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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2006/10/13

柿の蔕と四葉


柿蔕文といいながら、実際の柿の蔕の形をはっきりと思い浮かべることができなかったので、買ってきた。ちょうど柿の季節で運が良かった。
しかし、この4枚の萼がきれいな形のものにしようと探すと、結構たいへんだった。葉が変形しているものや黒っぽくなってしまったものの方が多かった。


やっと形の良いものを見つけたのだが、この程度である。西村早生柿という種類だった。もう1つ別の種類のものを買ったが、青かったので熟れてから撮ろうと思っていたら、蔕の中央が黒ずんでしまった。
どちらの柿の蔕、あるいは萼も、先が尖って4枚で蔕の中央部を隙間なく一巡している。後漢の望楼の屋根にある柿の蔕のような猪の目はなかった。

私は柿が好きで、スーパーに並ぶのを今か今かと待っていた。そしてこの時期買うのは筆柿である。しかし、筆柿は細長いので蔕を写すのは困難だ。しかも、筆柿の蔕は決まって決まって茶色く、外側にそって曲がっている。
想像してみるのだが、乾いて曲がった蔕は、戦国時代の玻璃剣首や金銀象嵌注口付鼎のように、両端がくりくり曲がってきたり、尖った先端も曲がってわからなくなったりするのではないだろうか。また、時には猪の目のような隙間ができたかも知れない。
それに、「日本の樹木」(1985年 山と渓谷社)を調べた限りでは、四葉の木はなかった。柿蔕文が、四弁花の文様と区別するために四葉文とされたこともあったのかも知れない。