『世界美術大全集東洋編10』は、朝鮮半島の古代文化を象徴するのは、新羅の金製品である。
今日までに金冠塚、皇南大塚北墳、天馬塚、金鈴塚、瑞鳳塚の合わせて5基の古墳から典型的な金製の新羅式冠が出土している。これらはみな新羅の都があった慶州の邑南(ゆうなん)古墳群に属するという。
もっとたくさんあるのかと思っていた。
金冠塚に比べて立飾の枝が太くなり、列点文が2条になるなど、新しい要素が見られる。冠帯の左右には、冠垂飾が一つの金環から長短2条下がる。1条は、3枚の金板を折り曲げ、背中合わせにして作った三翼形垂下飾を先端に垂らす。中間の飾りは、細金板を二つに折り曲げた両端に輪を作り、細金板の周りを金線で螺旋状に巻き付け枝を出し、その先に心葉形歩揺を垂らした金具を9個連結している。他の1条は、華籠形中間飾りに3個の心葉形垂下飾を下げるという。
垂飾は新羅から出土した皇南大塚北墳・金冠塚・瑞鳳塚・金鈴塚の金冠にそれぞれついていて、飾り・金冠への取り付け金具はすべて異なっている。


これが慶州で最初に作られた金冠らしい。1段の「山」字形の立飾というが、太い幹と枝の樹木を表したとみる方が自然だろう。側面の立飾は樹木形なのか、鹿の角形なのか、木の葉のような歩揺があるので樹木形のようだ。

シベリアと新羅・百済・伽倻の間には高句麗という国があったのに、高句麗にはこのような冠はないようだ。高句麗を経由せずに、どのようにしてシャーマニズムや樹木形や鹿の角形の立飾のある冠が伝わったのだろう。
※参考文献
「韓国の古代遺跡1 新羅篇(慶州)」(森浩一監修 1988年 中央公論社)
「図説韓国の歴史」(金両基監修 1988年 河出書房新社)
「黄金の国・新羅-王陵の至宝展図録」(2004年 奈良国立博物館)
「天馬 シルクロードを翔る夢の馬展図録」(2008年 奈良国立博物館)
「いまこそ知りたい朝鮮半島の美術」(吉良文男 2002年 小学館)