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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2017/02/07

泉屋博古館の青銅器2 饕餮文


第3展示室は「青銅器の文様」
それぞれの作品の上部に、饕餮の文様が拡大されて分かり易い。

しかし、今回はその饕餮文の図解を撮影するにとどまった。

展示室にあった「商周青銅器の文様」というリーフレットは、商時代から西周時代前半にかけて、器の最も目立つ位置(腹部中央など)に、怪獣の顔面を大きく表現することが流行しました。この顔面文様を饕餮文と呼んでいます。近年中国では獣面文と呼ばれています。
この文様は、青銅器の最も目立つ部分を飾る場合が多いことから、この時期、一番格の高い重要な文様であったと考えられ、天の最高神をあらわした文様とか、最高神の使者をあらわした文様とかいわれていますという。

何故それを写したかというと、顔の各部分がくっきりと表され、しかもそれぞれに名称が記されてあるからだ。商から西周時代の青銅器は地文もびっしりと彫られているので、顔全体として理解するということが困難な作品が多い。だからこのような図解は有り難い。

顔面らしい形。角が少し離れている程度で一体感がある。
鼻梁の上部が左右で合っていないのは、この顔面が平面に表されているのではなく、3本の足の上の出っ張った部分の端に半分ずつが彫られているので、それを平面に合成する時にうまく合わせられなかったから。

上下一対ずつある牙は、上の作品よりは目立つ。角は外側の端が細くなり、角らしい形に。
リーフレットは、饕餮の基本構造は中央の稜飾を鼻すじとして、左右対称に顔面を展開します。鼻梁の上部には、必ず篦状の飾りを付けるのが特徴になっていますという。

角は顔面に付いているが。口は小さな牙のある線状に表され、その横に足が出現した。

饕餮の面白いのは、最初は正面向きの顔面だけだったのに、段々と胴部や尾、足などが横向きで表されるようになることだ。

横向きの動物として見た場合は顔も横向きのものが左右対称に配されており、しかもその横向きの顔を左右合わせて見ると、ちゃんと正面向きになっている。

各部分に鰭のようなものが複数出ていて、もはや饕餮の顔面よりも、横向きの動物を左右対称に表す方に重きを置かれているよう。

細い線で横向きの獣が表されている。羽根が出てきた。背後にはこの図柄をもっと簡略したような虁文が表されている。
眼だけは大きく表されているので、両眼を正面にして見ると顔面に見えるだろう。

とうとう各部分がばらぱらに。これでは顔だとわからない。工人も、一体何を作っているのかわからなくなっているのでは。

犠首方尊
各部分がばらばらの類。

饕餮の顔面というよりも、横向きの対獣文に見える。

平たいが饕餮の顔面に見える。それは、足がなくなり、上下に3つ繋がった羽根が幅が広いので、顔の続きのようになっているからだろう。
足がなくなり、4枚の羽根が髪にも見え、巻いた尾は耳ともとれる。横向きの獣は存在感が失せ、全体に饕餮の顔面を表したよう。
次回は必ず集中力のある時に、時間をかけてみよう。

     泉屋博古館の青銅器1 羽状獣文を探して

関連項目
饕餮が大喰らいだったとは
饕餮は王だったのか

※参考文献
「商周青銅器の文様」 泉屋博古館青銅器室のリーフレット