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忘れへんうちに 旅編に、中央アジア各地の旅に続いて、イランの旅を記載し始めました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2016/10/25

田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展7 金箔の表情


日本の金箔は非常に薄く、截金で使うものは数枚を重ねて竹の刃で截る様子をテレビで見たことがある。田上惠美子氏は金箔をどのように使っているのだろう。

一帖 桐壺
いったいどこにピントが合っているのか。
金箔の表面はザラザラのよう。縁の金箔が裂けているが大河のようで、真ん中の石畳文はその近くにかつて栄えた街の廃墟というのは、現在タジキスタンの遺跡巡りをまとめているからかも。

十三帖 明石
金箔が溶岩の温度が下がった状態だとしたら、その裂け目からまだ高温の煮えたぎる深緑色の溶岩が見えている感じ。

十七帖 絵合
表面に金箔だけでなく、葡萄(えびぞめ)と千歳緑(ちとせみどり)の短冊を貼り付けてある。しかも、色ガラスは金箔と金箔の間に挟まっていたりして、非常に凝っている。その上、砂子状の金箔が散らしてあるところなど、どんな風につくるのだろう。

二十三帖 初音
全体に金箔を被せ、縦縞の帯を巻いてある。その帯によってできる凹凸が、柔らかい印象をもたらしている。

三十二 梅枝 神戸とんぼ玉ミュージアムにて撮影
黒いガラスだと思っていたが、これも緑系の透明ガラスだった。蓮の病葉(わくらば)のようにも見える。金箔をどのようにしたら、こんな風に葉脈だけ残ったようになるのだろう。

三十六帖 横笛
金箔をカットした線が均一でないのが味わい深い。全体を見て笛の穴のように凹ませたと思っていたところには、ガラスの粒が入っていた。それが凸レンズの役目を果たし、裏側の金箔の様子がよく見える。

四十三帖 紅梅
金箔の漣は一定方向を向いていない。この帯を巻くと自然にそうなるのだろうか。

五十帖 東屋
正方形の截箔を石畳状に配置したものだが、これまでの金箔の皴や輝きとは異なった質感。金箔は滑らかさがなく、どことなく風化しているような。そこから剥がれた極小の箔片が周囲に張り付いている。これは十七帖絵合の砂子状の手法とも違うみたい。
その上、金色の下は赤っぽいし、金箔のところどころに若竹色も見えたりして、深みがある作品である。




※ これらの作品は田上惠美子氏、天善堂及び神戸とんぼ玉ミュージアムの許可を得て撮影しました。


              →田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展8 截金の文様

関連項目
田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展6 レースは揺らぐ
田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展5 小さな玉の大きな宇宙
田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展4 三十七~五十四帖
田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展3 十九~三十六帖
田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展2 一~十八帖
田上惠美子氏の蜻蛉玉源氏物語展1
天善堂で田上惠美子ガラス展 蜻蛉玉源氏物語

※参考サイト
和色大辞典