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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2020/03/13

アビー・コレクション竹工芸名品展 影を探して


東洋陶磁美術館の展示室は2階にある。階段を上がって右手の部屋から。
いつも入口にパネルがあり、中が見えない。今回のものは、中に展示されている作品の部分的な写真が6枚縦に並べてある。これが作為的なものかどうか分からないが、老人の横顔に見えなくもない。

洸 shining 1993年(日展の入選作品) 生野徳三 白竹
同展図録は、大分市に生まれる。父祥雲斎に師事。此君亭工房のクラフト制作に携わる。74年父の没後、作家活動に入る。
光沢の美しい白竹のひごを少しずつずらして組み、竹の柔らかな曲線が内部に空間をはらむ造形的な作品を制作という。
横に通した竹ヒゴで固定されている。
おそらく六角形の底になんとかピントが合った。

舞 Dance 2000年 本田聖流(1951-) 真竹・籐
同展図録は、鹿児島市に生まれる。85年、門田二篁に師事。
網代編みや縄目編み等の単一の網組技法で曲線的な立体造形作品を制作という。
別の角度から見る。こういう作品は影も美しいものができる。
説明パネルは、本作は、極めて細い竹ヒゴを用い、縄目編みによる波打つように軽やかな表現がみられる。竹ヒゴは暖かみのある色で染められて、漆で仕上げられているという。
 果たしてどこにピントが合っているのやら😨

館に四角い窓があってそこから竹林が見えているのではなく、写真パネル😉

未来への歓喜 Delight for the Future 2008年 三代目田辺竹雲斎(1940-2014) 矢竹
二代目竹雲斎の長男として堺市に生まれる。初代竹雲斎の高弟大久保尚竹斎、塚𠮷忠義に学ぶ。
矢竹を丸竹のまま用いる作品が特徴であるという。
矢竹って弓矢の矢に使っていた竹?
直線的で隙間が多く見えるが、蜜に作られているので、影が重なって小さい。
真っ直ぐな丸竹を円弧にしていても、継ぎ目がわからない。


円相 Enso 2019年 四代田辺竹雲斎 虎竹
説明パネルは、田辺家の技術を継承する伝統的な作品のほか、本展のため制作されたインスタレーション作品や、本作のように立体造形としての現代的な竹の表現を発表しているという。
微妙に凹凸があり、形も規則的ではなくたおやかなので、その揺らぎに穏やかな気持ちになる。
じっと見ていると穴の中へ吸い込まれそう

流紋 Flowing Pattern 2014年 本間秀昭(1959-)
説明パネルは、父の本間一秋に師事し竹工芸を始めた。佐渡に工房を構え、同地に特有の女矢竹を用いて制作している。
軟質でしなりやすい竹の性質を生かし、自然の情景からも着想を得ながら立体造形としての竹の表現をおこなっているという。
小さな波が大波に波乗りしているよう





いぶき Breath 1968年 本間一秋(1930-2017) 鳳尾竹・染竹・籐
説明パネルは、林尚月斎に師事する。佐渡の豊富な竹材とその特性を活かし、師と同様に根曲竹による制作を得意とした。
本作は、鳳尾竹をガスバーナーで炙って曲げたものと細い真竹の竹ヒゴを用いている。鳳尾竹とは、根曲竹の煤竹であり、茅葺屋根の中で長期間煤煙でくすぶらせたものを言うという。
影は後方にあり、これ以上見えない。
反対側からも影は少ししか見ない。

潮 Tide 1978年 藤塚松星(1949-) 真竹・籐
説明パネルは、馬場松堂に師事した。馬場は佐渡の代表的な作家である小菅小竹堂(1921-2003)に学んだ一人である。
本作は、千筋の丸ヒゴの櫛目編みを用いて制作されているという。
遠くから見ると兜だと思ったが、全然違った。
節の箇所が膨れるヒゴ

竹ヒゴにも上の部分の影がかかって文様のよう。
こういう作品の方が影が面白い。
影というよりも墨絵のよう。

蒼海の渦 Swirl of Blue Water 2006年 鳥居一峯(1930-2011) 真竹・籐・漆
説明パネルは、父の鳥居峯雲斎の急死を機に、家業であった竹工芸を継いだ。
本作では、染めた真竹と素のままの素材とが対比的に用いられている。幅広の竹が編み込まれた短いヒゴによる竹の帯を、曲げてドラマチックにかたち作り、仕上げに漆塗りが施されているという。
短いヒゴをところどころ傾きを変えて曲線の帯を作っているが、そこにも波のような模様ができている。こちらからは見えないが、その手前の帯には幅広の竹が、亀甲編みにかさねられているのが、影からわかる。
その帯を写してみたが、よく見えない。
一番複雑なところ

ディスアピアーⅨ Disappear Ⅸ 2019年 四代田辺竹雲斎(1973-) 真竹・籐 個人蔵
構造デザイン 貝島佐和子(1976-)
説明パネルは、ディスアピアーは、2014年頃から四代田辺竹雲斎が、貝島佐和子とともに制作するシリーズである。貝島はハーバード大学建築学部で教鞭をとりながら、「先端工芸」について研究に取り組む。ディスアピアー・シリーズの制作過程における二人の関わり方には、いくつかの方法がある。例えば、まず貝島の提示する数学のアレゴリズムを四代田辺竹雲斎が選択し、それを元に貝島によってコンピューター上で造形デザインがなされる。それを数値化したものに沿って、一つ一つ異なるパーツを四代田辺竹雲斎が制作し、3Dプリンターで作った型にそつて組み立てる。同じパーツを組み合わせる場合には、四代田辺竹雲斎の作ったパーツを元にコンピューター上で造形デザインする場合もあるという。
遠方より写すと徳利のよう。影はほとんどわからない。
近づいて左側から見ると器ではなかった。面白い影だったがピンボケ。でも、作品と影とで鳥にも見える。しかも棘のある。
5本の籐が、針金のように強く作品を支えている。
丸みのあるのはごく一部分だった。
この影はピントを合わせたかった。
右側からは
柔らかなフォルムなのに、片側は鋭い棘だったとは
シャープな作品に朧気な影というのも面白いかも

別の展示室でも見つけた。
花籃 栄花 Flower Basket,Blossoming Flower 1960年代前半 二代田辺竹雲斎 真竹・籐
透けていて影も美しい
図録には斜め上から写した図版があって、膨らみが6つあるが、ねじり梅のよう。
こんな影のできるスタンドがあるとええなあ
でも上からのぞくと意外とヒゴは密

アビー・コレクション竹工芸名品展 インスタレーション← →アビー・コレクション竹工芸名品展 形がすごい

参考サイト
此君亭工房
創業126年虎斑竹専門店竹虎の竹編みの種類

参考文献
メトロポリタン美術館所蔵 竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション 図録」 2019年 NHKプロモーション
表表紙
裏表紙