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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2007/02/13

中国最古騎馬像はどっち?


うっかりと中国最古騎馬像はで下図を中国最古の騎馬像と決めてしまったが、これは最も古い秦人の騎馬する姿の間違いだった。陝西省咸陽出土ということなので、下図が記載されていた『図説中国文明史4秦漢』に秦人が咸陽原に遷都した前350年から始皇帝が秦を打ち立てた前221年までの間につくられたものということができると思う。もっとうっかりしていたのだが、以前に金粒細工について調べていた時(金粒を探しながら中国の金工品をふらふら2)に、既に下図が騎馬像であることに気がついていたのだった。

『世界美術大全集東洋編1先史・殷・周』 は、虎と闘う戦士は右手に剣を握り左手で手綱をとっている。2本の棒状の飾りのついた頭巾のようなものをかぶり、ズボンをはき、腿までの上着を身につけている。両膝を曲げた格好で表されるが、これは乗馬の姿勢としては不自然で、あるいは闘うために馬から下りようとしているのであろうか。馬は面繋(おもがい)をつけ、胸繋(むながい)や尻繋(しりがい)らしいものも見える。背中には鞍が見えるという。
妙な馬の乗り方である。当時はこの金の点1つ1つが粒金細工なのではないかと思っていたが、これを金象嵌と認めたとしてもすごい技術である。その上、他の文様の線や面が戦国時代に特徴的な細い金線を象嵌するというきわめて精密な技法なのに、この騎馬像は変である。虎と闘うために馬から下りようとした瞬間を捕らえた図というのが一番自然な説明のように思う。この鏡は戦国時代(前5-3世紀)と、時代に幅があり、その分秦人の騎馬俑よりも古い可能性がある、としか言えない。

※参考文献
「図説中国文明史4 秦漢」 劉煒編著 2005年 創元社
「世界美術大全集東洋編1 先史・殷・周」 2000年 小学館