豊中の画廊 ART BOX から田上惠美子氏の個展の案内が届いた。今回のタイトルには「すきとおる」がないが、前回のART BOXの個展も「田上惠美子 トンボ玉展」だった。ハガキのトンボ玉を見て、円筒印章のように転がしてみたいと思ったのを思い出した。
前回の案内はこちら
写真のトンボ玉は、今までの細い截金のような作品と比べると金地の面積が広い。このトンボ玉は立方体に近いので、縦に横に粘土の上を転がしてみたら面白いかも。
このトンボ玉から連想したのは、何故か本阿弥光悦の「舟橋蒔絵硯箱」だった。形も文様も違うのに、何故と言われても答えられないのだが。
本阿弥光悦作 舟橋蒔絵硯箱 江戸初期 国宝 東京国立博物館蔵
『日本の美術35 蒔絵』は、蓋甲が高く盛り上がり、特殊な形をした硯箱である。全面に金い懸地をほどこし、金蒔絵で波と舟を表し、鉛板の橋を渡し、銀の文字が嵌めこんであるという。
金が地文に使われているのとは逆に、田上氏の作品は金の帯が掛け渡されている。
「e国寶 国立博物館所蔵国宝・重要文化財」の舟橋蒔絵硯箱ページの解説で、書画、工芸のさまざまな分野で天分を発揮しという光悦と田上氏との類似点は、その多才さかも知れない。本職は確か言語聴覚士で、最近は鉱物鑑定士とも聞く。
一体どんな個展なのか楽しみだ。
今回のハガキは切手のところにも田上氏の作品が印刷してあった。
これは田上氏の「源氏物語」シリーズの若菜の水色バージョンのようでもあるが、どうも玉に歪みをもたせているからか、線が曲線に見えてくる。
若菜の画像は蜻蛉羽通信の一番下「源氏物語」よりから開いて下さい。
ハガキにART BOXのアドレスが載っていたので開いて見ると、作家在廊が6・9・17日であることがわかった。
「e国寶 国立博物館所蔵国宝・重要文化財」はこちら
※参考文献
「日本の美術35 蒔絵」(荒川浩和 1969年 至文堂)