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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2006/10/07

月のウサギ



十六夜の今日も月が出ていたので、ウサギを撮ろうと再挑戦したがだめだった。それで、昨夜写した中から拡大したら、なんとかウサギらしきものが見えた。 新疆のキジル石窟を見学した時に、第34窟の窟頂には満月の中に大きくウサギが描かれているのを見て、若い石窟ガイドの馬さんが「日本では月に住むウサギは餅をつきますね。中国ではウサギは天女のペットです」と言ったのだった。多くの石窟の窟頂には天象図があり、太陽は丸く、月は三日月に描かれていたのだが、この窟だけは満月に描かれていた。いつも拝見している「和菓子手帖」pecoさんより「中秋の名月と潰れた月見団子」に「中国の伝説ではうさぎは天女とともに月にいて(ペットかどうかはわかりませんが・・・笑)、不老不死の仙薬を搗いているといわれているそうな。。。」というコメントを頂いた。

全く知らない話だったが、「和菓子手帖」9月1日の「和三盆 『月うさぎ』」を開くと、トラックバックされた「ちいさな楽しみ 月兎の伝説」に秋はお月見、紋様事典をながめていてこんな画像をみつけました。中国の古代神話では月のなかで兎が仙薬を搗いているとして月の象徴とされましたという文があった。いつも拝見していたが、和三盆のお菓子しか覚えていなかった。

そこで、何かそのような画像がないかと探したら、車のドアミラーや、防災防犯ガラスを製作している村上開明堂のホームページに「中国古鏡展」というネット博物館がある。その中の唐時代の中の「月宮図八稜鏡」と以下の説明文があった。
月中に存在すると当時の人々に考えられていた事物を網羅(もうら)して描いた鏡。亀形の鈕の右上には月桂樹(げっけいじゅ)(月に生える桂の木)、左上には右手に葉のついた果実を乗せた盤、左手に「大吉」の文字の入った札を持ち、衣を翻(ひるがえ)して飛ぶ仙女が描かれる。西王母の不老長生の桃の実を盗んだ嫦娥(じょうが)が月に逃れる「嫦娥奔月(じょうがほんげつ)」の故事の表現と考えられる。左下には仙薬を搗(つ)く玉兎(ぎょくと)、右下には跳びはねる蟾蜍(せんじょ)がいる。中国古代神話では、玉兎・蟾蜍は共に月中に住むとされる。全てが月に係わる図像である。
ところが、「星にまつわる神話伝説と天文宇宙のページ 星の神殿」というホームページの 月兎のお話にことよせましての頁では、中国の月に住むものをさかのぼっている。なんと最初はハマグリが住んでいたらしい。 
また「日本 月のうさぎの伝来」には、天寿国繍帳に月にウサギと薬壺があるということだった。
それで「女性と仏教 いのりとほほえみ」展で天寿国繍帳を見たことを思い出し、図録を開いてみた。確かに、あまり可愛くないウサギと壺が表されている。日本でも最初は餅をついていなかったのだ。
中国でハマグリからウサギになる過程と、日本でウサギは何故餅をつくようになったのかは同頁をどうぞ。
※参考文献
「中國新疆壁畫全集2 克孜爾」1995年 新疆壁攝影出版社
「女性と仏教 いのりとほほえみ展図録」2003年 奈良国立博物館