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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2018/06/15

大根島 由志園の熔岩探検


竜渓洞から南下すると由志園がある。駐車場には「まちの駅」とも書かれていた。
Google Earthより
門は武家屋敷か本陣風。
リーフレットは、江戸時代から続く雲州人蔘の産地。
神々が集う出雲の地は、別名「雲州」と呼ばれそこで収穫された高麗人蔘は雲州人蔘として親しまれています。茶人大名として有名な松江藩7代藩主・松平治郷(不昧公)が財政を再建するため始めた高麗人蔘の栽培も今や世界の一級品として高く評価されています。由志園では200年の歴史ある伝統的な栽培風景の保全も行っていますという。
島の名の大根とは高麗人参のことだったのか。
建物から出ると、足立美術館のような庭がひろがっていた。
リーフレットは、ここは出雲の國の箱庭。
由志園は、出雲地方の豊かな地形を凝縮した箱庭の様に、八岐大蛇伝説が息づく奥出雲の大渓谷や斐伊川、そして宍道湖や中海、日本海の美しい水景までも感じることのできる池水回遊式庭園ですという。

紅葉橋から見た景色。中海を模した池泉という。

気泡のある溶岩が庭石に使われている。
島根県自然観察指導員の門脇さんにいただいたリーフレットのB面は「由志園の熔岩探検」だった。島石には、地中から掘り起こされる「山石(陸石)」と海中から採取される「海石」の2種類があります。山石は、火山灰などの土が付着し赤茶色をしていますが、海石は玄武岩本来の黒っぽい色をしています。
また、島石には、上・下があります。マグマ中に含まれていた水などが、熔岩が冷えるにつれて火山性のガスとなって上の方に移動し、抜け出たものです。ですから、穴のあいている面が上部になりますという。
上面を上にして置かれているのだった。

庭に配された石に気泡のある石が多いのが、他の庭園にない特徴かも。もっとも火山の大根島には、外から持ち込まなければ溶岩しかないか。
「由志園の熔岩探検」は日本庭園の中程に入ると、表面に無数の穴があいた自然石の石組や捨石に迎え入れられます。この石は島石と呼ばれています。ザラザラとした手触り。見た目は柔らかそうですが、松江城の石垣や家屋の基礎石、墓石などに使われるなど、実はとても頑丈な石なのです。現在も、土を掘れば地表から2mほどの場所に島石が眠っていますという。

中海と宍道湖の間くらい。島石と低く刈り込んだ緑とがよく見通せる場所だ。

梅恵橋より。
向こうの小さな灯籠は溶岩ではなさそう。

宍道湖を模した池泉には朱橋が架かる。
朱橋より。ここも島石を両岸に積んで水の流れをつくっている。
水中は藻がよく繁茂している。この水はどこから採っているのだろう。

大山を模した溶岩の築山は、近すぎて全体が写せなかった。

枯山水の庭。
「由志園の溶岩探検」は、大根島の海岸沿いに車を走らせると、波静かな海面から顔をのぞかせる岩肌を目にします。これは熔岩が波に浸食されてできた波蝕台で、林立した中世の姿が見られます。枯山水庭は、こうした大根島の海岸を模していますという。

足立美術館と違って、庭園を巡ることができて楽しい。中海方面が見えているが、大根島はわからない。


通路の両側が高い石垣になった。
上の面が苔むして不思議な世界。

と思っていたら、「由志園の熔岩探検」の真ん中に載っている写真のところに出た。
同リーフレットは、チュラムスが見られる。表面が固まった熔岩が、地下からの圧力で突き上げられ、円錐状に隆起した地形。大根島の海岸にある弁天島はチュラムスですという。
同リーフレットは、由志園では、ふだんお目にかかれない地中の様子を知ってもらおうと、園内の一角を掘り、土の中から姿を現した岩盤を「熔岩庭園」と名付け公開しています。
大小無数のパホイホイ熔岩、チューブや饅頭型の熔岩など、実に多彩な熔岩の素顔に出合えます。そしてパホイホイ熔岩の存在こそ、大根島が陸上噴火によってできた島であることの確たる証拠です。熔岩庭園は、大根島の誕生の様子がうかがえる、貴重な庭園でもあるのですという。
チューブ状熔岩は、現在では途中で割れて落ちていた。

ここで庭園は終わり。館内の喫茶「一望」で休憩。中海を模した池の州浜の向こうに大根島とされる島があった。
高麗人蔘入りソフトクリームをいただいた。

館内には中海と大根島のジオラマがあり、
由志園の前に見学した第2熔岩トンネルが、島の北端に近いことを知った。
そして、大根島に淡水の池や水があるのは、淡水レンズと呼ばれる、地下に真水のたまった層があるからだということも知った。
「由志園の熔岩探検」は、由志園の真ん中に配された大きな池。実はこの池の水は、すべて地下水でまかなっています。中海で囲まれ川もない大根島に、なぜ真水の地下水があるのかと不思議に思うかもしれません。
中海は、真水と海水が混じる汽水湖です。けれど、風が吹かない地下では真水と汽水は二層に分離し、混ざることはありません。大根島に降った雨はゆっくりと地下にしみこみ、やがて熔岩と熔岩とのすきまに貯留されます。汽水は真水に比べて比重が大きいため、地下では汽水の上に真水が浮かんでいる状態になっています。真水が溜まったこの大きな水瓶は、「淡水レンズ」と呼ばれていますという。


最後に見たのは、朝鮮人参の伝統的な架構法だった。
説明パネルは、大根島で伝統的に行われてきた人蔘架構を継承しています。
ムカルナス時の破れ防止に手作り包帯を巻きます。そして蒸篭に並べ、釜戸で1時間蒸し、さらに余熱で2時間蒸らしますという。
蒸し上げた人蔘を籠に並べ、約20日間かけゆっくりと乾燥させます。仕上がりの状態を見ながら籠の位置を入れ替えていきます。白色の人蔘が飴色になると完成ですという。
牡丹だけでなく、熔岩に朝鮮人参朝鮮人参についても学べた由志園だった。

    大根島 日本で最も低い火山は大塚山

参考文献
由志園のリーフレット
「由志園の溶岩探検」というリーフレット