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忘れへんうちに 旅編では、中央アジア各地、イランの旅に続いて、フランス南西部のオクシタニー地方の旅を記載し始めました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2018/08/21

トゥールーズ、オーギュスタン美術館 サンセルナン聖堂の柱頭


ドラド修道院では12中葉に透彫の柱頭が制作されるが、サンセルナン聖堂では、「?」のついたものもあったが、12世紀前半にはつくられている。
サンセルナン聖堂のモティーフもまた独特で、ドラド修道院とは別の系統のものが将来されているように思える。

葉飾り 12世紀前半 石灰岩 単円柱の上 サンセルナン聖堂回廊
透彫か透彫に限りなく近い高浮彫。太い茎は渦巻かず、うねりながら反時計回りに柱頭を巡る。

組紐文様 12世紀前半? 石灰岩 単円柱の上 サンセルナン聖堂回廊
これは透彫。蔓草の表現や茎の太さなどに繊細さは見られないが力強い。

植物文様 12世紀前半? 石灰岩 単円柱の上 サンセルナン聖堂回廊
三筋の太い茎が入り組んで作り出す隙間に、アカンサスの葉を縦に二分割した半パルメットとアカンサスの実を入り込ませ、面のようだが蔓草の透彫になっている。
蔓草の端は、コリント式柱頭から抜け出せずに、一対で反り返る向かい合う渦巻となっている。

特に以下のライオンや鳥の立体的な表現が突如として出現する。
『Sculptures Romanes』は、1120年頃西正面のライオン像の柱頭に端を発して、13個は1120-40年の銘があり、その内12個を見ることができる、対になった怪物、鳥そしてライオンが装飾的な蔓草に捕らえられている。それはトゥールーズのロマネスク美術ではなかったもので、西扉口の新たな様式の発明品である反復する動物という種類ができた。植物の蔓になった帯状文様はその起源をコンポステーラに見ることができる。この回廊では旧約聖書やキリスト伝の物語はなく、1140年以後ロマネスク彫刻ではなくなっていく。モワサックやドラド修道院の回廊との違いであるという。

蔓草の中の鳥 12世紀前半? 石灰岩 単円柱の上 サンセルナン聖堂回廊
ある面から見ると鳥は向かい合い、その隣の面では背を向け合うように表現されている。肢は長いが鶴や鷺のように長い嘴は持たない。
部分的に透彫。

蔓草の中のライオン 12世紀前半? 石灰岩 単円柱の上 サンセルナン聖堂回廊
回廊の柱頭彫刻は、一つ一つの主題が違うのだが、この二つの柱頭はよく似ている。
柱頭フリーズと一体型のようで、ライオンの間には円筒部分が彫り出されている。

蔓草の中のライオン 12世紀前半? 石灰岩 単円柱の上 サンセルナン聖堂回廊
2頭のライオンは身をかがめて、互いの後ろ肢を囓っている。双方の太ももの上では、蔓の先端がライオンの頭のよう。

では、それ以前のサンセルナン聖堂の柱頭彫刻はどんなだったのだろう。 『Sculptures Romanes』は、1070-75年の少し後に建設が始まり、1120年頃に完成した。ほぼ同時に行われた巨大なクリュニー聖堂の建設を除くと、ロマネスク期で40年以上もかかったものはフランスではない。外側の3つの扉口、伯爵たちの門、ミエジュヴィル門とペイル門を含めて、彫刻による壮大な装飾は、スペインの影響を受けている。
1070年代に始まった最初の建設は迅速で、後陣と十字交差部の基礎と扉口(最初は南袖廊伯爵たちの門)の準備であった。1080年頃、後陣の聖書の物語の柱頭と伯爵たちの門を制作した工房の親方が際立っている。
1083年に再開され、参事会員で建設の責任者のレイモン・ガイラールによる指揮で1118年まで教会の段階ができあがった。ベルナール・ジルドゥアンの工房の存在は、1096年5月24日に第1回十字軍を呼びかけたローマ教皇ウルバヌス2世によって奉献された、現在十字交差部の置かれている大理石の祭壇によって知られる。彼は職人たちと、周歩廊の7枚の浅浮彫した大理石板と共に、交差部の幾つかの柱頭も彫ったという。
その柱頭かどうか不明だが2点が『visiter Saint-Sernin』に載っていた。

栄光のキリスト 
『visiter Saint-Sernin』は、この時代柱頭の装飾は植物が大半であった。新たな様式が階上廊に出現した。二天使に支えられたマンドルラの中の栄光のキリストは、半円柱の上にあって、袖廊の半円天井のすぐ下にあり、一人の使徒が本を持っているという。

向かい合うライオン 
短辺では互いの肢を合わせたライオンが頭部を上端に反らせて、その前肢の間に人頭が嵌め込まれている。四方の角では舌を出したライオンの頭部が向かい合うようにデザインされている。


こんな風に、新来の様式によって柱頭彫刻に表されるものも変わっていったのだった。

オーギュスタン美術館 3番目の工房など←   →サンピエール聖堂 南扉口

参考文献
「Muée des Augustins Guide des collections Sculptures Romanes」 1998年
「visiter Saint-Sernin」 Quitterie et Daniel Cazes ÉDITION SUDOUEST