ホシガラスが埋めて食べ忘れた種のように、バラバラに芽を出した記事が、枝分かれして他の記事と関連づけられることが多くなった。 これから先も枝葉を出して、それを別の種から出た茎と交叉させ、複雑な唐草に育てて行きたい。
2016/04/26
伏見稲荷5 お山する2
やっと稲荷山の頂上、一ノ峯まで登り、後は「お山」しながらの下山となる。
二ノ峰に向かう。
不思議なことに、鳥居は奉納者が書かれた側が見えている。逆ではないの?
そうか、伏見稲荷の1万本とも言われる鳥居は、全て一ノ峰に向かって奉納されたものだったのだ。
タイミングよく新しい鳥居を立てる作業をしている人たちがいた。
でも、どうやって朱塗りの木材をここまで運んできたのだろう。やっぱり下から人力で?
一ノ峯から下ってまた少し登り返したところにまたお塚がたくさん。これが二ノ峯だった。
④ 二ノ峯
青木大神という幟(のぼり)や幔幕があったり、前の鳥居や社殿の扁額に「中之社」とあったりする。
『伏見稲荷全境内名所図繪』は、「青木大神」が祀られ、台座の石は霊峰富士山の溶岩でつくられている。猿田彦大神と称され、お導きの神である。厳しい気性の神様と言われるが、一心に願えば非常に情の厚い神と伝えられている。建築・材木・運送・車輌・美容関係など、幅広く参拝者が多いという。
猿田彦って古事記や日本書紀にも出てくる神さんだけど、何故伏見稲荷に祀られているのかな。
富士山の溶岩は気が付かなかった。
BS11の「古地図で謎解き」は、お稲荷さんゆかりの狐に加えて、獅子つまり狛犬がいますという。
なるほど、狐もいるが、狛犬もいる。左前肢には鞠もある。こちらの狛犬は口を開いて舌を出し、
左側は口を閉じた狛犬に、子犬がまとわりついている。
三ノ峰へ向かって下っていく。
⑤ 間の峰(荷田社)
『伏見稲荷全境内名所図繪』は、「伊勢大神」が祀られ。荷田氏の流れを汲む。神蹟には故事にならって梅の門がある。神蹟正面の石鳥居は、「奴祢(ぬね)鳥居」と呼ばれ、神額を掲げる個所(額束)には扠首束をはめた合掌上の構造で大変に珍しい。同型の鳥居が京都新京極の錦天満宮にあるという。
いせやという休憩所の前を通り過ぎる。午後3時半ともなると閉まっている。
いつの間にか16番目になっていた。
また少し登り返して、お塚とともに「白菊大神」という幟が見えてきた。
⑥ 三ノ峯(下社)
図繪は、白菊大神が祀られ、芸事・商売繁盛他、多業種にわたり、人気を得られる職業に御利益があると言われていますという。
紅白の幟が石段の両脇に並んでいる。
向かいの休憩所にはお塚に奉納する小さな鳥居の見本があり、その続きには歌舞伎役者らしき名前を染めた暖簾がかかっていた。さすがに芸事に御利益のある神さんだけのことはある。
鳥居のトンネルの手前に手水舎(てみずしゃ)が。ということは、こちら側から登って手を浄め、白菊大神にお参りするのが順番だったのだ。
こちらの龍は新しそう。
どんどん下りて来し方を振り返る。
前方にはやっと四ツ辻のにしむら亭が見えてきた。ほっとしてピンボケに・・・
四ツ辻まで下りてきところに最後のご神蹟がある。
⑦ 荒神峰
図繪は、田中社、権大夫大神とも呼ばれ人気を得られるご加護があるといわれ、古くより芸事・役者の参拝者が多く、明治時代の歌舞伎役者の奉納によるお塚が点在するという。
何番目からか、石段の下から眺めるだけになってしまった。
後は下りるだけ。
三ツ辻、熊鷹社と順調に足を運ぶ。参道からは新池は見えない。
T字路を右折し、下りていく。上りでは気付かなかった水の流れ。
そしてこの分岐。どうも一方通行の鳥居のトンネルとは違うが、
案内を見ると、右側に行く方が良さそう。
右側の参道を歩いていると絵地図があった。一方通行の千本鳥居は奥社奉拝所からだったのだ。
十石橋を渡って右方向へ。
八島ヶ池の向こうには落ち着いた家並み。
ショートパスして玉山稲荷神社前まで戻ってきた。
右手には、小さいながら大社造の社や、
続いて祠が並んでいた。鈴の数だけ神さんが祀られている。
BS11の「古地図で謎解き」は、稲荷山はさまざまな御利益が得られる、まさに御利益のデパートとして人々を惹きつけてきたのですという言葉で終わっていた。
来る時はJRだったが、京都の街中に行くには京阪が便利。
京阪までの参道は出店で賑わっていた。
伏見稲荷の名物はスズメの焼き鳥と聞いていたが・・・
若い頃は、伏見稲荷の前はスズメの焼き鳥が並んでいると聞いて、行ってみようという気が起こらなかったが、昨今はあまりないらしい。
しかし、考えてみると、スズメは稲を食べる害鳥なので、それを食べるというのは、お稲荷さんでは自然なのかも。
日が傾いてきても、まだまだ参拝に来る人は多い。
そして、着物姿の人も。以前は、いくら京都といっても、こんなに着物姿の人が歩いているということはなかった。
JRの踏切を越え小川にに架かる橋を渡る。これは琵琶湖疎水なのだそう。
そして京阪の伏見稲荷駅着。
京阪の駅の中も神社っぽい装飾になっている。
では三条へお京阪(今でもCMで使われている)!
三条大橋を渡る頃、鴨川に夕日が映っていた。
三条大橋より下流側を眺める。
かつてはこの橋の欄干も朱色に染められていたのだろうか?
伏見稲荷4 お山する1←
関連項目
伏見稲荷3 京都の街を眺める
伏見稲荷2 鳥居のトンネル
伏見稲荷1 狐の銜えているもの
参考にしたもの
「伏見稲荷全境内名所図繪」 吉田初三郎筆 伏見稲荷大社鳥瞰図(1925年) 稲荷山共栄会発行
BS11の「古地図で謎解き」という番組の伏見稲荷編