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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2006/07/29

柿の蔕はすごかった 中国古代の暮らしと夢展より



柿の蔕というのは高麗茶碗の種類にあるのは知っていた。名前からして侘びた感じが漂う。「かきのへた」と聞いて浮かぶのはそれくらいだった。

ところが、先日行った岡山オリエント美術館の「中国古代の暮らしと夢 建築・人・動物」展で驚いた。
展観されている大半が漢時代(前漢・後漢)のものだった。「陶器が語る来世の理想郷」と副タイトルにあるように、副葬品(明器)だ。
その中に大きな望楼(見張り台)が3点あった。その内2点は各層の屋根の端四隅に葉形の装飾がついているのだが、この望楼に付いているのは柿蔕形の装飾だ。

襖の引き手にありそうな形に見えるが、これが柿蔕と特定されていた。
同展図録は、柿蔕は中国語の発音「事」や「世」と似ており、吉祥の意味を持つため、漢代またそれ以降もよく装飾に用いられたという。

私は文様が好きであり、その伝播にも関心を持っているが、「柿蔕」という装飾文様は知らなかった。
他にも作例を見たいとネット検索したが、「柿の蔕」あるいは「柿蔕」で出てくるのは、茶碗、いや茶碗よりも漢方薬としての「柿蔕」がほとんどだった。シャックリの特効薬だそうな。
「漢の時代より」ということだから、青銅器の装飾にあるかも知れない。 

関連項目
中国の古墓にもラテルネンデッケはなかった
新沢千塚古墳群を巡る1
また見つけた四葉文
六葉で猪目も
柿の蔕と四葉
柿蔕文?四葉文?2
柿蔕文?四葉文?1
柿蔕形装飾と釘隠し

※参考文献
「陶器が語る来世の理想郷 中国古代の暮らしと夢-建築・人・動物展図録」愛知県陶磁資料館・町田市立博物館編集 2005年 発行は他岡山市立オリエント美術館等