『慶州で2000年を歩く』(以下『慶州で』)が、最初のものは、木塔の材料をそのまま石に置き換えたため、多くの部材が使われたが、次第に洗練されていったということが、大雄殿の境内の西にある釈迦塔を見ると明らかだ。しかし、その東側にある多宝塔の外観には驚く。


『慶州で』は、多宝塔はおおざっぱに見れば、二重基壇の上に三層の石塔である。しかし、塔の四方に階段と門が付けられ、四方に獅子が置かれ、竹や蓮など彫ったものを組み合わせていて、釈迦塔とまったく違った印象である。釈迦をまつった石塔に対して、多宝塔はきらびやかな多如来をまつっているからであるという。人の足を逆さにしたようなもので支えている三層目は特に奇妙だ。




※参考文献
「世界美術大全集10 高句麗・百済・新羅・高麗」(1998年 小学館)
「慶州で2000年を歩く」(武井一 2003年 桐書房)
3日目-15 仏国寺大雄殿前には釈迦塔と多宝塔もどうぞ