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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2015/08/07

アフラシアブ出土の陶器に組紐文


アフラシアブの丘で発掘された陶器にも組紐文様のような図柄のみられるものがあった。

『中央アジアの傑作サマルカンド』は、アフラシアブで、年代の異なる発掘が行われた際、9世紀から12世紀の大量の陶器が発掘された。これらは、サーマーン族時代とカラハーン族の時代の文化の陶器であった。その大部分が、多彩なエンゴーベで装飾され、上薬で覆われた大皿と水差しであった。
陶器の装飾には、アフラシアブのパネルと同じように大量に作られた、多彩な異教の記号が使われているのは、幸福の結び目、卍、植物の十字、星、かみつれである。模様の中心となっている、植物と植物がからみ合っているものはその典型である。その植物と植物がからみ合っている模様は、陶器とガンチ(石膏の一種)のパネルが組み合わさった模様である。手細工でからみ合った画像の絵を実際に作ってみると、からみ合ったものの縒りを戻すことができなかった。このことから大宇宙の中心となる成分である自然、太陽、地球の合一が分かる。
アフラシアブの陶器をはじめ、とでこにでも異教の記号が使われていた。中世の末まで、イスラム教の芸術においてはイスラムテキストと共に使われ、不思議な力をもっていた植物と幾何学模様は、代表的なシンボルであったという。
エンゴーベは仏語engobe(アンゴブ)で白化粧土、かみつれはカモミール、ガンチは漆喰装飾

その中から、組紐文が幾何学的な文様を形作っている陶器は、

陶器部分 9-12世紀 サマルカンド、アフラシアブ出土
曲線的な組紐は、中央に黒に白の連珠文、その外側に赤、輪郭線に緑という幅の広いものだが、それが交差しながらつくり出すのは三角形。その中の文様は植物だろうか。

陶器部分 9-12世紀 アフラシアブ出土
中心となる文様は、連珠文が組紐のようにねじれ、交差して大きな三角形をつくっている。
その内側の白いものは植物の茎となって、中央に三葉の葉を表す。

陶器部分 9-12世紀 アフラシアブ出土
緑の茎が組紐のように交差を繰り返して、円、四角形、三角形などをつくっている。そしてその端には半パルメット文のようなものが付く。

皿または浅鉢 9-12世紀 アフラシアブ出土
組紐というよりも、白い茎が上下にうねって中央の円、その周りの7つの円をつくっていき、その端は蔓のように巻いている。

皿または鉢
中央には蕾のついた植物が十字に表され、それを囲む円から7本の茎が出て三葉を迂回し、自らも先が三葉となる。それぞれ2箇所に2枚の葉を付けている。
これは半パルメット唐草文と呼べるような文様だが、当時の中国から将来された文様かな。それとも、アレクサンドロスが征服した街でもあるので、その後中国よりも早く伝わった文様だろうか。

白地彩画鉢 10-11世紀 サマルカンド製 出光美術館蔵
『世界の文様2オリエントの文様』にはギローシュ文様(組紐文)として紹介されている。
外側の文様は蛸の足がもつれたような連珠文のある幅広の帯だが、三角形、円などを隙間につくる。
中心には五角形ができているが、その外を見れば5点星にもなっている。

白地彩画鉢 10-11世紀 サマルカンド製 中近東文化センター蔵
同書の説明は、やはりギローシュ文様とだけ書かれている。
ラフな筆致ながら、中心に10点星、それを囲む大きな連珠のある1本の帯が、越えたりくぐったりして、コの字形のものを5つ作る。その内側で、連珠文のある紐が外の帯を越えたりくぐりながら、コの字の内側に角の丸い5点星を作る。
手本にするようなものを見ながら真似たらこんな風になるのかも。



よく似た作品があるが、製作年代がわからない。

白地彩画鉢 ニシャプール製? ヴィクトリア&アルバート美術館蔵
見込みには中央に連珠文のある緑の紐が交差して十字を作り、その周りを連珠文のある赤い3本の紐が互いに越えたりくぐったりしながら、9点星を作っている。
胴部にはアラビア文字風の文様がぎっしりと描かれている。
写真の写し方にもよるのかも知れないが、サマルカンド製とされるものに比べると、この鉢は見込みと胴部の境目がはっきりとした器体なので、製作地の違いとも考えられる。
問題は、この白地彩画鉢が、サマルカンドのものよりも早い時期に作られたものかどうかなのだが、今の段階では、どちらとも言えない。

         幾何学的な組紐文←     →火焔山のトユクに組紐文のタイル

関連項目

トマン・アガのモスクには組紐付幾何学文のモザイク・タイル


※参考文献
「中央アジアの傑作 サマルカンド」 アラポフ A.V. 2008年 SMI・アジア出版社
「世界の文様2 オリエントの文様」 1992年 小学館