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忘れへんうちに 旅編に、中央アジア各地の旅に続いて、イランの旅を記載し始めました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2016/03/01

ムハンマド・イブン・ザイド廟の焼成レンガ装飾


メルヴのムハンマド・イブン・ザイド廟(12世紀)は外観は非常にそっけない。
補強のためのバットレスっぽいものが見えたり、
入口のある側の壁面に、せいぜい尖頭アーチの刳りがある程度だった。

内部は4つの部屋に分かれていて、北側の入口を入って右の部屋(北西の間)は、ミフラーブは小部屋のような壁龕の、補強のための柱の向こうにあるらしいが、よく見なかった。

それよりも、南壁の方に気を取られてしまった。そこには焼成レンガによって驚くような装飾が施されていたのだった。
いったい何のために・・・
頂部の尖頭アーチは中央に正方形の小片を斜めに2つずつ並べた文様が2段おきに入った柱状のもので2つに分かれている。
左と右では文様は異なっているが、透彫に近い、直線的な組紐による幾何学文となっている。
正方形の小片を斜めに並べた文様帯があり、その中央の下には長方形の日干レンガを複雑に配置して、その中心には菱形を4つ組み合わせたような透彫が見られる。
その下の細長い壁龕の尖頭部分には二等辺三角形を逆に並べてあり、三角形のない部分の陰影が際立っている。
その下の文様帯に刻まれた形は初めて見るものだ。
壁龕の周囲にも水滴形が嵌め込まれている。
左の壁龕の上には、細いX字形がところどころに嵌め込まれている。
壁龕の縁外側には円文が並び、内側には正方形を斜めにしたものが一つ置きに配置される。
尖頭部分には高浮彫で、六角形と6点星の間に、組紐をくぐらせたり、越えたりする曲線的な文様を直線的に表し、それが6点星から放射状に出ているようにも見える。
その下には半パルメット文を組み合わせたような文様帯。
これだけ凝った装飾が左の壁龕にあるのだから、右の壁龕にも、また異なった幾何学文の高浮彫があったはず。

この南壁の南側はこの廟にしては高いドームのあるムハンメド・ビン・ザイドの墓室だった。
移行部とその下にも焼成レンガによる美しい装飾が残っている。
半円形の小さなレンガを上下左右に並べた文様帯に挟まれて、アラビア文字の銘文が四壁を巡っている。
移行部の尖頭アーチも正方形を斜めにしたものを一段おきにした縁になっている。スキンチ部分と四壁の尖頭アーチ部分とでは、曲面と平面という違いのせいか、平レンガの組み合わせ方が異なっている。
四壁では、下方に三角形を交互に上下左右に並べた文様帯がある。
8つの尖頭アーチの上の八角形の角の上には焼成レンガの盛り上がりがある。これで八角形から円形へと導いているのだろう。
円形となったところには三角を蝶のように並べたものと、正方形を斜めにしたものとが交互に並ぶ。
スキンチを下から見上げると、八角形の各角は、本来持ち送りになった3列のアーチ、つまり小さなスキンチだったことがわかった。そう見えないものは、レンガ片が崩れたのだろう。その角ははっきりしないが、八角形と円形の間に十六角形がつくられていたのだった。
そしてスキンチの下部にも同じような持ち送りが見られる。これによって、上部の曲面は平面的になって、平レンガが並べやすかったのでは。






関連項目
メルヴ5 ムハンメド・イブン・ザイド廟