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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2008/06/25

慶州石窟庵(ソックラム 석굴암)の仁王像と四天王像

石窟庵の内部は正面から、ガラス越しにしか見学できないが、外には内部の平面図と立面図のパネルがあり、どのような構造になっているのか、予備知識を得ることができる。 前室は両壁に八部衆が4体ずつ並んでいるが、残念ながら、本にも絵葉書にも写真がない。

丸彫に近い仁王像がこちらを向いて窟室前の両側に立っている。足を踏ん張ってこぶしを振り上げている。しかしながら翻った衣の端はくるくると巻いて図式化が見られる。衣文は体に沿って、折り目の広がる様子もリアルなのとギャップがあるなあ。顔のすごさの割に、胸部の肋骨や筋肉がただの装飾になってしまっている。こういう矛盾した表現がみられる。 善徳女王の634年に創建された芬皇寺の模磚塔には四面に扉口があり、それぞれ仁王像が守っている。 芬皇寺の仁王像よりも石窟庵の方が動きがあるようには思うのだが。

そして窟室両側に2体ずつ表された四天王像。こちらも高浮彫だが、仁王像ほどではない。
24 四天王像 慶州四天王寺址出土 彩釉磚 統一新羅(679年頃)  国立慶州博物館蔵
土でつくったものなので、細密に造形されているため、石を彫ったものと単純に比較することはできないが、精緻な表現とさえ言えるような作品である。25 四天王像 慶州四天王寺址出土 彩釉磚 統一新羅(679年頃)  国立慶州博物館蔵
こちらも彩釉磚だが、衣の端の帯文様の唐草文など伸び伸びと素晴らしい。軒平瓦の文様と同じと言われればそれまでてあるが。 1世紀ほど前にこのような表現ができたのなら、石彫とはいえ、柔らかい衣の表現ができるようになっていたのかも。

※参考文献
「国立慶州博物館図録」(1996年 通川文化社)
「世界美術大全集東洋編10高句麗・百済・新羅・高麗」(1998年 小学館)
「仏国寺・石窟庵」(李性陀)