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2023/02/07

川崎美術館展 南宋の仏画


よみがえる川崎美術館展には南宋時代の阿弥陀三尊図も展観されていた。

阿弥陀三尊像 南宋時代・13世紀 絹本著色 90.0X52.6㎝ 九州国立博物館蔵
『よみがえる川崎美術館展図録』は、下方から勢いよく湧き上がり各所で渦を巻く瑞雲の上に、阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩を描く。三尊は両足をそれぞれ独立した蓮華(踏み割り蓮華)に載せて立つ。三尊ともに頭光を、阿弥陀如来はその外側に巨大な舟形光背を背負う。
着衣にみられる濃い緑と赤を主調とした彩色や金泥による精緻な文様、阿弥陀の低平な肉髻と大振りの肉珠、各尊にみられる長く伸びた爪、朱、緑、黒で彩られた瑞雲の表現など、南宋仏画の造形語彙が各所に充溢しているという。
瑞雲に乗った阿弥陀三尊が描かれているが、来迎図とは定義されていない。
九州国立博物館蔵阿弥陀三尊像 南宋・13世紀  『よみがえる川崎美術館展図録』より

同展図録は、阿弥陀如来は正面を向き、右手は施無畏印とし、左手は腹前で掌を上に向けて水瓶らしきものを捧げ持つ。阿弥陀は、濃朱の大衣、緑の裳、内衣、半透明な覆肩衣を着す。観音、勢至の両菩薩は、壮麗な宝冠、瓔で身を飾り、幅広の天衣、内衣裳、腰布を着す。いずれの着衣にも金泥により精緻な文様が施されるという。
ただ、大衣の衣端を注目すると、折畳文が襞を表すものであることは忘れられているようで、特に中央の衣端は風に翻っているかのよう。
九州国立博物館蔵阿弥陀三尊像部分 南宋・13世紀  『よみがえる川崎美術館展図録』より

ガラスの瓶? 阿弥陀如来が物を持っているのを初めて見た。
細い長頚の丸い水瓶。これは南宋時代に中国で作られたものだろうか。
九州国立博物館蔵阿弥陀三尊像部分 南宋・13世紀  『よみがえる川崎美術館展図録』より

舟形光背の内部には、阿弥陀の聖なる力の表象である雲氣が、下方から上方に向けて激しい動勢をみせながら上昇する。この雲氣の表現は、仏教伝来以前の漢代の造形作品のそれをも想起させ、北魏時代の仏教美術にも通じる古様さを感じさせる点が注目されるという。
舟形光背と呼ばれるが、もちろん蓮弁である。
九州国立博物館蔵阿弥陀三尊像部分 南宋・13世紀  『よみがえる川崎美術館展図録』より

両菩薩は、中央の阿弥陀の方をわずかに向き、観音菩薩は左手に水瓶、右手に柳を、勢至菩薩は両手で蓮茎を持つという。
阿弥陀如来が持つのはガラスの水瓶だが、観音菩薩が提げるのは陶磁器の水瓶のよう。
勢至菩薩は蓮茎を上向きに持ち、X肩あたりに側面を見せた葉が描かれる。
九州国立博物館蔵阿弥陀三尊像部分 南宋・13世紀  『よみがえる川崎美術館展図録』より

同展図録は、中国伝統の気の造形を取り入れ、類例のない神秘的阿弥陀三尊を現出させた張思恭の作風を今に伝える貴重な絵画であり、特異な図像に秘められた信仰背景について研究がまたれる作例であるという。
九州国立博物館蔵阿弥陀三尊像部分 南宋・13世紀  『よみがえる川崎美術館展図録』より


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参考文献
「よみがえる川崎美術館-川崎正蔵が守り伝えた美への招待-展図録」 神戸市立博物館・毎日新聞社 2022年 神戸市立博物館・神戸新聞社・毎日新聞社・NHK