お知らせ

忘れへんうちに 旅編に、中央アジア各地の旅に続いて、イランの旅を記載し始めました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2016/06/03

唐招提寺3 金堂内部


唐招提寺金堂、今回はその内部
『新版古寺巡礼奈良8唐招提寺』は、金堂内陣は、柱間に大虹梁(だいこうりょう)を掛け広い空間をつくり出し、石組仏壇の上には中央に盧舎那仏(るしゃなぶつ)坐像、向かって右に薬師如来立像、左に千手観音立像が安置され、本尊の前方両脇には梵天・帝釈天、仏壇四隅には四天王が配されている。

同書は、天井は折上組入(おりあげくみいれ)天井で、当初の形式・部材及び彩色がよく残っている。天井板は4間を一つの絵として描かれている。折上部の支輪(しりん)板には5種の文様が見られ、文様によって数の違いがあるが当初の配置状況は不明であるという。
天井が格子になっているからといって、格天井というのではないようだ。
格子の間には蓮華が描かれているような。外から覗くと暗くてわからなかったが。
天井に蓮華が描かれるのは一般的だったのだろうか。法隆寺金堂の天蓋や橘夫人念持仏厨子の天井にもその遺例がある。
創建当初は金箔の貼られた仏像が、外からの淡い光にも反射して、美しく輝いていたのだろうなあ。

千手観音立像
同書は、像高が5m余りある巨大な像で、丈八(一丈八尺)というわが国では珍しい大きさの像で、実際に千本の手をつけている(現在953本)。頭には頭上の仏面をはじめ十面を戴き、顔には縦に一眼を刻む。面相はやや角ばり、眼球の膨らみをはっきりと、鼻は太く短めに、上唇はめくれるように表している。制作期は、本尊に遅れる8世紀末頃と考えられるという。
今は昔、仏教美術史の授業で、「明治の大修理の時、千手観音菩薩立像の手を全部外したら、組み立てた時に数十本が嵌めきらなかった」というようなことを聞いた。
そして、平成の大修理が行われることが決まって、今回はきっと残りの手も観音さんの体に戻るのだろうと期待し、その様子がテレビ番組となって放映されるのを楽しみにしていた。ところが、今回もその数十本は収まらず、今でも953本のままなのだった。
『共結来縁』には2001年に解体した時の図版があった。
番組でも、小さな手は数本が釘でまとめられて観音さんの体に取り付けられていたことが紹介されていたが、この図版でも、そのような束になった手があちこちに見ることができる。
同書の2009年に千手観音小脇手の最後の1本を取り付ける様子の図版。
小脇手といっても人間の腕くらいの長さがありそう。

盧舎那仏坐像 奈良時代、天応元年(781)頃 像高304.5㎝ 脱活乾漆造・漆箔 義静
『カラー版日本仏教史』は、力強い新しい作風を示すのが唐招提寺金堂の盧舎那仏坐像である。量感を強調したなで肩で幅の広い体つきは、唐・天宝年間(742-755)の作例にもみられ、そこに鑑真渡来にともなう唐影響が認められる。着衣の表現は、写実的な表現を基調としながら、細部の装飾性が増し、一段と成熟した様相をみせる。緊張感にとんだ雄渾な作風は、世俗臭の漂う盛唐期の作風とも一線を画し、天平後期における最高の製作水準を示すという。
『共結来縁』の2009年に蓮弁を取り付ける作業の図版。
蓮弁1枚は人の上半身くらいありそう。
ところで、この盧舎那仏の光背には化仏がたくさん付いている。でも、あまり古くなさそうなものもあるみたい。
『柳孝骨董一代』でその化仏の一つを見たことがある。

化仏唐招提寺伝来 天平時代 木造漆箔 像高11.3㎝ 柳孝氏蔵
同書は、唐招提寺の盧舎那仏の大光背にはもともとは千体の化仏が取り付けられていたのだが、現在の化仏の数は864体、そのうち天平当初のものは322体と言う。鎌倉期や江戸期に補填した化仏の方が多いらしい。明治期にも何体かの化仏が民間に流出し、仏教美術好きの垂涎の仏像となっているという。
何ともいえない、良い雰囲気を醸し出す化仏。盧舎那仏よりもこちらの方が好みです。

薬師如来立像 平安時代、延暦15年(796)-弘仁6年(815) 木心乾漆・漆箔 像高336.0㎝ 如宝造立
『新版古寺巡礼奈良8唐招提寺』は、奈良時代以前の薬師如来と同様に薬壺は持たない。顔は大きめで、首はきわめて短い。衣端には大きな翻りはなく、股間の衣文線もほとんど真っ直ぐに下りていくので、静謐にたたずむ感がある。左掌から延暦15年の「隆平永宝」が発見されたため、この年に近い時期の造立と考えられている。また『唐招提寺建立縁起』によれば、鑑真和上の弟子の如宝の造立とされるので、如宝の没年である弘仁6年が制作年代の下限となるという。 
この像は修復後に奈良国立博物館の仏像館に安置されていたので、間近で見ることができた。
確か、光背はこの像本来のものではないとか。

        唐招提寺2 金堂建物の細部←         →唐招提寺4 鬼瓦

関連項目
翻波式衣文はどこから
唐招提寺の木彫仏にみる翻波式衣文
唐招提寺の四天王像
天井の蓮華
蓮華座3 伝橘夫人念持仏とその厨子
唐招提寺5 境内を巡る
唐招提寺1 南大門から金堂へ

※参考文献
「新版古寺巡礼奈良8 唐招提寺」 西山明彦・滝田栄 2010年 淡交社
「太陽仏像仏画シリーズⅠ 奈良」 1978年 平凡社
「鑑真和上展図録」 奈良国立博物館編 2009年 TBS
「カラー版日本仏像史」 水野敬三郎監修 2001年 美術出版社
「柳孝 骨董一代」 青柳恵介 2007年 新潮社