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忘れへんうちに 旅編に、中央アジア各地の旅に続いて、イランの旅を記載し始めました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2014/05/06

パルテノン神殿のアクロテリアがアカンサス唐草の最初


新アクロポリス美術館レベル3(日本風にいうと4階)では、パルテノン神殿のペディメント(破風)、メトープ、フリーズなどの彫刻が展示されている。その一角、窓に近い箇所に巨大なアクロテリアが置かれていた。


頂部のアクロテリア 漆喰による復元 1990年
大きさと形で、これが一番目を惹いた。
他にも断片が展示されていて、アクロテリアは一つだけではなかったことはわかる。しかし、やはりアカンサスの葉の特徴と思っていたギザギザがない。本当にアカンサスの葉を表しているのだろうか。

確かにパルテノン神殿西正面想像復元模型にも、破風の頂部と左右の端に半分ずつアクロテリアが置かれている。

説明板は、元の高さは3.9-4m。オリジナルのアカンサスの葉が付け加えられた。
アクロテリアは、アカンサスの葉とフェニックス(シュロ)の団扇形の葉の組み合わせである。4つの断片は、感性に訴える萼、茎、そしてアカンサスのギザギザの葉とフェニックスの細長い葉を細部まで表すとして、2つの植物の写真を載せていた。

パルメットではなくてフェニックスの葉?
アカンサスにしても、葉アザミと訳されるように、アザミのような深い切れ込みがあるが、広い葉の縁がギザギザのものでも、アカンサスと見做されているので、このアクロテリアの頂部に載っているものも、フェニックスの葉と言われれば、そうなのだろう。

その上、このアクロテリアの下部には、オリジナルとされる葉が数枚ついているが、キャベツの葉のようにギザギザはない。それでもアカンサスの葉ということになっている。

また内室には、フェイディアスのアテナ女神造像についての会計簿の石碑(前438年)が置かれていて、その頂部にはアカンサスの葉と思われるギザギザの葉が表されている。

アクロテリアの近くには、破風の頂部に載っているE.Berger画の想像復元図が示されていた。
1990年に復元されたものよりも葉が多く、やはり葉にはギザギザはないが、葉脈がかなり強調されている。
浮彫と丸彫りの違いといわれればそれまでであるが。


ともあれ、根元にアカンサスの葉、巻きひげ、茎と巻きひげの間から出た小さな蕾、その辺りになってやっと少しギザギザした葉が付いている。このように細部をみていくと、これはアカンサス唐草として完成した形である。

パルテノン神殿の建立が前438-433年頃。エレクテイオン(前421-406年創建、焼失後前395年再建)よりも前にアカンサス唐草は、浮彫ではなく丸彫としてこのパルテノン神殿に存在していたのだ。
エレクテイオンの唐草についてはこちら

ギリシアへの旅に出掛けるまでは、唐草文はヘレニズム時代に始まったと思っていた。
ところが、旅の初めにエピダウロス遺跡で前380年頃の唐草に出合った。
そして、旅の終わりにアクロポリスのエレクテイオン神殿で後期クラシック期のアカンサス唐草を見付け、更に新アクロポリス美術館でパルテノン神殿の破風上に載っていたアクロテリアが、盛期クラシック期のアカンサス唐草であることを発見したのだった。
今後、もっと古い蔓草やアカンサスの葉を見付けていきたい。
アカンサス唐草については以下のそれぞれの記事にあります。

      アカンサス唐草の最古はエレクテイオン?
                           →アクロテリアは生命の樹

関連項目
ギリシアの生命の樹の起源はアッシリア
生命の樹の枝が巻きひげに
アカンサス唐草文の最初は?
ギリシア神殿5 軒飾りと唐草文
アカンサスの葉が唐草に
アテネ、アクロポリス1 プロピュライア
アテネ、アクロポリス2 パルテノン神殿

※参考文献
「世界美術大全集4 ギリシア・クラシックとヘレニズム」 1995年 小学館
「THE ACROPOLIS THROUGH ITS MUSEUM」 PANOS VALAVANIS 2013 KAPON EDITIONS