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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2016/10/21

田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展6 レースは揺らぐ


今回は田上惠美子氏のレースガラスを駆使した作品についての妄想です。

七帖 紅葉賀
ものすごいピンボケ。
それでも紫色の幅広のレースの向こうの螺旋がなんとかわかる。極細の線を密に捻ったレースガラス。

十一帖 花散里
たぶん表面が曇りガラスに仕上がっているためにピントが合いにくいのだろう。
底のかすかな凹凸で流れを変えるような小川の流れを彷彿とさせるやわらかなゆらぎ。

十六帖 関屋
5本の白い線は太さがそれぞれ違い、その束が不思議な回転を見せる。それが消えたり現れたりととても複雑。

十九帖 薄雲
レースいうよりも縦縞のガラスと思っていたが、大きく回転している。この浮遊感がなんとも心地良い。

二十八帖 野分
白いレースと黒または濃藍色のレースでは全然雰囲気が違う。その上立体的な墨流しのような広がり感がええなあ。

三十帖 藤袴
御簾の感じが出てますねと感想を述べると、田上氏はフジバカマのおしべがシャワシャワしている感じの表現ですとのこと。なるほど。
この微妙な揺らぎ、何とも言えず宜しいなあ。

三十五帖 柏木
なんとも力強い葡萄(えび)色のレース。端の処理がまた面白い。
側面に配された深緑の突起にもレースの捻りがあるような・・・

三十七帖 鈴虫
角の立ったレースの螺旋とでも言い表せば良いのだろうか、角があるのに揺らぎもあるという、妙なる技法。

三十八帖 夕霧
画像の上の方は、花弁の多い花のように中心から広がり、中央の帯は幅を広げては狭めていく。しかも、角が立つものもあれば、曲線の優雅さを見せるものもある。

四十五帖 橋姫
緑と白のレースガラスだけのリングと見えて、もっと複雑な構造に違いない。レースが楕円にならずにV字形になっていて、しかも頂点で折り返したような感じになっている。

レースガラスは紀元前からある技法だが、田上氏の作品を見ていると、無限に創作の可能性を秘めたものであることを感じさせる。

このようにして天善堂での蜻蛉玉源氏物語展の余韻を楽しんでいたところ、KOBEとんぼ玉ミュージアムの企画展示「蜻蛉玉源氏物語」の案内が届いた。きっと桐の箱にずらりと並んだ54個の蜻蛉玉というのが天善堂では見られなかったからだろう。
でも、この写真は写真としては優れているかも知れないが、右上と左下の隅の玉が写ってないやん。


田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展5 小さな玉の大きな宇宙
                        →田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展7 金箔の表情

関連項目
田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展8 截金の文様
田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展4 三十七~五十四帖
田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展3 十九~三十六帖
田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展2 一~十八帖
田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展1
天善堂で田上惠美子ガラス展 蜻蛉玉源氏物語
古代ガラス展3 レースガラス
レースガラスはアンティキティラ島出土物にも


※参考サイト
和色大辞典