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忘れへんうちに 旅編に、中央アジア各地の旅に続いて、イランの旅を記載し始めました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2011/03/29

やっぱり泉水堂の壁龕(nicchie dei ninfei)はガラスモザイク

ナポリ国立考古学博物館の図録『i mosaici la casa del fauno』には、ねりガラスのモザイク円柱だけでなく、壁面モザイクも載っていた。

泉水堂の壁龕モザイク ねりガラス 骸骨の邸宅(casa dello Scheletro)、エルコラーノ
凹面の頂点から放射状に赤い帯が出ず、中央の3本はほぼ平行線で、全体に平面的な表現になっている。
赤いガラスのテッセラが使われているものの、ポンペイの泉水堂より地味な色調だ。エルコラーノはポンペイ同様にヴェスビオ山の噴火で埋もれた街。ポンペイよりもナポリ側にある。近いのに、ポンペイの人とはこれほど好みが違っていたのだろうか。
ポンペイの泉水堂はこちら
泉水堂の壁龕モザイク ねりガラス ヴェスビオ地方
同じような色調に青が入ると、一転して鮮やかな印象を受ける。文様帯は平面的だが、天井部分の表現や、鶏や果実の表現は幾分立体的だ。
ねりガラスについて、『ガラス工芸-歴史と現在展図録』は、ガラス・ペースト(練りガラス)と呼ばれている物質は、後に見られる透明ガラスほどには高温処理されていないため、まだガラス質中に細かいガス気泡が残り、不透明なガラスをさしている。製作技法上、実際にガラスを練ってつくるわけではないので、練りガラスとかペースト・ガラスとかいう名前は余り適切ではなく、むしろ不透明ガラスとでも呼ぶほうがよいであろうという。
不透明ガラスなら理解し易い。


赤色坏 東地中海沿岸 前1世紀末-後1世紀中頃 径6.7㎝ 岡山市立オリエント美術館蔵
『古代ガラスの技と美』では、矢野太昭氏の鋳造プレス法による復元が解説されている。
必要な分量の粉砕したガラス片を外型の中に入れ、内型に重石をのせて窯に入れた。最初は上の鋳型が浮いていても、加熱によりガラスが溶けて上下の鋳型がぴったり合わさる仕掛けであるという。
同書に鋳造プレス法の様子が図解されていた。
※参考文献
「i mosaici la casa del fauno」(2001年 Electa Napoli)
「MUSAEA JAPONICA③ 古代ガラスの技と美 現代作家による挑戦」(2001年 山川出版社)
「古代ガラス」(2001年 MIHO MUSEUM)
「ガラス工芸-歴史と現在展図録」(谷一尚他 1999年 岡山市立オリエント美術館)