平面図
その後陣には祭室が四つあるが、二つを見逃してしまった。
円柱にはアカンサス以外に、坏の水を飲む二匹のグリフィン
アカンサスの茎を握っているのはアダムとエヴァ?
南翼廊にも同様の装飾がある。
このような白色と黒色のかけらを見ていると、『世界史の旅 フランス・ロマネスク』(以下『フランス・ロマネスク』)で饗庭孝男氏が八角形の鐘楼がある。その下の軒には壁があって、市松文様の装飾や、星形や菱形の、釉薬をかけた陶片があるのが、その特徴であるという、石よりも陶片の方が当たっているのではないかと思うようになった。
軒下飾り(モディヨン)を巻物を重ねたものという解説を何で知ったかもう忘れた。
『図説ロマネスクの教会堂』は、「かんなくずモディリオン」は、飽で木を削ってできる飽屑に似ているのでその名がある。オーヴェルニュで広く用いられる。この形はイスラム建築に由来するという説もあるという。
そして南翼廊。
拡大してみると、後陣の文様と同じでも、石または白い漆喰で構成されていて、陶片のような質感はない。陶片に見えたものは、後世の修復材なのだろうか。
楣石左 マギの礼拝
楣石右 キリストの洗礼
右下 洗礼者ヨハネ
『図説ロマネスクの教会堂』は、全長50m、身廊幅
(ピアの芯々で)6.1m。身廊の高さ18m。現存するオーヴェルニュ派の教会堂の中では中程度の大きさ(最大のイソワールは全長70m、最小のサン・サチュルナンは34m)であるが、平面の形式はほとんど同じである。すなわち、4つの放射状祭室をもつ周歩廊と、東向きの小アプシスを一つずつ備えた単廊の袖廊をもつという。
翼廊は袖廊ともいう。
それでも内陣外側には黒石の八弁花文に六弁花文、別の言い方をすると八点星に六点星、その上には余った石を嵌め込んだのではと思うようなもあったりする。そして放射状祭室の間にある周歩廊の窓と窓の間には三本ずつ小さな円柱が、それぞれに趣向を凝らしたアカンサス由来の葉文様がある。
しかしながら、黒い色はこの地方のあちこちにある玄武岩だが、白い色は何だろう?
ブリウドのサンジュリアン聖堂後陣の切石モザイクと比べると、白さが異なる。
アカンサスの茎を握っているのはアダムとエヴァ?
このような白色と黒色のかけらを見ていると、『世界史の旅 フランス・ロマネスク』(以下『フランス・ロマネスク』)で饗庭孝男氏が八角形の鐘楼がある。その下の軒には壁があって、市松文様の装飾や、星形や菱形の、釉薬をかけた陶片があるのが、その特徴であるという、石よりも陶片の方が当たっているのではないかと思うようになった。
そして南翼廊。
上部のペディメント(三角破風)にもモザイク装飾がある上に、玄武岩で歯形装飾のようなもので、三角を大小たくさんつくっている。これは他には見られない装飾だろう。
下部の半円アーチの上にもアーチの形に合わせているし。
色石には火山岩らしい気泡が見られる。
このモディヨンは巻物かかんなくずか?南翼廊の壁面を二分する大きなアーチを中央で受ける柱頭彫刻はイサクの犠牲
『The Sculptures of Notre-Dame du Port』(以下『Port』)は、柱頭の頂上にある碑文にはこう書かれている。アブラハムは棒の束の上に足を置いて立ち、巨大な刃を振り回している。彼はイサクの髪を掴み、イサクは祭壇の上に横たわっていた。上には太った羊のような動物が見えるという。
同書は、左側では、天使が息子を犠牲にしようとしているアブラハムの腕を掴んでいる。下の隅には、太った羊よりも小さいロバが静かに横たわっている。何が起こっているのか見ていないという。
アブラハムは自分の信仰を証明するために、我が子を殺そうとした瞬間に神が止めたという旧約聖書の話。
羊の毛並みの表現が細かい。鞍を背負ったロバの上に天使が足をかけるすれすれのところで踏みとどまっている。
