トユク石窟では鍵番はいるものの、敦煌莫高窟のような専門ガイドはいないらしく現地ガイドの丁鋳さんが説明をしてくれた。38窟から見学する。
千仏の顔に隈取りがある。「うんげんです。敦煌より古いです」丁さんの説明に頭がガーンとなる。「うんげん」というのは昔から読めるが書けない漢字だったのだ。そう言われると、莫高窟で最古の窟と言われる275窟の天人の輪郭は化学変化で黒くなったにしても、べったりと濃い隈取りだった。なんとなく、ここの千仏(実際は菩薩と仏が交互に描かれている)の方が隈取りに濃淡があるような気がしてきた。なんというええ加減さ。


ここでもまた馬さんは「うんげん」という言葉を使った。人物の立体感を濃淡のある隈取りで表現していることを「うんげん」という言葉を使っているのだが、漢字は頭に思い浮かばない。「うん」の「日・ワの下が分からない」というと馬さんが「車です。中国では暈染と言います」と教えてくれ、「暈」はその日覚えた漢字となった。そして帰国して調べて見ると「げん」は「繝(けん)」で、その次ぎに覚えた漢字となった。忘れないようにしよう。確かに、人物や馬に立体感をつけるため、暈繝を効果的に使っている。




関連項目
敦煌莫高窟5 暈繝の変遷2
敦煌莫高窟4 暈繝の変遷1
奈良時代の匠たち展1 繧繝彩色とその復元
第五十八回正倉院展の暈繝と夾纈
日本でいう暈繝とは
暈繝はどっちが先?中国?パルミラ?
隈取りの起源は?
日本でいう隈取りとは
※参考文献
「中國新疆壁畫全集1」1995年 新疆美術攝影出版社
「中國新疆壁畫全集2」1995年 新疆美術攝影出版社
「中國新疆壁畫全集6」1995年 新疆美術攝影出版社