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忘れへんうちに 旅編では、南イタリアの旅を再開しました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2020/02/11

タルクイニア国立考古学博物館 石棺・陶棺


タルクイニアでエトルリア人のモンテロッツィの墓地を見学した時、入ってすぐに見えてきたのは骨壺を入れたポルチーニ茸のような形状の石製容器だった。骨壺を中に入れて埋納していたという。

そしてかつては円錐形の墓が地上にあり、地下の墓室には壁画が描かれ、壁龕のようなところにこのような石製容器が安置されていたのだった。

それなのに、タルクイニア国立考古学博物館で最初に見たものは石棺。これって遺骸が入っていたの?それとも骨壺の容器?
残念ながら説明パネルがなかったり、写し忘れていたりして、年代のわからないものがおおい。

婦人の石棺
棺の蓋には女性が寝椅子でくつろいでいる。モンテロッツィの地下墓室の壁画には、男女が寝椅子に寝そべって饗宴を楽しむ場面ががあった。死後も楽しい生活が送れるようにということかな。
棺本体には、街の門を出て、凱旋する息子を迎える両親のような、棺の女主人の晴れがましい場面が表現されている。
婦人の石棺
両側に有翼の人物が複数登場する。中央には向かい合って握手する男たち。
キリスト教の有翼の天使以前には、古代ローマの有翼のクピドがいるが、エトルリアの有翼の人物は大人である。そう言えば、パエストゥム国立考古学博物館のアンドリウオロ47号墓(前350年頃)には有翼の船乗りが登場していて、ギリシアの神カロンとエトルリアの主神の融合したもの(『The Painted Tombs of Paestum』より)とされている。

婦人の石棺
丸いものを挟んで向かい合うグリフィンの絵が描かれている。

続く部屋にも石棺が。浮彫が多いが彩色のものも。
蓋の人物は平たく彫られている上に、顔が向こう向き。
棺本体は動物の闘争図
棺の蓋だけ壁に立てて展示されていることも。

女性だけは石棺に安置されたのだろうか、男性のものが見られない。
中国の棺のように棺本体に傾斜がある。棺の装飾は戦闘場面の高浮彫。

別の部屋には白い石棺も

有力者の石棺 前4世紀第3四半期
どうやら男性の棺のよう。
棺本体には戦闘場面の中に有翼の人物たちも武器を持って戦っている。しかも浮彫には着色されている。
頭側の短手には盾を持って対峙する戦士たち。武器は見えない。
棺蓋の軒飾りには両側でライオンに護られた女性

行政長官の石棺 前3世紀後半-前2世紀初 タルクイニア出土
確かに紀元前に有翼の人物像があった。
中央の円(盾?)をへだてて向かい合うヒポカンポス(半馬半魚)という図柄も

神官の石棺 前360-350年頃 ギリシアのパロス島の大理石
珍しく上向き
ETRUSCAN PLACES』は、石棺はギリシアから取り寄せた大理石を使っているのに、
地方の画工が描いたという。

これでもかというくらい石棺が並んでいる。
有力者の石棺は、腕の良い彫刻家がタルクィニア産の白石灰岩を刳り抜いてつくったという。
屋根の棟飾り(アクロテリオン)には髭面の頭部、両端

ティフォーネの墓(説明パネルより)
広い地下墓にはたくさんの石棺が安置されていた。壁画も描かれていたらしい。

2階通路にも3つ並んでいたが、陶棺だった。

女性の陶棺(蓋のみ)
上向き
女性の陶棺
肩掛けで頭部を覆って物思いにふけっているかのよう
女性の陶棺
3棺を順に見ていくと、一人の女性が眠りから覚めて、やっと起き上がったという流れを感じる。



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参考文献
「ETRUSCAN PLACES」 Maurizzio Martinelli Giulio Paolucci 出版年不明 SCALA
「The Painted Tombs of Paestum」 2004年 Pandemos