現在では閉じられている南扉口上のタンパンと五角形の楣石、そして周囲の浮彫。
タンパン 栄光のキリスト
『Port』は、完全な半円は空を表す。中央には十字の光輪を持つキリストが座っているが、彼の手と顔は革命時に潰された。彼のコートのひだは注意深く研究されています。 彼の頭の両側には、ギリシャ文字の最初と最後の文字であるアルファ(α)とオメガ(Ω)の二つのギリシャ文字がある。
両側には6枚の翼を持つ二人の天使がいて、2枚の翼は側面で邪魔にならず、2枚は後ろで絡み合い、最後の2枚は前で交差している。
天使たちは玉座に向かって頭を下げている。キリストを中心とした構成は、聖書にある二つの「幻」の要素を組み合わせたもので、一つは旧約聖書のイザヤ書にあり、預言者が神を崇拝するセラフィムを見るもので、もう一つは新約聖書の最後の書にあるものであるという。
キリストと二福音書記者の象徴
同書は、キリストは神の顕現であり、熾天使によって認められ、尊敬されている。玉座の足元には、一般に四人の福音書記者の象徴と考えられている4匹の動物のうちの2匹がいる。
マタイとマルコはキリストの頭部の両側にあっただろうという。
マルコのライオンとルカの牛ということになるが、最初は本を読む七面鳥に見えた。
『Port』は、扉口の上には、屋根のように、2つの斜面を備えた切妻の楣 (オーヴェルニュのロマネスク芸術によく見られるもの) があり、彫刻された場面を語る碑文が刻まれている。左から右に簡単に物語は展開する。
三人は馬から降り、天の王、つまりマリアの膝の上にいる子供に供物を捧げる。聖母は玉座に座っており、ロマネスク様式の「威厳のある聖母」を彷彿とさせる。最初に挨拶する東方東方三博士たちの身体のしなやかな動きは、マリアと子供の姿勢と対照的である。供物は三つの伝統的な贈り物で、金、神性への香、そして死体を防腐処理するための没薬であるという。
『Port』は、伝統的な建築様式の神殿はその上に鐘楼があり、中には祭壇とランプがある。エルサレムの神殿に仕える祭司シメオンは長衣の着物をきている。彼はマリアの子供を抱き上げる。マリアは細かい襞のある衣装を着ており、儀式用の二羽の鳩を捧げているヨゼフを隠しているという。
このマリアと次の場面の洗礼者ヨハネとの間に奥まって表されているのは誰だろうと思っていた。父ヨゼフだったとは。
キリストはヨルダン川に入って、洗礼者ヨハネによって洗礼を受けている。右側には天使が衣装を差し出している。
二人の天使がキリストを抱き上げているが、その下で横になって眠っているのは母マリアで、その足下が父ヨゼフということになるだろう。
左下 預言者イザヤ
『Port』は、扉の左側に小さな枝を手にドラゴンの上に立っている。偉大預言者である彼は、救世主の到来を最初に告げたという。
古代ギリシア以来ユーラシアの東西で着衣の襞の表現として使い続けられた折り畳み文がここにもある。
『Port』は、ラクダの皮で作られた祭司の服を着た洗礼者ヨハネ。彼は最後の預言者で、キリストをメシアとして明確に指摘した最初の預言者でもある。
預言者たちは神の王国への入口であるメシアに注目するよう勧めている。キリストは「私は門である。私を通して入る者はだれでも救われる」と言ったという。
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参考文献
「世界歴史の旅 フランス・ロマネスク」 饗庭孝男 1999年 山川出版社
「図説ロマネスクの教会堂」 辻本敬子・ダーリング益代 2003年 河出書房新社
「The Sculptures of Notre-Dame du Port」 Édition du Signe 2012年