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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2023/08/01

ルピュイ サンミシェルデギュイユ礼拝堂 La Chapelle Saint-Michel d'Aiguilhe 3 内部のフレスコ画


サンミシェルデギュイユ礼拝堂は岩山の上に建てられたため、不規則な平面にならざるを得ず、その中に円柱を立て、交差天井にして身廊を巡っているため、天井の面も規則になっている。

フランス・ロマネスク散策 Balade dans l'Art Roman en France のエギル Aiguilhe (以下ロマネスク散策)は、10世紀に建てられた初期ロマネスク様式の最初の礼拝堂は、ピラミッド型の天井で覆われた方形平面で、半ドームの3つの後陣祭室(東・北・南)があった。
12世紀に、最初の礼拝堂の南側に、身廊と、楕円を描きながら身廊を囲む、岩の頂の周囲に沿ったギャラリー、北西側に鐘楼が造られた。そして最初の礼拝堂と新しい身廊とを繋ぐため、南後陣祭室は破壊され、トリビューンが整備された。またこの時、建物の入り口は西から南東に移されたという。

サンミシェルデギュイユ礼拝堂の平面図(A.マレによる、Wikipèdiaより)
建築家A.マレによるサンミシェルデギュィユ礼拝堂の平面図 Wikipèdiaより


石段を上がってギャラリーを通り、㉗-㉙の円柱の間から身廊に入ると、㉜㉓の奥の内陣が見える。変則的な構造でも身廊から内陣へのアクセスは確保されている。


内陣の壁画

東側を向いて見上げた天井の画 10世紀制作、12世紀修復
ロマネスク散策は、アプスは全面がフレスコ画に覆われている。
内陣のヴォールトを覆うフレスコ画は、10世紀に制作された、そして恐らく12世紀に、最初の画の構成を残しつつ、新たに色塗られたと考えられている。
マンドルラの中で玉座についたキリストが場面の中心に描かれ、その両脇のメダイヨンの中には太陽と月。キリストの反対側には、大天使ミカエルの姿があり、その両脇にセラフィムの姿。コーナーのメダイヨンには、四福音記者のシンボルがあるという。
身廊から㉓㉜の円柱の間から入ると、玉座のキリストの上下が合っている。
見上げるとマンドルラ(古いせいか、アーモンド形ではなく円形)を背後に球に坐したキリストが右手を上げて祝福している。「玉座のキリスト」とか「祝福のキリスト」と呼ばれている。
矩形の天井四隅のメダイヨンには、マルコは獅子、マタイは人、ルカは牡牛、そしてヨハネは鷲がという福音書記者の象徴が描かれている。
キリストの両側の小さなメダイヨンに表される月と太陽はキリスト教以前の信仰に関係があるのだろうか。
仏教美術では、北魏時代の山東省で制作された弥勒三尊像(529年)が最初期のもので、唐時代の陝西省彬県大仏寺の仏三尊像に見られるのが最後期のものと、今のところ思っているが、もちろん仏教美術における日月がキリスト教美術に影響を与えたということはない。たまたま思い出しただけだが、玉座のキリスト図では他に見たことがないように思う。

東壁のフレスコ画
ロマネスク散策は、真下には十二使徒、天使、聖人が並ぶというが、どの面が十二使徒でどの面が天使や聖人なのか、よく分からない。


最上部これらの人物たちが十二使徒や天使には見えないが・・・

北壁右下と南壁左下にまたがるフレスコ画
ロマネスク散策は、その下には、新しいエルサレムと死者の復活の場面が描かれているという。
東から北の壁面に続いている。大天使ミカエルが天国に行ける人々を選別し、「新しいエルサレム」に来ることができた各アーチの中の人たち。二人ずつ描かれてる。
コンクのサントフォワ教会西ファサードのタンパンでも、天上のエルサレムでは2-3名の人たちがアーチの中に収まっている。

盗癖の下には小さな後陣がある。
短い円柱の上に黒い石の板を置いただけの祭壇はその正面に置かれている。


東壁右下
天使に助けられて地獄から天国に迎えられる人たちのよう。


南側壁面
頂部には十二使徒の6名


東壁右から南壁左
大天使ミカエルに救われる人々と、地獄に墜ちる人々を表現していると思われるが、風化が激しくほとんど分からない。


南壁右から西壁左
ロマネスク散策は、醜い姿をした動物に苦しめられる地獄に落ちた者達の姿がある。最後の審判を連想させるというが、これも劣化がひどくてよく分からない。
左の人には光背があるので、地獄にアダムとエヴァを助けに来たキリスト、つまりキリストの冥府下りの場面かな。
キリストの冥府下りとしてトゥールーズのオーギュスタン美術館蔵旧ドラド修道院回廊の柱頭彫刻(1120-30年)、


西壁フレスコ画

その天井は、大天使ミカエルが竜を退治する図の上下が合う。

西壁右から北壁左
同じ人物が両方に描かれているようだ。


そして北壁フレスコ画 これで一周
上の段は十二使徒の内の6名に思える。

下に祭室


身廊のフレスコ画

植物を背後にした人物が二人。の顔と右肩が見え、その前には城門があり、立派な衣装をまとった髭の人物と、その手を握る腰をかがめた人物が描かれている。


マギの礼拝
馬に乗った3名のマギ(東方の博士とも)がキリストの誕生を知って祝いに駆けつける場面。
特に白馬が前肢、後肢それぞれを揃えているのが気になる。急いでいるのを強調しているのだろうか。
アッシリアの戦車を牽く馬のよう。


ギャラリーの複雑な交差天井にもフレスコ画の痕跡がある。

その下にはおそらくどの時代かの司教が描かれている。



丸いステンドグラスはファサードのタンパン上にある穴からの光を通す。
この部分をロマネスク散策は、トリビューン(階上廊)としている。入口の上には違いないが。

リボンのような幾何学文様と鳥

動物の頭をつつく鳥、猛禽よりもカモのようだが


丸窓の上には玉座のキリスト両側のスキンチのような曲面には二人ずつ聖人や使徒たち

90度左へ
やはりスキンチのような曲面には二人ずつ聖人が描かれている。その間には2枚の翼を持つ天使

その天使の上には太陽または天上を表す円。この円のような、五弁の花をアレンジしたようなものが中心となっている。


天使の下のアーチ面にも聖人や使徒たちが描かれている。

その下の曲面には三人ずつ描かれる


⑧の柱頭の上には幾何学的な文様の壁面と聖人(紫衣を着た聖母かも)などが描かれる壁面がある。





参考サイト