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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2015/12/29

タシュ・ハウリ宮殿のタイル2 幾何学文だけ


タシュ・ハウリ(石の庭)宮殿(1832-38年)のハレムは、文字通り切石を敷き詰めた中庭を、タイル張りのアイワンや壁面が囲む、ほぼ青と白の世界だった。
そこでは、南側にアイワンが5つ並び、東端はハンの間、
後の4つが妃たちそれぞれの間となっている。
そして北側にも上に小さなアイワンの並ぶ、その他大勢の夫人たちの階があった(北壁とする)。

タイルの文様のうち、幾何学文、あるいはほぼ幾何学文のものは、

十字形を中心に白とコバルトブルーで菱形を四重につくった幾何学文 ハンの間中央上部・北壁 
一見、小さな白いタイル片と青いタイル片を組み合わせたモザイク・タイルに見えるが、絵付けだった。
その下の小さなパネルの文様は意外と凝っていて、4枚のタイルで一連の文様が完結している。
同じ文様で色違い 北壁
色タイルの並べ方縦になっているのも違うところ。

10点星とロゼット文 妃の間1
組紐が他の紐を越えたりくぐったりする様子を輪郭線で表し、やや曲線的で柔らかな印象を受ける。

六角形と6点星の組み合わせ 妃の間1
幾何学文の輪郭を幅広のコバルトブルーと、それを挟む2本の白い線にすると、別の幾何学文がどきあがる。

四角文 妃の間2
四角形の四方の角に別の四角形の角を斜めに重ねて、中で菱形をつくっている。
同じような組み合わせだが、こちらは四角形が縦長 妃の間2

正方形と両端が重なり合う四弁花文状の文様の組み合わせ 妃の間2・北壁
見ようによっては、2種類の十字ができている。

八角形の組み合わせ 北壁
八角形を少しずつずらしていくと、斜め十字ができあがる。上の十字文よりもすっきりとしている。

木瓜文繋ぎ 妃の間2・北壁
大きな文様にして、枠の中に蔓草文を描くというのはクニャ・アルクでも、タシュ・ハウリのハンの間にもあったが、小さくなって、植物文は入り込まない。

説明が困難な幾何学文 北壁
この幾何学文を大きく縦に並べて、その区画の中を蔓草文で埋めたのが、ハンの間東壁。

不思議な文様 妃の間2
八弁花文の輪郭だけの形が縦横に並び、その繋ぎ目のトルコブルーの小円を中心にして、蓋付腕のような形が縦横に並んで、様々な形をつくり出している。
これに植物文と組み合わせ、1列縦に並ベたものがハンの間・妃の間1・妃の間3に、2列のものが妃の間1に、そして3列のものが妃の間4にある。

植物文との組み合わせで作られた複雑な幾何学文様がクニャ・アルクの謁見の間(1804-06年)で見られるので、それを元に、タシュ・ハウリで独立したモティーフとなったのだろう。

           タシュ・ハウリ宮殿のタイル1 幾何学文と植物文
                     →タシュ・ハウリ宮殿のタイル3 植物文だけ

関連項目
渦巻く蔓草文の絵付けタイルの起源は
タシュ・ハウリ宮殿3 妃たちの部屋
タシュ・ハウリ宮殿2 ハンの間
タシュ・ハウリ宮殿1 ハレム

クニャ・アルクのタイル2 モスク
クニャ・アルクのタイル1 謁見の間