ノートルダムデュピュイ司教座聖堂の回廊
リーフレット『cloître de la cathédrale du Puy』(以下リーフレット)は、聖金曜日に十字架の駅が開催される。ここでは、長方形の回廊が北の大聖堂に接続されており、西の石投げの建物の建物と東の聖職者の建物の間に挟まれているという。
回廊の水準での平面図 リーフレットより
2:東回廊 3:参事会室 4:キリスト磔刑図 6:南回廊 8:鉄製のグリル(グリユ grille)
7:3つの柱頭彫刻は、1000年以前のオーダー、またはカロリング朝の要素の再利用。堂々とした大きさで、アカンサスの葉を持つコリント式の形をしており、玉縁はない。一つは、隅に鳩が赤い黄土色の編み込みで飾られたバスケットの上で休んでいるという。
8:鉄製グリル 12世紀末または13世紀初頭に遡るフランス最古の製鉄所の一つでつくられたという。
残念なことに、このリーフレットには、肝心のアルファベットの柱頭の説明がない
リーフレットは、ロマネスク美術の専門家エミール・マールによれば、この回廊は「ヨーロッパのキリスト教で最も美しいもののひとつ」だという。天国の楽園を象徴的に想起させる回廊は、教区聖職者が神の言葉について瞑想したり、神聖な唱えをしたりする散策の場所であるという。
中庭東北側
彫りは浅いがパルメット蔓草のある大きな籠が柱頭のほぼ全部を占め、口を開いた人物が顔を出している。また、籠の縁の両側にはハトが留まっている(11-12世紀のオリジナル)
パルメット蔓草の籠から顔を出した人物(11-12世紀のオリジナル)
小さな葉のアカンサスの葉叢から姿を現した天使はオリファント(角笛)を吹いている(11-12世紀のオリジナル)
頭部が残っていないので、顔が鳥なのか獅子なのか不明。有翼で前肢は草食獣、後ろ肢は肉食獣(11-12世紀のオリジナル)
二頭の写真は左右対称に彫り出されているが、互いにそっぽを向いている。このような互いにそっぽを向く動物というモティーフは、各地で見られる(11-12世紀のオリジナル)
回廊の天井は交差ヴォールト
天使の顔は白く塗られ、悪魔の唇は赤い。やっばり彩色されていたのだ(11-12世紀のオリジナル)
水上で遭難した子供に左右の悪魔たちがロープをかけているが、上の丸顔の天使が助けにきた。そんな聖書の場面てあったかな?(11-12世紀のオリジナル)
軒下にフリーズがあった。
四周全てを見渡したとは言えないが、きっと四方に展開していたのだろう。
『The Treasures of Romanesque Auvergne』(以下『Romanesque Auvergne』)は、屋根の下にあるフリーズには、欲望、暴食、見栄という3つの主要な誘惑を表す刺激的なシーンが描かれているという。
正面向きの動物や人間の間に横向きの動物や想像上の獣が登場する。
怖い顔の口から出た茎が、右耳の下から後頭部に回って左耳の下から生命力あふれるアカンサスの蔓草になった。
前向きの頭部が左右の動物の体になつたり、
左右にうねるアカンサスの蔓。2本が合流するところには、目を伏せた人物の顔が見える。
人間の顔をした生き物が蔓草に頸を巻かれたり、要石に這いつくばっているし、
蔓草を掴んでいるのかと思えば、蛇やトカゲだつたり。このような完成度の高い蔓草文様を専門に彫る集団を蔓草工房とすると、
人間の顔をした生き物が蔓草に頸を巻かれたり、要石に這いつくばっているし、
こんな風な動物、特に肉食獣を正面向きに表したり、じゃれ合ったりする動物を専門にする工房があったのかも。でも、ブドウの葉や実もよく掘り出している。
柱頭彫刻
『La Cathédrale Notre-Dame du Puy-en-Velay』(『Notre-Dame du Puy』)は、回廊の最も古い部分は11世紀のもので、残りは12世紀に徐々に建設されたものと考えられる。縦方向に10個、幅方向に5個のアーケードで構成されている。柱に囲まれた角柱が庭側の溝付きヴォールトを支えている。二重アーケードはロマネスク様式で、黒と白の石を交互に並べている。154個もの柱頭彫刻の多様性は驚くべきものであり、それらを彫刻した石工芸術家の多様性によって説明でき、彼ら自身もさまざまな工房に属している。そのうち90個は当時のもので、残りは19世紀のコピー。約15の歴史ある柱頭彫刻のほとんどが西側の回廊にあるという。
19世紀のコピーは石が白っぽい。
いつもながら適当に写していったので、今となってはどこの柱頭か分からないものの方が多い。
比較的多いアカンサスと上段中央に人物が顔を出しているタイプ(19世紀のコピー)
同じ葉文様、同じ顔(19世紀のコピー)
石が風化しているものは11-12世紀のオリジナル
アカンサス由来の葉文様だけのものも多い。『Romanesque Auvergne』は、回廊の彫刻は際立ってキリスト教的であり、信者が救いに到達するためにしなければならない苦闘を描写している。たとえば、欲望から逃れるためにケンタウロスから逃げる女性のケンタウロスが示されているという。
この柱頭には両腕を広げた人物が3面に一人ずつ。正面の人物は衣服の折り畳み文が深く彫られている。残念ながら19世紀のコピーだろう。
左のものは11-12世紀のオリジナル
別の柱頭にも同じような柱頭があった。同じに見えて細部が異なる。(19世紀のコピー)
左の柱頭は細いアカンサスの葉が並び、右の柱頭では、低く張り出して並ぶアカンサスの葉の上に水盤で水を飲むハトたちが表されている(19世紀のコピー)
次は回廊側の柱頭
バスケットの上端の輪のようなものにぶら下がったアカンサスの葉。上の渦巻きとその間の人の顔。なんとなく長衣を着て、腰のあたりに飾りを垂らし、腕を上げている人物とも思える(ピンボケ、でも11-12世紀のオリジナル)
3つとも11-12世紀のオリジナル
蔓草から顔を出している人
見ようによっては、人の耳からパルメットの茎が出て、口からはパルメット蔓草が二条に出ているような・・・このハトたちも天国に入ることができた人々の至福を表しているのだろうか。
小さな葉のアカンサスの葉叢から姿を現した天使はオリファント(角笛)を吹いている(11-12世紀のオリジナル)
短いアカンサスの葉の上には、ヘルメットのようなものを被った人間が二人。
左の司教は先の渦巻いた司教杖を左手に持ち、右手にはスマホ・・・であるはずもなく、書物、おそらく聖書を持っている。左は兵士だろうか、聖職者だろうか、その杖の端を左手で掴んでいる。(11-12世紀のオリジナル)
『Romanesque Auvergne』は、善と悪の闘いという。
ノートルダムデュピュイ司教座聖堂の柱頭彫刻 『La Cathédrale Notre-Dame du Puy-en-Velay』より |
別の図版より
左のトンスラにフードを被っているのは司教で善の象徴、右は異教徒だろうか。
回廊を見学した後で、狭い通りを歩いたが、その時悔い改めの礼拝堂 chapelle des Pénitents と思われるところで、2つの扉口があった。
関連記事
参考にしたもの
リーフレット「cloître de la cathédrale du Puy」
参考文献
「La Cathédrale Notre-Dame du Puy-en-Velay」 Emmanuel Gobilliard et Luc Olivier 2010 Édition du Signe
「The Treasures of Romanesque Auvergne 」 Text :Noël Graveline Photographs: Francis Debaisieux Design Mireille Debaisieux 2010年 Édition DEBAISIEUX