするなど布教に努めた。
『聖絵』12巻は、国宝清浄光寺本(歓喜光寺旧蔵、第7巻は東京国立博物館蔵)の第12巻末の奥書によって、正安元年(1299)一遍の十回忌に当り報恩謝徳のために制作されたもので、一遍の門弟で弟とされる歓喜光寺の開山となる聖戒(1261-1323)が詞書を編述起草し、法眼円伊が絵を描き、藤原経伊が外題を書いたことが知られる。
『聖絵』12巻は、阿弥陀如来の十二光四十八願にちなみ12巻48段にして詞書と絵とで描き表わした絹本著色の豪華な絵巻であるという。 


巻5-1
大井太郎の姉、一遍を迎え念仏供養
踏み落とした板敷を修繕せず形見とする(信濃国)

巻5-2
小野寺でのにわか雨(下野国)

巻5-3
白河関(陸奥国)
山岳部は深い緑の樹木の間に紅葉した木々が混じる。
巻5-4
江刺郡にて祖父河野通信の墳墓に参る
当時の墓は土饅頭形だったことを知った。
なんと、このお墓は、現在でも残っていて、遺跡・史跡アラカルト北上市ひじり塚に詳しく紹介されています。
巻5-5
松島・平泉の方面から常陸国、そして武蔵国へ
季節は秋から初冬へ。うっすら積もった雪景色の中を歩く一行。
一遍上人は夏も冬も裸足に下駄。足袋を履く者はいない。裸足で歩いている者も。
笹や枯れた薄にも積もる雪。
船頭もいない船。この船に乗ったのだろうか。
巻5-6
鎌倉入りを拒まれる(相模国)
鎌倉の外にて供養を受ける

巻6-1
片瀬の館の御堂にて別時念仏
生阿弥陀仏に十念を授ける(相模国)
片瀬の浜の地蔵堂 貴賎道俗群集する
がたがたの床の舞台に密集して踊り念仏を行う僧たち。舞台の端にはよじ登る子供も描かれる。
巻6-2
三嶋大社に参詣(伊豆国)
社殿は長々と続いているが省略。
番いの白鳥は飼われているのだろう。
巻6-3
鰺坂入道、富士川に入水し往生を遂げる(駿河国)
左の草色に見えるのが富士川
まだ宝永山がないころの富士山
谷筋にも雪が残るところを丁寧に描写
巻6-4
甚目寺にて行法 毘沙門天像の霊験(尾張国)

巻7
同展図録は、清浄光寺蔵「一遍聖絵」のうち、京における一遍の賦算や踊り念仏を収録した巻7(全4段)は、第4段の詞書と第1-4段の絵が流出しており、そのうち絵のみを後世に補って現状の形にしている。東博本は、その流出部分を巻子状に仕立てたもので、さらに流出前より付随していたと思われる奥書と、新写した第1段の詞書を加えているという。

巻7-1 関寺にて踊り念仏(近江国)
綴じ目あたりがうまく取り込めなかった。
後世に写されたという清浄光寺本を補足として載せる。色調が全然違う。
波立つ風の強い日、無人の舟にはカワウが留まっている。その左には材木が積まれている。
水に囲まれた舞台で踊る

巻7-2
四条京極の釈迦堂に入り人々群集する
その後因幡堂、三条悲田院、蓮光院(山城国・京)
鴨川に架かる橋の袂に鳥居。
その傍の釈迦堂は小さな建物で囲まれ、中央の舞台との隙間は狭い。
 舞台で踊り念仏を行っているのを見ようと入ってきた人々と牛車が犇めき合う。中に入れない者たちや牛車が四条通りに溢れる。

巻7-3
雲居寺、六波羅蜜寺を経て市屋に道場を建て踊り念仏を行う(山城国・京)
この踊り念仏の舞台は道場と呼ばれ、一遍が建てたものだった。


ここでも牛車に乗った牛車が押し寄せている。
筏流しの様子が描写されているが、この川は?

巻7-4
桂(山城国)
ここでは踊り念仏は行わず、一遍の説法を部屋で聞いているらしい。その庭に坐って説法を聴く者たちや、遠くからやって来る人々などが描かれる。
桂川を泳いでいるのは子供?それとも説法を聴きに来た者たち?
説法をする一遍一行と、傍の道を牛を連れて通る人たち

巻8-1
篠村穴生寺(丹波国)

巻8-2
久美浜にて念仏 龍出現の霊験(丹後国)
その後但馬国、因幡国、伯耆国
波の静かな久美浜の上空に龍が出現。

巻8-3
一宮に参詣 霊験相次ぐ(美作国)

巻8-4
四天王寺に参詣 霊園相次ぐ(摂津国)
巻2の四天王寺とは方角を変えて描写している。

巻8-5
住吉大社、和泉国を経て聖徳太子墓に参籠
鏡を献上する(河内国)
南河内郡太子町に現存する叡福寺北古墳と呼ばれている墓。
以前から行きたいと思いつつ、まだ果たせていない。

巻8-6
当麻寺に参籠
中将姫自筆の称讃浄土経一巻を貰い受ける(大和国)
現在も東を向く本堂が描かれる。
本堂正面に坐る一遍の前から奥へはおそらく経巻が並べられている。
食事のおもてなしの場面か、廊下の隅にいる老女に大盛りのご飯を振る舞っている。

一遍聖絵巻1-4← →一遍聖絵巻9-12

関連項目
叡福寺北古墳については脱活乾漆は古墳の夾紵棺に
当麻寺については当麻寺本堂に入ると

参考サイト
遺跡・史跡アラカルト北上市ひじり塚

参考文献
「国宝一遍聖絵と時宗の名宝展図録」 2019年 京都国立博物館