お知らせ

忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2024/09/20

イスタンブールのミナレット


現在アヤソフィアには4本のミナレットが立っている。
MUSEO DI SANTA SOFIA』の4本のミナレットが見える写真
イスタンブール 南方より眺めたアヤソフィアと4本のミナレット MUSEO DI SANTA SOFIA より

1509年以降(年代からベヤジット二世期)に建てられたレンガ造りのミナレットは現在も立ってる。

そしてその基部にトルコ襞というオスマン朝初期にドームを架構する、トルコ独特の技法が用いられていることを知った。


そこで、その後イスタンブールに建ったモスクのミナレットの基部がどんなだったかを、自分が撮影したもので年代順にまとめてみた。


ベヤジットジャーミイ Beyazit Camii 在位1501-12
スレイマン大帝の祖父にあたるバヤズィト二世(昔はバヤズィトと発音されていたが、今ではベヤジットになっている)が奉献した。

頂部には赤いタイルではなく、赤レンガの窓のような形が並んでいる。

基部にはトルコ襞があり、鋭角の三角形を上下逆にしながら整然と並べている。四隅の出っ張りの三角形は他のものよりも大きいかも。


ヤウズスルタンセリムジャーミイ 1522年
スレイマン大帝の父の名を冠したモスクだが、セリム一世が亡くなった後にスレイマン大帝が献納した。

ミナレット頂部には何かが嵌め込まれていた痕跡はあるが、トルコブルーのタイルではなく、ムカルナス下の装飾のように、赤レンガだろう。

その基部は、日陰だが四隅に稜が張り出していることは分かった。


スレイマニエジャーミイよりも先に建てられた。左側のドームは後の時代のもの。

ミナレットは頂部にはタイルもないし、何か嵌め込まれていた痕跡もない。

建物の一部からミナレットの基部ができている。シャープな凹凸は見えない。



頂部にはタイルが貼られた痕跡もない。

基部は、四隅は三角に突き出している。その間には、円柱の縦溝がそのまま続いているように見える。


将来は自分の世継ぎにと考えていたが、若くして亡くなったメフメト皇子(シェフザーデ)のためにスレイマン大帝が建てた。元々スレイマン大帝が自分の名のモスクを建てるつもりの好立地に立っているとも言われている。 

ミナレット頂部にはタイルが貼られていた痕跡。アザーンのバルコニーの下側と同じく、レンガの板が張られていたのだろう。

基部の写真なし



ピンボケだが、ミナレット頂部にはタイル状のものが貼られていた痕跡がある。アザーンのバルコニー下がムカルナスではない。

基部は建物の平面内に収まっている。外側の二隅は張り出しているが、形が明瞭ではない。



スレイマニエジャーミイ 1550-57年
4本のミナレットのうち礼拝室側の一対はアザーンのバルコニーが三つ。中庭の隅のミナレットにはバルコニーが二つある。

ミナレット頂部は修復時の後補のように真新しいトルコブルーのタイル。

その基部は鋭角の三角形が上下交互に並んでいるようにも見えるが、

面の中ほどは平らな台形のよう。



エディルネカプ ミフリマースルタンジャーミイ 1562-65年
本来のミナレットは、一日5回祈りの時間を知らせるためのアザーンを、ムアッズィンが高いところから大声で朗唱するところなので、1本あれば良いもの。

ミナレット頂部にはタイルもその痕跡もない。

その基部には三角形があるのかないのか、この写真ではわからない。



ミナレット頂部にはタイルはなかったようだ。

ミナレットの基部が見える場所がなかった。


アヤソフィアのセリム二世(1566-74)のミナレット 
修復中なので『Architect Sinan His Life, Works and Patrons』の図版
頂部にタイルパネルはないが、何かが嵌め込まれていた痕跡がある。
アヤソフィアジャーミイ セリム二世のミナレット Architect Sinan His Life, Works and Patrons より

その基部には鋭角の三角形を用いて円筒形へと収縮させている。これもトルコ三角形と言えるのかな。ミマールスィナンがこういうものを用いていたとは。


アヤソフィアのムラト三世(1574-95)の2本のミナレット 『Architect Sinan His Life, Works and Patrons』より
基壇にはセリム二世のミナレットと同様に細長いトルコ三角形を用いている。
アヤソフィアジャーミイ ムラト三世の2本のミナレット Architect Sinan His Life, Works and Patrons より

頂部にはトルコブルーのタイルが嵌め込まれている。アザーンのバルコニーの下はムカルナスではなない。ハディムイブラヒムパシャジャーミイのミナレットに似た形。

というのが、これまでに訪れたモスクのミナレットのまとめです。他にもあれば後日まとめます。


参考文献
MUSEO DI SANTA SOFIA」Anatolian Cultural Entrepreneurship