中国では仏画に刺繍を用いるということが行われていた。
『宋元仏画 蒼海を越えたほとけたち展図録』は、補陀落山をあらわす海中の巌上に、くつろいだ姿で坐す楊柳観音。観音菩薩が住むという補陀落山の様相が、金色まばゆく刺繍されているという。
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| 京都国立博物館蔵 刺繡楊柳観音像 宋元仏画 蒼海を越えたほとけたち展図録より |
金の平箔糸の繍技が卓越している。右半身を覆う衣の全体には変り輪違い文様を詰め、その縁に亀甲文様、右肩から左腕をめぐり腹にかかる衣には、全体に菱繋ぎ文様を詰め、縁は渦文様、左肩から胸へ垂れる衣と袴には平箔糸が斜めに配され、それぞれ、黄糸による駒繡風の綴じが0.5-1㎜の間隔でほどこされている。金の平箔糸は幅約0.5㎜で、断面が二層になる分厚い紙を支持体としており、竹紙の一種と考えられる。また通例の駒繍では金糸の端を基布の裏にて処理するが、本作では各区画の際で端正に切り揃えてあるという。
とても細かい文様で、単眼鏡を忘れていたこともあり、暗い展示室ではそれぞれを確認することができなかった。
亀甲文様についてはこちら
まず同ページは、肉身部は無撚りのきわめて細い糸を用いて、繊細な刺し繍いとする。色は黄で金色を意図すると考えられる。
特に注目されるのはその着衣の刺繍で、特殊な金糸を用いて、間隙なく駒繍糸の綴じあげによって纏いつめているという。
同ページの挿図1で胸元に下がる瓔珞と刺し繍い肉身部が確認でき、挿図3で右肩に掛かる大衣の縁部にくるくると伸びる大まかな蔓草文様(唐草文様)もよく見える。挿図4により藍色の三条に分かれた垂髪の間に菱繋ぎ文が見えてきた。
同ページは、袴は左肩と同じく斜のつめ繍(ただし立てた左足は竪の平行繍)、表着の縁部には小亀甲を纏いつめるという。
斜のつめ繍や竪の平行繍は探しやすいが、同ページの指図5のおかげで、左手首上の葉っぱのような縁部に小さな亀甲文を見つけた。
左の方を見ると、挿図4の菱繋ぎ文や挿図3の唐草文もある。
前回の元時代にも登場する善財童子では多様な年頃に善財童子が登場したが、この善財童子は童子形と言っても良いだろう。
同ページは、善財童子の頭光によればもとは同じく金糸の綴じあげであらわされたものが、すっかり剝落した状態と知られる。
波は平金糸1本の綴じ上げと、萌葱糸の割り刺繍を交互に配して表わすという。
青海波文様のように交互に波頭が配される波文がいい感じ。
なお、この一幅は用いられている俵装の裂地もきわめて優秀で、早くより大切にされて来たことがうかがわれるのであると切畑健氏も述べておられる。関連記事
参考サイト
参考文献
「宋元仏画 蒼海を越えたほとけたち展図録」 2025年 京都国立博物館







