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忘れへんうちに 旅編に、中央アジア各地の旅に続いて、イランの旅を記載し始めました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2017/07/04

ペルセポリス ペルシア風ラマッス


ペルセポリスの入口大階段を上り詰めたところに万国の門がある。ダリウス大王の息子クセルクセス1世期(前486-465年)のもの。
門の両側に牡牛像がある。その想像復元図(『Persepolis Recreated』より)では、牡牛が金色で荘厳されている。おそらく金箔を貼り付けていたのだろう。
牡牛たちは前方を見ているというよりは、直下を通る者を監視するように、下を凝視していた。

メソポタミアのラマッスは、前面観と側面観を同時に表しているために肢が5本あるのだが、この牡牛像は前肢2本で正面観、後肢2本で側面観を表している。

人面有翼牡牛像 前721-705年 イラク、コルサバード、サルゴン2世の宮殿出土 アラバスター 高420㎝ ルーヴル美術館蔵
『世界美術大全集東洋編16西アジア』は、新アッシリア時代には、宮殿の主要な通路や出入口に、巨大な石製守護像が設置された。巨像は、肩までかかる髪と顎鬚を有する人間の頭部に、翼をもつ牡牛の身体を組み合わせた想像上の生き物として表現された。頭部はほぼ丸彫りに近く、身体部は巨大な一枚岩に高浮彫りで表現されている。巨像は前9世紀のアッシュールナツィルパル2世の時代から前7世紀のセンナケリブ王の時代までの宮殿建築に盛んに取り入れられたが、それ以降に造られた宮殿からは出土しない。
アッシリアでは、一般に守護像を「ラマッス」と総称し、なかでもとくに人面有翼牡牛像は「アラドランムー」と呼ばれたという。
この図版でラマッスの脚がはっきりとわかる。前方から見た時に静止しているように前脚を2本揃えているが、側面から見ると、歩いているように4本の脚が見えるように造られているために、計5本の脚が彫り出されている。尻尾は後ろに垂れている。

万国の門の出口にもラマッスがあり、こちらは人面だった。
顔面が壊れているため、コルサバードのラマッスのような顔だったのかどうかは分からない。
コルサバードのラマッスの肩を覆う羽毛は縦向きなのに、ペルセポリスでは横向きになっている。
羽毛の向きが変わってしまったのと同様に、肢の数もペルシア人にとっては問題となるほどのこともなかったのだろう。
前7世紀を最後に造られなくなったラマッスが、何故遠く離れた地で前5世紀前半に造られたのだろう。ペルシア人にとつてそれが目新しいものだからか、それとも、かつてのアッシリア帝国への憧れがあったのだろうか。

                    →ペルセポリス 柱頭彫刻

関連項目
ペルセポリス 百柱の間扉口側壁浮彫
ペルセポリス アパダーナ東階段の各国使節団
イスタンブール考古学博物館で思い出した2 アッシリアのラマッス

※参考文献
「Persepolis Recreated」 Farzin Rezaeian 2004年 Sunrise Visual Innovations
SD選書169「ペルシア建築」 A.U.ポープ 石井昭訳 1981年 鹿島出版会