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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2018/02/20

イラン国立博物館 サーサーン朝のストゥッコ装飾


イラン国立博物館ではサーサーン朝の浮彫ストゥッコが多く展示されていた。

壁面装飾 ストゥッコ ダムガーン、テペ・ヒッサール出土
八角形と小さな正方形との組み合わせの区画の中に植物文様が浮彫されている。やや曲面の壁面を飾っていたらしい。
壁面装飾板 ストゥッコ 
上の長い装飾板とモティーフが共通するので、同じ遺跡から出土したのではないかと思われる。
というか、そう思い込んで、説明の写真を取り損なうことがしばしばある。
壁の装飾浮彫 ストゥッコ 高41.0幅40.0㎝ テペ・ヒッサール出土
『ペルシャ文明展図録』は、ササン朝期の重要な建築物の壁は、このような飾り板でほとんどすきまなく装飾されていた。ササン朝期の特徴的な文様である連珠文を巡らせた円環の中に、ゾロアスター教に関わる吉祥文のシンボルが表現されている。このシンボルはパフラヴィー語が図案化されたもので、正確な意味は不明。おそらく新年(春分の日がゾロアスター教の元旦)を祝う内容と考えられるという。
壁の装飾浮彫 ストゥッコ サーサーン朝後期(6世紀) 高38.0幅38.0㎝ テペ・ヒッサール出土
『ペルシャ文明展図録』は、型造りによる。穴あき連珠文の中に猪の頭部側面が表現されている。猪はササン朝の帝王による狩猟図でしばしば描かれる獲物の一つという。
上のよううな突起状の連珠文もあれば、このような輪っかが並んだ連珠文もある。
壁面装飾板 ストゥッコ 出土地不明
穴あき連珠文が矩形の外枠と中央の円に見られる。その中にパルメット状の植物モティーフが組み込まれている。
壁面装飾 テペ・ヒッサール出土

円形壁面装飾板 出土地不明
正方形の枠に円形の文様というものだったが、この装飾板は円形。正方形のものは壁面に並んでいたのだろうが、このような円形のものは、別の場所にあったと思われる。中央に穴があるし。

牛の浮彫漆喰
まだ角はなく、仔牛のようで、組紐のようなものを食んでいるのだが、胴部以外は修復されたもの。
鹿の漆喰装飾
その右には成獣の鹿。やはり組紐のようなものを食んでいる。

ストゥッコ装飾断片 テペ・ヒッサール出土
葉綱装飾とパルメット文という西方由来のモティーフ
かなり厚みがあり、下側にも文様があるので、開口部上部を飾っていたのだろう。

城壁文にパルメット風の葉が左右対称に伸びている。
建物の上部にあったと思われる。

曲面の壁面装飾 ストゥッコ テペ・ヒッサール出土
2本の円柱が支えるアーチの中に向かい合わせのパルメット文が入り、それが互い違いに重ねられている。
太い円柱の付け柱を覆っていたのだろうか。
曲面の壁面装飾 ストゥッコ テペ・ヒッサール出土
こちらは渦巻文様で埋め尽くされている。

曲面の壁面装飾 ストゥッコ レイ、チャール・タルカーン(エシュハバード)出土
その拡大
二重の突線で十字形をくつり、その中にパルメット文を嵌め込んでいる。
壁面装飾 ストゥッコ レイ、チャール・タルカーン(エシュハバード)出土
上段には花文、下には連珠円文の中に猪頭が入ったものが並んでいる。


ストゥッコ 女性胸像 出土地不明
四隅には力強いパルメット文がある。女性の頭部は高浮彫

鳥像 ストゥッコ ファールス州ハジアバード出土
猛禽の高浮彫
ライオン頭部 ストゥッコ ハジアバード出土
大粒の連珠円文の中に正面向きのライオンが高浮彫されている。

王侯胸像 ストゥッコ 高32.7幅37.0㎝ ハジアバード出土
『ペルシャ文明展図録』は、縁に連珠文を巡らせた尖帽をかぶり、ボリュームのある頭髪を顔の両側に垂らしている。このような髪型は豊かな顎ひげと共にササン朝時代の王侯像の特徴という。
冠ではなく尖帽を被っているのは王ではないからかな。

シャープール2世胸像 4世紀 ストゥッコ 高50.0幅38.0㎝ ハジアバード出土
『ペルシャ文明展図録』は、ササン朝ペルシャ王の正面観をストゥッコで表した胸像。戴いた冠の形状から、これは歴代王のなかで最長の在位年数を誇り、その東方遠征に大きな業績を遺したシャープール2世(在位309-79年)であることがわかるという。
それなのに、何故部屋の片隅の、しかも床に置かれているのか・・・ 


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          →イランガラス陶器博物館でラスター彩の制作年代を遡ると

関連項目
イラン国立博物館 印章
イラン国立博物館 クロライト製品