
丸彫に近い仁王像がこちらを向いて窟室前の両側に立っている。足を踏ん張ってこぶしを振り上げている。しかしながら翻った衣の端はくるくると巻いて図式化が見られる。衣文は体に沿って、折り目の広がる様子もリアルなのとギャップがあるなあ。顔のすごさの割に、胸部の肋骨や筋肉がただの装飾になってしまっている。こういう矛盾した表現がみられる。


そして窟室両側に2体ずつ表された四天王像。こちらも高浮彫だが、仁王像ほどではない。

土でつくったものなので、細密に造形されているため、石を彫ったものと単純に比較することはできないが、精緻な表現とさえ言えるような作品である。

こちらも彩釉磚だが、衣の端の帯文様の唐草文など伸び伸びと素晴らしい。軒平瓦の文様と同じと言われればそれまでてあるが。

※参考文献
「国立慶州博物館図録」(1996年 通川文化社)
「世界美術大全集東洋編10高句麗・百済・新羅・高麗」(1998年 小学館)
「仏国寺・石窟庵」(李性陀)