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忘れへんうちに 旅編に、中央アジア各地の旅に続いて、イランの旅を記載し始めました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2016/01/08

ヒヴァ、ジュマ・モスクの木柱1 古いもの


ヒヴァのジュマ・モスクは多柱式で、焼成レンガで作られ、ドームを持つモスクと比べると、平天井は低く薄暗いが、212本あると言われるその柱の間を歩いていると、森の中を散策しているようで、心が安らぐ。
そして、円柱にはそれぞれに文様が刻まれていたり、かなり古いものがあり、見どころも尽きない。いつまでも居たい空間である。

『ウズベキスタンの歴史的な建造物』は、最も古いコラムはアムダリア川の底部に沈んだ中世のホレズムの首都であったキャットのものかもしれない。21のコラムが10-12世紀のものとされる、その上にアラビアのクーフィ文字の碑文がある。4つのコラムはバグバンリ・モスクのコラムを思い出させ、ナスフ式の碑文がある。18-19世紀のコラムは典型的なヒヴァの花と植物のパターンである。
円形とスパイラルの植物の模様、コーランの引用、およびイスラム教の祈言などで完全に覆われている。そのすべては装飾だけでなく、建物の屋根を支えるコラムの精神的なお守りの役割を果たすという。

円柱の中には「手を触れるな」マークがあったりしたが、何といっても薄暗く、角度によってはそのマークが見えないこともあるので、 21本も探し出せなかったが、古そうな円柱(コラム)を写して回った。

① まず、入口を入ってすぐに見える円柱。柱頭が非常に個性的で、マークがなかったら古いものとは思わない。
大抵は石でつくられている柱礎も木製で、他の円柱とは全く 趣が異なる。
柱頭頂部は連珠文の曲線が8つの凹凸をつくり、くぼみには花を象ったような文様がおかれている。その下は連珠文が二重または三重に同心円をなした円文がびっしりと並ぶ。
柱身は植物文とも幾何学文ともいえないような文様が浮彫されている。その下は大きく広い葉の浮彫が4枚表され、丸い根元には文様が施されていたような痕跡もある。
柱礎上部には植物文が、四角い部分には蔓草文、ひょっとすると、私が勝手に木瓜文繋ぎと呼んでいる、例の文様があるのかも。

そして、東の明かり取り周辺。
この周囲には古い円柱が多かった。

② ほぼ木に戻っているものも。
柱頭には、三つ葉のような3枚の花弁のような文様で埋め尽くされた植物文。その下に連珠文が巡る。
柱身上部には、かつて浮彫装飾があったようにも見える。下部のアラビア文字の銘文はしっかりと残っている。
根元は①よりも凹凸があって、やはり大きな葉から丸い蕾か芽が出てきたようで、その凹凸が生命力のようなものを感じさせる。

そしてこの2本。

③手前の円柱
柱頭は②とは異なり、小さな葡萄の葉のようなものが、太陽の光を求めて、競って外に顔を出しているかのよう。その下の唐辛子のような形の並んだものは初見の文様。
中心上部には浮彫はなかったらしい。下部には段があるので、アラビア文字の銘文が浮彫されていたのかも。
根元は①タイプのように凹凸が少ない。4枚の葉には葉脈ではなく、複雑な文様が刻まれていたようで、葉の間から柱礎にかけては、別の小さな文様が浮彫されている。

④奥の円柱
柱頭はシダの葉のようなものが浮彫されていると思っていたが、あるいは中に小さな花のようなものを配した木瓜文繋ぎかも。
柱身下部には菱文繋ぎのような組紐文が見られるが、もっと複雑に、幾つかの幾何学文を組み合わせたものかも。
根元は凹凸のある②のタイプで、広い葉の太い葉脈も残っている。

⑤部分的にしか写していない円柱
柱頭は不明、柱身上部は浮彫がなかったのだろう。線刻でアラビア文字の銘文があり(これが何体なのか分からない)、その下にも別の書体のアラビア文字の銘文が浮彫されている。
巴文の帯の下には、縦の組紐文が目立つ六角形と6点星の幾何学文がある。その中は巴文を組み合わせた浮彫。
根元は②のタイプで、やはり巴文のある葉から、球のようなものが出ている。まさか地球では?

そして、入口近くにあった円柱と同じ柱頭を持つものも。
⑥柱頭と柱身が異なるもの
柱身上部には装飾がなく、株にはアラビア文字の銘文の下にも浮彫は残っているが、幾何学文と植物文の組み合わせなのだろうなというくらいにしかわからない。
根元は②のタイプで、広い葉には葉脈の痕跡が。

⑦ その右奥の円柱
最頂部はギリシア以来の柱頭のように、アバクスがのっているかのよう。
柱頭の上の黒い板は円柱とは別材のようで、長さが足りなかったために挟んだのかも。柱頭の浮彫は②の花文に似ている。
柱身は上の方に浮彫があって、亀甲繋文の中に四弁花文が表される。
根元は傷みがひどく、元の形ですらなさそう。

⑧ 根元に穴があるもの
根元の穴が不思議。円柱の上部を写していないのは、おそらく浮彫がなかったからだろう。
4枚の葉には浮彫がなく、そこから出た蕾のような地球のような丸いものを、フォークのような道具で支えているようにも見える。
その奥のものも古そう。
このような円柱は柱身に浮彫のない下図のようなタイプだったのでは。

⑨ ハトが巣を作っているもの
柱頭にはアバクスがついている。細身の柱頭にも、柱身にも浮彫はない。
根元は⑧のように無文の葉から滴のように出ている。

そして、役目を終えて壁際に横に寝かされたもの。

⑩ 全体に浮彫がある
柱頭と呼べるような区切りがなく、円柱を巡る斜線が途中で向きを変えている。
柱身は、そのまま上部には斜線が長く施され、下部には⑤とも異なる文様が浮彫される。
根元の4枚の葉には括れがあり、浮彫の痕跡もある。

⑪ 全体に縦の線が見られるが、これは施された文様ではなく、木にある筋。
1本の横線の浮彫が柱頭と柱身を分けている。

ミフラーブ近くにも

⑫下の方だけ写したものを縦にすると、文様の痕跡はあるものの、ほぼ木に戻っていた。

古い物には「触るな」マークがある程度で、21本残っているという10-12世紀の円柱がどれなのか、勝手に決めるわけにもいかないが、その半分くらいは見られたかな。

        →ヒヴァ、ジュマ・モスクの木柱2 イスリミ(植物文)とギリヒ(幾何学文)

関連項目
ヒヴァのジュマ・モスク2 内部
ヒヴァのジュマ・モスク1 外を眺める


※参考文献
「ウズベキスタンの歴史的な建造物」 A.V.アラポフ 2006年 SANAT